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滋賀

<記者座談会>(下) 反自民、受け皿どこへ

民主党・海江田万里代表の応援演説に集まった人たち=6日、JR近江八幡駅前で

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 −民主現職は六年前の参院選から票を半減させ、自民新人に大敗した。背景には何があったのだろう。

 A 県内四選挙区の議席を自民に明け渡した昨年末の衆院選から、態勢を立て直せないまま参院選に臨んでしまった。参院選の前哨戦として位置付けられた東京都議選での惨敗もショックは大きかった。安倍政権への支持率の高さに加えて、民主党への信頼がいまだ回復していない。

 B 選挙戦では有権者の反応が対照的だったよね。公示日後の最初の週末には、海江田万里代表がJR近江八幡駅前で、安倍晋三首相はJR草津駅前と大津パルコ前でそれぞれ演説したが、聴衆の数ははるかに自民の方が多く、有権者の民主離れを象徴する場面だったとも言える。

 C 民主党は何かを大きく変えないと立て直しは難しいと思う。私も四年前の政権交代時には「何かが変わる」と大きな期待を抱いた一人。でも公約にない消費税増税を進めた時は深い失望を覚えた。国民に大きな負担を押しつける増税を、公約を破って進めたことは取り返しのつかない信頼の失墜になっている。

 A この先三年間は大きな国政選挙がないと言われる。民主県連幹部は次のターゲットを「二年後の統一地方選だ」と話す。選挙の実動部隊になる県議や市議を増やし地盤を固めることが必要だ。

 −民主の戦いぶりはどうだったの。

 A 「暮らしや生活の安定が第一」と訴え、「安倍政権は社会保障の切り下げ切り捨てや、雇用を不安定にする施策を着々と進めている」と危機感をあらわにした。年金や介護など女性は共感する点も多かったはずだが、参院選では社会保障が争点にならなかった。

 B 民主の支持母体である連合滋賀の関係者は「安倍政権の雇用対策など対立軸は鮮明」と話していたが、連合型選挙の発祥地といわれる滋賀でも連合の組織力にかげりが見える。

 A 京都市出身の自民候補と差別化を図るために選挙ポスターに「託すなら−滋賀の人」と書くなど滋賀県出身であることをアピールした。候補者自身も終盤戦になるにつれて演説中に強調することも多かったが、結果的には地元の近江八幡市でも自民新人の方が得票数は上だった。

 −そんな中、共産候補は県内過去二番目の票を獲得した。

 C 反自民の有権者が民主ではなく共産に流れたのは、民主党に勢いがなかったのに加えて、候補者の訴えの中身にも原因があったように思う。原発再稼働の問題などで曖昧な態度に終始し、自民との明確な違いを打ち出せなかった。本人は幅広い層に訴えたかったのかもしれないが、逆に「しっかりした意見を持っていない」と受け止められたような気がする。

 B 共産は若者や労働者を中心に無党派層への支持拡大を目指したが、実際には多くは高齢者の支持で、狙い通りとはいかなかった。党関係者は昨年の衆院選で第三極に投票した有権者の取り込みを狙ったが、出口調査の結果ではそうした有権者には棄権した人も少なくなかったようだ。比例では、共産は維新を下回った。党関係者は「訴えを届かせきれなかった」と話していたけれど、やはり社会主義や共産主義と結びつくイメージがぬぐいきれなかった部分もあるのではないか。

 C 県内では、選挙区の共産候補者が八万六千票余りを獲得したのに対し、比例では六万票。私の周りにも選挙区で共産候補に入れたという人は思ったよりいたが、比例でも投票したという人は少なかった。選挙区では自民や民主に投票したくないという有権者の一定の受け皿になれたのかもしれないが、選択肢の多い比例ではそうならなかった。