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一戸建て低迷「大胆政策を」 軽減税率の要望も

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 「10%への消費税率引き上げが先送りされたのだから、いま慌てて購入を決めなくても。じっくり選びたい」と、名古屋市守山区の四十代夫婦は言った。生後四カ月の長女を連れた同市中村区の三十代夫婦も「一生に一度の高い買い物。選挙後の住宅政策を見極めてからでも遅くはない」ときっぱり。衆院選の公示後、愛知県内の住宅展示場を訪れる人たちに聞いたら、マイホーム選びを急ぐような様子は感じられなかった。

 四月に消費税率が5%から8%に引き上げられたのに伴い、住宅市場は低迷が続いている。特に一戸建て注文住宅の落ち込みは「想定以上だった」と、大手住宅メーカー幹部は嘆く。

 住宅生産団体連合会(東京)がまとめた大手八社平均の受注状況によると、契約を結んでおけば完成引き渡しが今年四月以降になっても5%が適用される特例措置があった昨年九月は、前年同期比で40・5%の高い伸びを記録。

 しかし、その特例措置が過ぎた昨年十月以降は今年九月まで二桁の前年割れが続き、同月は32・6%減に。これが一四年七〜九月期の国内総生産(GDP)の数値を押し下げる要因にもなった。安倍晋三首相は消費税増税の先送りを決め、衆院解散・総選挙に踏み切った。

 国が打ち出した政策の利用も低調だった。住宅を購入する中低所得層を支援するため、所得制限を設けて最大三十万円を支給する「すまい給付金」は国土交通省の九月末時点のまとめで、支給総額が約十九億七千万円(約八千七百件)。用意した予算額の1・2%にとどまる。

 史上最低水準となっている住宅ローンの金利が受注増の決め手にならない今、安倍首相が10%への再増税を一年半延期したことで「まずはほっとしている」と胸をなで下ろす住宅業界。だが、次の増税前にあるはずの駆け込み需要も遠のいた。住宅展示場を訪れる人たちでさえ「慌てて決めなくても」と言うような、消費者心理の変化には警戒感を募らせる。

 選挙戦で各党は政権公約(マニフェスト)に住宅政策を掲げる。与党の自民、公明両党は「住宅エコポイント制度の創設」を、野党の民主党は「中古住宅のリフォームの推進」を明記する。

 これに対し、住宅需要の喚起を求める声は切実だ。「住宅も生活必需品ととらえ、軽減税率などの負担軽減措置を導入してほしい」(トヨタホームの立花貞司会長)、「購入をためらっている人たちの背中を押すような政策を」(クレストンホームの塩地誠専務)との注文も聞かれる。

 (山上隆之)