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<有権者発> 「違憲状態」論戦は低調

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 忘れてはいけないことがある。衆院選が「違憲状態」のまま行われていることだ。国会は衆院解散直前に「〇増五減」の衆院定数是正を行ったが、適用されるのは今回の衆院選の次から。消費税増税法を成立させた民主、自民、公明の三党は次の通常国会で定数削減を行うと約束したが、衆院選の論争では削減論議は脇に追いやられている。国民に負担を強いる前に行うべき身を切る改革は、すっかりかすんでいる。

 「衆院選の後、選挙無効の司法判断が出て、もう一度選挙が行われることになったら、その費用はどこから出るのだろう。まずは選挙改革から始めるのが筋ではないか」

(愛知県愛西市、会社員男性、65歳)

 選挙戦で各党党首の口から、選挙が違憲状態で行われていることへの反省や、定数削減についての言及は数えるほどだ。

 野田佳彦首相は六日、愛知県稲沢市で「定数削減に一番熱心な政党だ。着実に前に進める」と訴えた。しかし身を切る改革を実行せずに衆院を解散したのは首相自身。「違憲状態選挙」には触れていない。

 自民党の安倍晋三総裁も、ほとんど言及していない。六日、和歌山市で行った演説でも「何としても政権奪還する」と熱弁を振るったが、身を切る改革には触れていない。

 最高裁が衆院の一票の格差を「違憲状態」と判断したのは昨年三月。その後、一年九カ月間、各党は選挙制度、定数削減の議論をしてきた。だが与野党が駆け引きを繰り返すだけで結論は出ず、具体的な手だてを講じることなく選挙戦に突入してしまった。

 公示前日の選挙人名簿登録者数では、一票の格差は二・四三倍。違憲状態と指摘された二〇〇九年の前回選挙の時の二・三〇倍よりも広がった。つまり「違憲状態」は、さらに悪化している。

 消費税増税の前に国会が身を切る改革を行うべきだということは、与野党の多くの党が共有している認識でもある。にもかかわらず、この問題が主要争点になっていない。政治の本気度が問われてもしかたない。

 衆院選での各党の公約はどうか。具体的な定数削減を主張しているのは民主党、日本維新の会、みんなの党など。公明党や共産党、社民党は選挙制度改革と同時に議論すべきだとしている。自民党は「通常国会で結論を得る」と、解散前に民主、公明両党と合意した内容を書いているだけだ。

 新しく選ばれる議員で構成する来年の通常国会で、中身のある身を切る改革を実現するためにも、各党幹部たちが具体案をぶつけ合っておく必要がある。

 (金杉貴雄、宇田薫)

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