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静岡ニュース

<検証>(下) 非自民の受け皿なく

 有権者の半数以上が「アベノミクスを評価しない」としながら与党大勝で終わった衆院選。二〇〇九年に政権交代を実現した民主党や、前回選で躍進した第三極勢力は、静岡県内でも、自民への批判や不満を追い風に変えることができなかった。

 「本来はもっと議席を増やすべき選挙だったのではないか」。投開票から一夜明けた十五日、県庁で会見した民主党県連の岡本護幹事長は悔恨の念をにじませた。5、6区の議席を守り、比例復活で県内選出議員を一人増やしたが、表情は浮かない。「(小選挙区ごとの)総支部長を決めきらなかったことは最も反省すべきことだ」と話した。

 総支部長は小選挙区の候補者になる。だが一二年の前回選後、敗北した元職三人は総支部長を辞任。県連は「できる限り地元に縁がある人を」と後任選びに慎重になり、二年近くも2、7、8区の総支部長を不在にした。今回いずれの選挙区も候補を擁立したが、出遅れは響き、大差で敗れた。

 野党の選挙協力でも、民主と維新の党の足並みは乱れた。1区ではともに譲らずに出馬し自民党の上川陽子法相に敗退。皮肉なことに得票数は民主と維新の二人の合計が上回っていた。

 8区でも、民主県連が支持する無所属新人と維新の新人が非自民票を奪い合い、共倒れした。

 岡本幹事長は「今後の統一地方選や参院選を考えれば、それなりに民主票を掘り起こせた」と評価したが、ある民主県議は「本来の敵を見失っている。結局は自民を有利にしただけだ」と冷ややかな視線を送る。1区で敗れた維新の小池政就氏も「候補者調整できた他県よりも厳しい構図だった」と打ち明ける。さらに「非自民で政権に挑むよりも『民主の火を消さない』という考えで8区の候補を擁立したなら、有権者の意識と懸け離れている」と批判した。唯一、候補一本化に成功した3区も、小選挙区で自民に及ばなかった。比例復活は果たしたが、陣営幹部は「政党間で候補者を調整しても、地元の有権者の理解を得るのは簡単ではなかった」と振り返った。

 戦いを終え、県内衆院議員は自民、公明が八議席。対する野党は十四年ぶりに議席を得た共産一と民主三で半数にとどまる。単なる党利党略や政党間の打算でなく、有権者の声を吸い上げ地域に根差した非自民の「受け皿」づくりを県内で進められるか。野党の真価が問われる。

(衆院選取材班)