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安倍自民が圧勝 衆参で与党過半数

参院選で圧勝し笑顔の安倍首相=21日午後9時37分、東京・永田町の自民党本部で(河口貞史撮影)

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 第二十三回参院選は二十一日、投開票が行われ、安倍晋三首相が総裁を務める自民党が六十五議席を獲得して圧勝した。与党の自民、公明両党は衆院に続き、非改選と合わせて過半数(百二十二議席)を確保した。憲法や原発、経済政策、環太平洋連携協定(TPP)が焦点になったが、投票率(選挙区)は前回の57・92%より下がり、共同通信の集計で52・61%と過去三番目の低さ。改憲の発議要件を緩和する九六条改憲に積極的な自民、みんなの党、日本維新の会は非改選と合わせて改憲を発議できる三分の二となる百議席に届かなかった。

 自民党は改選三十四議席から大幅に議席を伸ばした。二○○一年の参院選で小泉純一郎首相の高い支持率を背景に獲得した六十四議席を超えた。

 選挙戦で第二次安倍政権発足後に実施した経済政策で成果が挙がっていると主張。国論が割れている改憲には極力触れず、政権の安定には衆参両院での過半数が必要と訴えた。

 全選挙区に四十九人を擁立し、四十七人が当選。三十一ある改選一人区で二十九人が当選した。複数区では東京、千葉で二議席を獲得した。比例代表は〇一年以来の第一党を決めた。

 公明党は選挙区の候補者を東京、神奈川、埼玉、大阪の四人に絞り、全員当選。比例も前回を上回った。

 民主党は衆院選の大敗から党勢の回復を目指し、生活者重視の政策を打ち出した。しかし、有権者の信頼を取り戻せず、一九九八年の結党以来、最低だった〇一年の二十六議席を割り込み、二十議席を下回った。

 改選数四の神奈川、改選数三の愛知と千葉、改選数二の茨城や長野、静岡、北海道、新潟、広島、福岡で議席を得た。しかし、一人区は一人も当選できず、十六ある複数区でも改選数五の東京など六選挙区で議席を得られなかった。

 六月の東京都議選で躍進した共産党は脱原発や消費税増税中止を訴え、東京と大阪、京都で議席を獲得した。選挙区での複数議席獲得は一九九八年に七議席を獲得して以来十五年ぶり。比例でも改選三議席を上回った。

 昨年十二月の衆院選で第三党になった維新は、橋下徹共同代表の従軍慰安婦容認発言の影響で伸び悩んだ。選挙区は発祥の地の大阪と兵庫で議席を確保しただけだった。

 みんなは橋下発言を批判して、維新との選挙協力を解消。野党が競合する選挙区が増えたが、埼玉と神奈川、愛知、宮城で議席を得た。

 社民党は比例で一議席を獲得。参院選初挑戦の生活の党とみどりの風は選挙区で議席を獲得できなかった。

 東京では脱原発を訴えた無所属の山本太郎氏が当選した。

 沖縄は、野党連合を形成した糸数慶子氏が自民党候補を破った。

◆「改憲」届かず、原発推進加速

 憲法、原発、TPPが重要な争点になった参院選。衆院で改憲の発議に必要な三分の二以上を持つ改憲勢力の自民、みんな、日本維新の会三党は、非改選議席を合わせ三分の二に届かず、直ちに改憲が現実味を帯びることはなくなった。

 改憲の発議には衆参両院で三分の二の賛成が必要で、安倍晋三首相は当面、経済再生に力を注ぐ。だが、民主党内改憲派への働き掛けや、改憲に慎重な連立与党の公明党の説得で勢力拡大も狙う。

 与党の過半数獲得で、原発とTPPは推進の方向が強まる。

 自民党は主要政党の中で唯一、参院選公約で「原発ゼロ」を掲げず、各地で原発が再稼働する可能性が高まった。首相は原発の海外輸出にも前向きだ。

 TPPで日本は、二十三日からマレーシアでの交渉会合に合流する。目標は年内妥結。農業などへの影響が大きいといわれるが、後発の日本は残り時間も確たる見通しもないまま参加への道を進む。