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オリンピック 特集・連載

<クローズアップ ソチ> スピード界、育成課題

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◆強化遅れメダル0 一枚岩で代表合宿を

 「金を含む三つ以上」を目標に掲げたスピードスケート日本代表のメダルは、2006年トリノ五輪以来2大会ぶりのゼロに終わった。通算15個のメダルを獲得してきた日本期待の競技の不振ぶり。強化策を抜本的に見直し、一貫性のある指導体制を求める声も上がっている。

 第一の誤算は男子500メートル。前回バンクーバー五輪で銀、銅メダルを獲得した長島圭一郎、加藤条治(ともに日本電産サンキョー)が6位と5位に終わった。1998年長野五輪で清水宏保が手にした金1個を筆頭に銀、銅各4個のメダルを誇る「お家芸」でのつまずきが最後まで響いた。女子短距離期待の小平奈緒(相沢病院)も表彰台は遠かった。

 深刻なのは有望な若手の不在。日本代表17人のうち初出場が10人を占めたが、大半は中堅ともいえる20代半ば。若手の台頭が見られず、前途は極めて厳しい。

 企業スポーツに詳しい愛知大の新井野洋一教授(スポーツ社会学)は「人材育成が一本化できていない」と日本スピードスケート界の問題点を指摘する。企業チームの所属選手、個人スポンサーの支援に頼る選手、高校や大学のスケート部員…。代表強化合宿でさえ、異なる立場の選手全員が一堂に会することが少ないのが現状だ。

 清水が500メートルで銀メダルを獲得した02年ソルトレークシティー五輪で日本代表コーチを務め、現在は北海道・白樺学園高で指導する和田貴志さん(37)は「実力者が一緒に練習するだけでも大きな刺激になる。有力選手に絞った少人数の合宿を重ねることが有効」と提言する。

 数年前まで合宿中の食事がチームごとに別々だった事実が物語るように、企業間のライバル意識は根強い。ある競技関係者は「有力選手や指導者同士の積極的な交流はなく、閉鎖的な育成環境は解消されていない」と明かす。

 ソチではオランダの「オレンジ旋風」が吹き荒れた。男女計4種目で表彰台を独占し、全12種目で23個のメダルを獲得。強豪国の強化の速度は日本の想像を超えていた。

 和田さんによると、オランダも10年ほど前は日本同様に有力選手の所属先が分散していたが、効率的な強化策の手段として所属先を七つのプロチームに絞っている。代表レベルの選手が強豪チームで切磋琢磨(せっさたくま)する。

 各チームの指導者が定期的に情報交換の場を持つなど、チームの枠を超えた取り組みも目立つという。

 オランダは体格面での優位に加え、日本や韓国を参考にしたフォームの改良といった技術面の強化も進め、結果を残した。

 和田さんは「所属の垣根を取り払い、一枚岩で一貫した強化を進めることが、日本の将来につながる」と訴える。

(深世古峻一)