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<公約点検>(6)年金・医療・介護 充実掲げ財源見えず

2016年7月1日

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 少子高齢化が進む中、各党が年金・医療・介護の充実を参院選公約に並べた。だが、必要な財源の説明には多くを割いていない。消費税増税の再延期を受け、増税が前提だった社会保障充実策の実施も見通せなくなった。社会保障制度の将来像はかすんでいる。

 自民党は、安倍晋三首相が唱える一億総活躍社会の実現に向け「介護離職ゼロを目指し、介護基盤を五十万人分増やす」と公約で表明。予防医療や認知症対策の推進も列挙した。公明党も介護従事者の待遇改善や難病対策、がん対策の強化を掲げた。

 民進党は、医療・介護などの自己負担額に上限を設ける「総合合算制度」の創設を掲げた。民主党時代の看板政策だった最低保障年金制度の導入は公約から消えた。税財源から月七万円を給付する制度は税負担が増すと批判されていた。

 共産党は「安倍政権による社会保障切り捨て」をやめさせ、充実を進めると訴える。おおさか維新の会は高齢者の雇用創出と年金の支給開始年齢の段階的な引き上げを主張している。

 増える社会保障費を消費税増税で確保し、将来世代にツケ回ししない−。二〇一二年に自民、公明、民主(当時)の三党は「社会保障と税の一体改革」でこう合意した。税率10%時には、低年金者への最大月五千円の給付金や年金受給資格期間を短縮する無年金者対策が予定されていた。

 しかし、三党は増税再延期をそれぞれ公約に明記した。首相は「給付の充実はすべてできるわけではない」と認め、自民党公約は増税が前提の充実策に直接は触れなかった。首相は最近、無年金者対策は「予算編成の中で財源を得て実行したい」と述べた。

 公明党は無年金者対策の推進に加え、低年金者への給付金も「早期実施を目指す」と公約で表明。自公両党は増税までの間、赤字国債に頼ることなく財源を確保し、可能な限り社会保障を充実させるとした。景気回復で税収が想定を上回った分を充てる方針だが、安定財源とは言い難い。

 民進党は、低年金者への給付金、無年金者対策は予定通り実施すると公約。岡田克也代表は、行革を徹底しても財源を捻出できない場合、増税までの間は赤字国債の追加発行もやむを得ないとの考えを示している。(鈴木穣)=終わり

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