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能登半島地震特集

能登半島地震 11カ月(2)  防寒で自前の断熱材

雪が玄関に入り込まないよう取り付けた囲い=穴水町大町で

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穴水の坂本さん

 早朝からの雪は二十センチ近くなり、プレハブ平屋建ての仮設住宅を白く、すっぽりと包んだ。二月中旬、穴水町大町の仮設住宅では、坂本菊枝さん(85)がいつものように、仲間と共同施設の談話室にいた。一人暮らしの坂本さん。「とくに雪が降ると、部屋の中に一人でいるがが何か心細てね」

 仮設住宅から北東に約一キロ、同町川島に坂本さんの自宅があった。五年前に死別した夫と一人娘との思い出の家。昨年三月、地震で全壊し、一人で仮設に入居した。家は取り壊され、さら地となった。

 「前の家は十五部屋ぐらいあったさかいね、冬は寒かったわいね。今じゃ二部屋さかい、ぬくいわいね」。気丈にそう言い、笑顔を見せる。

 初めての仮設の冬。深夜、スチール製プレハブの壁の外は、氷点下にまで冷え込む。間取りは、洋間と和室の二部屋(各四畳半)に、台所と風呂場。以前からひざを痛め、広い仮設住宅に代えてもらった。それでも痛いほどの冷たさと、温度差による結露に悩まされる。

 洋間の暖房器具は、備え付けのエアコン、床には電気カーペットに加え、こたつを置く。「畳がないさかい、電気カーペットを敷いとかんと、下から寒さがくるさかい」と坂本さん。

 和室の寝室にベッドを置く。畳部屋だが、プレハブ特有の寒気に目覚める。自治会長の皆森陽一さん(59)が「断熱材を張れば、寒さも和らぐ」とアドバイス。知人に頼んで、窓側の壁面全体に厚さ一センチの発泡スチロールを張った。「効果があるかどうかは分からんけど、冷たいさかいね」

 穴水町大町の仮設住宅は四十五戸。穴水港から北西約一キロの平たん地に今も三十五世帯、六十八人が生活する。坂本さんのように、一人暮らしの高齢者も多く、年金が生活費の頼みの綱だ。

 町では、防寒対策として、七十五歳以上の一人暮らしや高齢者世帯、生活保護世帯を対象に、町の入浴施設で利用できる五千円分の助成券を支給している。

 坂本さんは仮設に移ったことで部屋が狭くなり、昨冬まで使っていたファンヒーターを置いていない。ただ、光熱費は自己負担となるため、節約を兼ねて日中はなるべく、談話室で過ごすよう心掛けているという。

 「ここ(談話室)に来れば、電気代もいらんしね」と坂本さん。談話室にいれば、同じ入居者が集まり、手工芸品を作ったり、話をしたりして、心の寒さもしのげる。

 二月下旬に入っても寒気は緩まない。坂本さんは、冬前に玄関のひさしを五十センチ延ばし、周りをビニール製の囲いで覆った。風呂も週三回、巡回バスに乗って町内の風呂施設に出掛ける。

 室内に飾られた娘(63)と孫らの写真。金沢市内で家族が暮らす。「いずれも子どもに世話にならんぎけども…、できるだけ長く、元気に心配かけんとおることが、親の務めやと思とりん」。春の訪れを、心の底からこいねがう。

 

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