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滋賀

<記者座談会>(上) 自民圧勝は期待感

安倍晋三首相(中)の応援演説に耳を傾ける有権者ら=6日、JR草津駅前で

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 昨年末の衆院選に続き、今回の参院選も追い風に乗った自民が圧勝する形で幕を閉じた。県内でも自民が二〇〇一年七月の参院選以来十二年ぶりに民主を破って当選し、強さを見せつけた。投開票まで取材に携わった記者たちが、座談会形式で選挙戦を振り返った。

 −自民が民主現職に十三万票の差をつけた。背景には何があったの。

 A 好調なアベノミクスと安倍政権への高支持が県内にも例外なく波及した結果でしょう。選挙期間中、「かつてない温かいムード」と話していた自民関係者もいた。

 B 自民は圧勝したけれど、原発再稼働など、県と深い関わりがある問題では党の主張と有権者の考えに差もあると思う。「他党よりはマシ」と自民に入れた消極的支持も少なくない。そうした人たちの声に耳を傾けることを忘れないでもらいたい。

 C 経済対策を中心に訴えた自民に支持が集まるのは、有権者の暮らしや生活にそれだけ余裕がない、ということの裏返しとも言えるよね。

 −自民の戦いぶりはどうだったのかな。

 A 前回の衆院選で全四議席を奪還してまだ半年。県内各選挙区の体制も盤石とは言えなかった。参院選の公示前、各選挙区の衆院議員は「自分の選挙以上にやる」と意気込み十分で、祭り会場や街頭でフル稼働していた。県議や市議との一体感を感じる場面もあった。

 B 衆院選と同じように序盤から自民優勢が伝えられたため、どこの支部の誰々があまり動いていないとか、本気で活動していないとかという話もよく聞いた。陣営幹部は「最大の敵は気の緩み」と引き締めに苦心していたようだよ。

 C 自民大物幹部が連日県内入りしたね。安倍晋三首相は「ねじれ解消」を連呼したけど、民主候補は「良い政策なら積極的に賛成する」と強調していたし、ねじれがあることは、より議論を深める意味では悪いことだけでもない気がする。

 −自民が参議院の議席を得た意味って何だろう。

 A 今回当選した候補者は三十六歳。衆院議員を加えても自民の国会議員五人の平均年齢は四十歳より若い。ある県連幹部は「自民の組織や後援会の若返り、新たな支持層の開拓が期待できる」と歓迎していた。

 C でも、うまく「融合」できるかな。ベテランと若手の意見の相違などを乗り越えて、県連組織がどうまとまるかは注目点の一つだね。

 B 参院議員の任期は六年で衆院と違い、解散がない。安定した議席が確保されている。自民幹部は、参院議員が衆院議員を束ね、足りない部分を補完する「スイーパー」と表現していた。

 −今回はあくまで「期待感」。次の国政選挙では、経済対策や環太平洋連携協定(TPP)、消費増税の一定程度の結果が出ているなかで戦うことになる。

 C 今回の参院選よりも厳しい選挙になるのでは。勝利したことでおごりや油断が生じたとしたら、党勢拡大どころの騒ぎではなくなるかも。

 B 取材している限りでは、アベノミクスの実感や効果はまだ生活者レベルに届いていない。大した実感もなく終わるようならば期待が大きい分、失望も大きいはず。希望が失望に変われば、一瞬でそっぽを向かれ、政治がまた大きく揺れ動いてしまう。

 A 来年には知事選がある。嘉田由紀子知事が進退をどう判断するかにもよるが、参院選の勝利で勢いづく自民が、独自候補を擁立できるかが焦点になる。民主の態勢立て直しがどこまで進んでいるかも気になるところ。そのときには東京からどういう“風”が吹いているのだろう。

(参院選取材班)