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紙面記事

独、復活の美酒若き才能が乱れ咲き

ドイツ−アルゼンチン延長後半、決勝ゴールを決め喜ぶドイツのゲッツェ(19)。右は祝福するシュルレ=AP

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 新鮮な空気を送り込まれた攻撃陣はエネルギーに満ちていた。延長でドイツの決勝点を導いたのは2人の途中出場選手。左サイドをシュルレがドリブルで30メートル突破し、ゲッツェが巧みな胸トラップからの左足ボレーシュートでネットを揺らした。

 「シュルレからいいクロスがきたので何とかしてゴールに入れた。すべてがあっという間だった」と決勝点を挙げた22歳は喜びに浸った。

 レーウ監督は戦前「交代枠を含めた14人の戦いになる」と考えていた。準決勝で延長戦を戦った上、ドイツより1日休養日の少ないアルゼンチンが、運動量を抑えながら守備的に戦ってくると読んだ。

 試合開始前の練習で先発予定のケディラが負傷したとき、代役に起用したのは、今大会ともに5試合に出ていてるシュルレやゲッツェではなく、2試合で合計12分間しかプレーしていないクラマー。

 相手の堅守を崩す切り札になる2人をベンチに残した。クラマーの負傷でシュルレを前半31分に出さざるを得なかったが、「周囲との違いを生み出せる」というゲッツェの投入はぎりぎりまで待った。

 相手の運動量が落ち、守備網が緩んできた後半43分。「おまえなら試合を決められる。メッシよりいい選手だということを示してこい」とささやき、チームきってのテクニシャンをピッチに送り込んだ。ボール支配率はドイツ60%、アルゼンチン40%。勝負の時を見定め、土俵際で粘る相手を延長戦で押し切った。

 2000年の欧州選手権で1次リーグ敗退を喫したのを機に、ドイツ・サッカー協会は育成年代の環境を見直し、全国から才能を発掘するシステムを築いた。就任9年目のレーウ監督が集まった若いタレントを長期的に起用しながら、選手層を厚くした。

 「優勝はドイツの優秀な育成と強化策のたまもの」と胸を張る指揮官。一時は衰退がささやかれたが、20回目の節目の大会で復活の雄たけびを上げた。

(リオデジャネイロ・原田遼)