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中部ニュース

1期生、冷や汗 自民「負けてもおかしくない」

 二〇一二年の前回衆院選で自民党への強い追い風に乗って初当選した「安倍チルドレン」とも呼ばれる国政一期の自民前職にとって、今回の衆院選は正念場だ。景気停滞で安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」への批判も起きる中、再選を目指す中部各県の自民前職候補の危機意識は大きい。

 三日夕、名古屋市の金山駅前で演説していた愛知4区の自民前職、工藤彰三さん(50)の元に菅義偉(すがよしひで)官房長官が駆け付けた。「都市部の皆さんの思いを国会に発信する工藤を何としても当選させてください」と呼び掛け、てこ入れを図った。

 愛知4区は二〇〇〇年から四期連続で民主候補が制した民主の地盤。工藤さんは前回衆院選の初当選直後、「次は(党への)風はないよ」と支援者からくぎを刺された。この二年で名古屋と東京を百八十八回往復。「顔をもっと売りたい」と地元浸透に必死だ。

 愛知県では十五選挙区のうち十一区で前回初当選の前職が再選を目指す。その一人、愛知12区の青山周平さん(37)は「前回より厳しくなる」。解散前から危機意識は高かったが、公示前日、民主と維新が候補者を調整し一本化。一層厳しさが増す状況に「その日の夜はほとんど眠れなかった」という。「今までやってきた政策の一貫性を訴える」と意気込む。

 「自民党が強いと言える選挙区ではない。厳しい戦いです」。三重県鈴鹿市の街頭でも、三重2区の自民前職、島田佳和さん(44)が声を張り上げた。

 三重2区ももともと民主の牙城。川崎市出身で三重と縁が薄い島田さんは前回、自民党三重県連の公募に名乗りを上げ、比例復活で当選した。今回は、安倍政権下で地域の道路や河川の整備が進んだと実績を前面に押し出す作戦だ。「選挙戦前は自信がなくなることもあったが、そんなことは言っていられない」と表情を引き締めた。

 滋賀3区で再選を目指す自民前職武村展英さん(42)は二日の出陣式で「(対立候補と)どちらが勝ってもおかしくないと言われている」と必死さをにじませた。

 京阪神のベッドタウンとして人口増加が続き、無党派層の多い地域。七月の知事選で自公推薦候補を破り当選した三日月大造知事の地盤でもある。さらに対立候補の民主新人、小川泰江さん(51)の後援会長に人気の高い嘉田由紀子前知事が就いたのも気になる。陣営関係者は「相手は嘉田前知事であり三日月知事。無党派層への浸透が鍵だ」と新旧の県知事の影を意識する。

◆安倍チルドレン、前回は119人誕生

 自民党本部によると、前回初当選したのは百十九人。全衆院議員数の四分の一近くにのぼり、今回は「チルドレン」の再選成否が党勢維持の焦点となる。