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<解きたい選挙>(中) コミュニティデザイナー・山崎亮さん

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 コミュニティデザインは、地域の中に入り、地域の課題を地域に住む人たちで解決する仕組みをつくる仕事です。中山間地域や離島も含め、全国で計百ぐらいの地域に入って、住民と向き合ってきました。

 行政にお金がない今、市民がまちづくりに主体的に関わり、動くしかない。僕らの役目は、町の人の態度を変えることです。一回目のワークショップでは「寒いやんか」「スリッパないやんか」と文句を言うだけだった人が、三、四回目には机を並べるようになる。十回やれば、自ら動きだす市民になります。みんなで町のためにできることを提案し、活動を始める。外部の僕らが関わるのは三年くらいで、その後は地域で回っています。

 「一億総お客さま状態」を変えなければいけない。まちづくりに携わり、いつも感じてきました。国政も同じ構図ですね。選挙で代表を選んだといっても「あんたらで俺たちの幸せを担保してくれ」とお任せするだけで、自分が潤わなければ「こんな党だめだ」と簡単にすげ替える。

 政治の専門家にはバカにされるかもしれないけど、基本的に政治はローカルであるべきだと考えています。自分が分かる範囲で分かる人を選び、一緒に政策をつくっていくべきだと思う。国政がやるべきは外交と防衛程度でしょう。他は地域の方が何が課題なのかよく見えるのだから、地域で意思決定できる形にしなければ。

 日本は明治以降、地方の力をはぎ取り、権力と財源を東京に集中させてきた。国の基礎をつくる百年では必要だったのでしょうが、今、霞が関が押しつけるやり方では、地方は疲弊するばかりです。

 もちろん一方的に権限、財源を移譲するだけではだめで、自治体の職員や議員にも勉強や意志が必要です。でもあるべき地方分権が進めば、国民が手に取って判断できるスケールにまで、政治が戻ってくる。今の国政はあまりに遠すぎる。国会議員を地方と国とのパイプと考えるのではなく、地域が意思決定することを進めてくれる人を選べば、各論はさまざまでも、結局は自分たちの手に主権を取り戻せるはずです。

 小泉政権以来、国民は劇場型政治に慣れ過ぎてしまった。メディアも国民もゴシップに近い政局ばかり取り上げ、面白おかしく批判してきたことが、自分たちの首を絞めてきたとも感じます。まちづくりやコミュニティデザインだって、数年で評価が出るものではない。民主党時代には子ども手当のような打ち上げ花火ではない、優れた政策も実現されているし、自民党時代より地方分権も進んだ。主体性を持って動くとともに、ある程度我慢する国民にならないといけないと思います。結局、問われているのは僕らの覚悟です。

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 やまざき・りょう 1973年、愛知県東海市生まれ。大阪府立大大学院修了。京都造形芸術大教授。設計事務所を経て大阪市に「studio−L」設立。全国でまちづくりのワークショップや住民参加型の総合計画づくりに携わる。大学時代に阪神・淡路大震災を経験し、「人のつながり」をつくる大切さを実感した。著書、共著に「コミュニティデザイン」「まちの幸福論」「藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?」など。