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愛知

<記者座談会>(下) 3位争い

みんなの党の渡辺喜美代表と浴衣姿で街頭に立つ薬師寺道代さん(左)。党は愛知選挙区を最重要選挙区と位置付け、幹部が相次いで愛知入りした=名古屋市中村区で

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 <有賀>三位争いはみんな、共産、維新の三つどもえ。薬師寺さんの勝因は何かな。

 <吉光>個人の知名度の差が大きいと思う。三年前の参院選、二年前の知事選に出馬して一定の票を得ていた。彼女の名前は、少なからず有権者の記憶に残っていた。

 <有賀>支援組織はなく、ボランティア頼みの選挙だったね。

 <吉光>県内全域にポスターを張るのも三日かかった。三年前の十日間に比べれば短いけど。

 遊説は、全体の七割以上を名古屋市内でやっていた。特定の支持政党を持たない都市部の有権者に狙いを定める戦略。渡辺喜美代表は公示後、四回も応援に来て、うち一回は候補と一緒に浴衣姿で遊説した。パフォーマンスも交えて耳目を引く「空中戦」に徹して、勝利につなげた。

 ただ、次点だった三年前より十八万票も減らした。薬師寺さんは「風」に左右されない地盤をつくりたいと言っているけど、容易ではない。これから六年間、有権者との対話を地道に続けないと。

 <有賀>共産の本村さんは接戦に持ち込みながら、終盤に伸び悩んだ印象もある。

 <後藤>陣営は盛り上がっていたけど、基礎票の二十万票に七万票程度を上乗せしただけ。これが現状では精いっぱいかもしれない。党員の高齢化は深刻。戦いぶりに力強さを感じなかった。

 <小柳>確かに。志位和夫委員長の応援演説を聞きに行ったけど、聴衆のほとんどが高齢者だったことに驚きました。

 <後藤>東京や大阪では選挙区で勝ったけど、愛知の場合、共産県議はゼロ。党の地力、存在感が少しずつ落ちてきているように思える。いかにして若者を引きつけるかを、真剣に考えるべきだ。

 <有賀>本村さん個人の評判はどうだったの?

 <後藤>気さくな人柄で、親しみやすかった。だからこそ、今回のような勝機さえ生かせなかったと、深刻にとらえるべきだと思う。全国的に好調だったし、うちも接戦だったと満足しては、本村さんの悔し涙が無駄になる。

 <有賀>維新の近藤さんも、当落争いには絡んだが伸び悩んだ。出馬表明が遅れたことが響いたようだ。

 <内田>出馬表明会見が公示日のわずか十日前。近藤さん自身は早くから選挙区出馬に意欲を示したのに、党県総支部に反対意見があった。近藤さん出馬になぜ反対なのか、説得力ある理由はなくて、今もって不可解。六月の貴重な日々を内輪の議論で浪費した。

 <有賀>橋下徹共同代表の「従軍慰安婦」発言で、党勢が落ちた影響もある?

 <内田>ないとは言えない。ただ、県内の比例票は、選挙区に擁立しなかった公明を除けば、維新が三番目に多い。三位を争った薬師寺さん、本村さん、近藤さんのうち、選挙区の得票が党の県内比例票より少なかったのは近藤さんだけ。維新の看板を生かしきれなかった。三位争いは浮動票獲得競争だったのに、名古屋の遊説に割く時間が薬師寺さんと比べて少なかった。

 <有賀>減税の宇田さんは、党代表の河村たかし名古屋市長と二人三脚の選挙戦。市長の街頭演説は、相変わらずの集客力だったらしいけど。

 <内田>街頭演説というか、通行人に向かって「そこの幸せそうなカップルさん、聞いとる?」とか「おっ、金城学院の生徒か。ソフィスティケイト(洗練)されとるわ」などと語り掛ける「街頭いじり芸」。

 独特の口調で「おーい、宇田さんだよー。(選挙に出てるのは)ワシじゃないよおー」と呼び掛け、名古屋では近藤さんに迫る票が出た。ただ、減税の場合、河村さん本人以外はなかなか勝てないことをあらためて示したとも言える。

 <吉光>減税は昨年の衆院選に続く敗北。次の国政選挙にも、河村さんは懲りずに候補を擁立するのか。

 <内田>河村さんは永遠に懲りませんから。勝算うんぬんというより、「性分」の問題。お祭りにみこしが出る時に、黙って見ていることができない。次の衆院選には本人も出るような気がする。

 <有賀>平山さんは伸び悩んだ。

 <小柳>比例代表から愛知選挙区に転じた落下傘候補。みどりの風代表の谷岡郁子さんの後継だけど、谷岡さんの支援組織も少なかった。平山さんは「ポスター張りを社民党に手伝ってもらった」と言ってました。

 <有賀>飾らない人柄らしいね。

 <小柳>公示日に師崎から伊良湖に向かう船で、たこ飯を本当においしそうにかきこんでいた。「いい食べっぷりですね」と言うと、「これが平山だ」と胸を張っていました。終盤に体調を崩したのに、最後まで若者に投票を呼び掛けていました。

 <有賀>伊藤さんはどうだったの。

 <小柳>比例票を掘り起こすため、党本部の要請を受けて出馬しました。岐阜で田んぼをやっていて、日照りを気にしながらの選挙戦。「村山談話」など党の実績に誇りを持っている人で、党勢低迷を憂えていました。比例で一議席取ったし、戦った意義はありましたよ。

(有賀信彦=担当キャップ、内田康、後藤孝好、吉光慶太、小柳悠志)