愛知

過疎集落「遠い」選挙 三河山間部

2016年7月8日

 三河地方に広がる山間地域は県の面積の三分の一以上を占めるが、人口比率ではわずか1・4%。森林や水源の保護など都市部の生活環境を保つ上で欠かせない役割を担う一方で、過疎化が年々深刻化している。参院選のさなか、山間地域の現状も知ってほしいとの声が上がっている。

 「選挙と言われても議員や選挙カーは見ないし実感がないね」。岡崎市東部の山間地域、宮崎地区にある十六世帯の集落。投票所までは約八キロの山道で、週三回走るコミュニティバスも投票日の日曜日には運行がない。独り暮らしで車のない岩月コミキさん(87)は「乗り合いを頼めないこともないけれど、そこまでして行かなくても…」とつぶやく。

 岩月さんは昨冬、山道で石垣に車をぶつけたのを機に運転をやめた。以前は、隣の豊川市内まで買い物に行っていたが、今は農協や診療所がある隣の集落まで行くコミュニティバスが頼り。足りない物は、豊橋市に住む長男の好明さん(63)が月に二回程度訪れ、届けてくれる。

 六年前に近くの大雨河小学校が閉校してからは、集落の住民が集まる機会も減った。集落の組長の山本一郎さん(67)は「日常の交流が少ないと、車の乗り合いや買い物も頼める雰囲気にならない」。十六世帯のうち四世帯は独居老人だが、困った時は近くの住民より、遠くの身内を頼る人が多い。

 山本さんは参院選について「身近な問題と国政があまりにかけ離れ、関心を持てない人が多いのでは」と話す。

 かつて林業で栄えた宮崎地区は、一九六四(昭和三十九)年に木材の輸入が自由化されて以降、収入が激減。人口減少が止まらず、学校やバス路線などがなくなった。中学生の多くは十キロ以上離れた公立校で寮生活を送り、高校生は親の送り迎えで通学する。

 地区に住む名古屋芸術大二年の荻野詩織さん(19)は「今は都市に出たい気持ちが強く、過疎の現状にあきらめの気持ちもある」という。しかし、身近に一次産業に携わる人が多く、投票先を選ぶ際は「農業や林業への政策は一つの基準にしたい」と話した。

 (森田真奈子)

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