中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > アーカイブ2008 > 防衛利権 蜜月の構図 > 記事一覧 > 11月の記事 > 記事

ここから本文

【防衛利権 蜜月の構図】

<蜜月の終焉> ミライズに固執

2007年11月10日

 音楽隊が奏でる勇壮なマーチが響く中、両翼に大きなエンジンをかかえた白い機体が姿を現した。7月上旬、岐阜県の川崎重工業岐阜工場。防衛省が開発した航空自衛隊の次期輸送機(CX)の試作第一号が初めて公開された。

 同時にお披露目された海上自衛隊の次期哨戒機(PX)と合わせ、開発費は計約3450億円。1機約100億円のCXは40機余り生産される計画だ。「防衛省にとって久々のビッグプロジェクト。歴代長官も顔を見せ、華やかな式典だった」。出席した防衛省幹部はそう振り返る。

   ■   ■

 CXのエンジンは米ゼネラル・エレクトリック(GE)製の「CF6」。1999年6月に防衛専門商社「山田洋行」が、販売代理権を獲得した。業務上横領容疑で東京地検特捜部に逮捕された「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者(69)が熱心な営業活動を繰り広げた結果といわれた。

 「エンジンに目を付けたのは宮崎の才覚だ。機体は納入すればしばらく利益が出ないが、エンジン部品は毎年のように交換があって収益になる」(山田洋行関係者)

 CXのエンジンにCF6採用が決まったのは2003年8月。代理店の山田洋行は05−06年に5基、計約39億円(付属部品を含む)を防衛省との随意契約で受注した。CXエンジン本体は1基約6億円。部品を含めると全体で1000億円の商権といわれる。

 しかし、「宮崎商店」といわれた山田洋行に異変が起きた。経営をめぐる対立から昨年9月、宮崎は日本ミライズを設立。GEエンジンの担当者もそっくり移籍した。「エンジンの性能を知り尽くした人が、こぞって移ってしまった。商品が分かる人でなければ一緒に仕事はできない」(GE日本法人幹部)。代理店は切り替えられた。

 GEのミライズへの信頼度は高かった。仮に正式に契約が切れる今年7月末以前に入札があっても、「山田洋行には代理店証明を出さない」と防衛省に宣言。強固なGEの姿勢に、防衛省は入札日を7月末以降に設定するしかなかった。

   ■   ■

 「なぜミライズとの随契(随意契約)じゃだめなんだ」。CX試作機向けの残る1基のエンジンについて、競争入札の見通しを説明する部下に、防衛事務次官の守屋武昌(63)が声を荒らげたのはこれより少し前だ。

 同省は、本年度から随意契約を見直し、一般競争入札を原則とすることにしていた。ミライズには大規模装備品の入札参加資格はないが、入札には「GEとの代理店契約」との要件があった。

 「入札不調になれば随契に移行し、結果的に受注できるのはミライズだけ。なぜ初めから随契にこだわるのか、不思議だった」。ある幹部は守屋の言動をいぶかる。

 GEがなぜミライズとの代理店契約に固執したのか。CX調達に絡んで守屋が宮崎に便宜供与を図った事実は−。特捜部が解明すべき点は多い。 (文中敬称略)

 

この記事を印刷する

PR情報



おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ