全国

一強、改憲の足音 首相「争点外し」を気にせず

2016年7月11日

開票センターの候補者ボード前で笑顔の安倍首相=10日午後9時49分、東京・永田町の自民党本部で

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 有権者の審判は安倍一強政治の背中を押した。十日投開票の参院選は、民進や共産が進めた野党共闘が政権批判の大きな受け皿になれず、自民と公明などの改憲勢力は国会の発議に必要な三分の二に達した。自民は選挙戦で経済政策アベノミクスの推進を叫び、憲法論議を封印したが、安倍晋三首相は勝利が確実になると「自民党立党以来の悲願」と改憲への意欲をにじませた。有権者からは「戦争の反省から生まれた憲法なのに」と政権の独走を危ぶむ声も上がった。

 与党が勝利した夜、安倍首相は実によく笑った。

 投票締め切りと同時にメディアが一斉に与党の優勢を伝える。午後十時前、紺のジャケットにノーネクタイで東京・永田町の党本部に姿を現した安倍首相。党幹部らの拍手に包まれながら、候補者名の横に当選確実の赤いバラを次々と貼っていく。カメラのフラッシュを浴びると、うれしそうに白い歯をこぼした。

 テレビ各社のインタビュー。背にしたボードには「政治は国民のもの」とのスローガンが記されている。勝因を問われた安倍首相は「アベノミクスをしっかりと加速せよということだ」と自らの経済政策が支持されたと自賛。「国民の期待に応えていきたい」とアベノミクスのさらなる推進を宣言した。

 首相は選挙遊説で経済対策に声をからす一方、改憲に関しては一切、言及しなかった。

 野党から「争点隠し」との批判を浴びても意に介さず、改憲阻止のため統一候補で対抗した野党の戦略を「野合だ」と厳しく批判してきた。

 この夜も選挙戦を振り返り「憲法改正の是非が問われたものではない」とあらためて明言。一方で「(改憲は)立党以来の悲願で、政権公約にしっかり書き込んである」とも強調。今後、改憲に向けて議論を進めていく考えを示した。

 終始、明るい笑顔だった首相だが、改憲に対する民意を問わなかった点を追及されると、「憲法改正は国民投票の際に国民に問うべきものだ」とし、選挙の争点にする必要はないと反論。苦笑いしながら「質問が根本から間違っている」と受け流した。

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