トップ > 北陸中日新聞から > 日本海文学大賞 > 第18回 > 小説部門大賞

ここから本文

第18回 日本海文学大賞 小説部門大賞

小説部門大賞

大島直次さん

「定年になったらもう一度文学の方へ戻ってみたいと思っていた」と話す大島直次さん=東京・銀座で

死から生の希望描いた
『崖』 大島直次さん




 −この賞の最後の大賞作となりました。

 「びっくりしていますよ、自分が。でも認められるということはうれしいですね」

 −満足のいく出来だった?

 「手応えはありました。最近書いた三作の中では一番よかった。足りないところはもちろんありますが、60−70点ぐらいはつけられるんじゃないかな」

 −学生時代から書き続けていたのですか。

 「いや、学生時代に書いた作品が『文学界』の同人誌評に載ったことがあるのですが、それっきりになりました。感動する心は失わないようにしてきたつもりですが、感覚的なブランクは大きかったと思います」

 −創作を再開したきっかけは。

 「58歳の時に体を壊して、外を飛び回る仕事はもうできないと実感しました。それで定年を見据えてもう一度書こうと思ったんです」

 −受賞作の狙いは。

 「主人公を死に際に追いやって今まで考えてきたことを語らせた。死を書くことで逆に生きる希望みたいなものを表現したかった」

 −父への反発と理解という設定はどこから。

 「父は92歳で健在です。確執があったわけじゃなくて、あれはまるっきり創作です。ただ、途中で出てくる大腿(だいたい)骨とう壊死(えし)の誤診は体験です。ショックでした」

 −故郷はどこかに投影されていますか。

 「作品に“峠の街”が出てきます。生まれた北海道の上川というのがそんな感じで、旭川の近くの町なんですが、峠から町が見下ろせました。受賞したのは“峠の街”シリーズ三部作の完結編に当たるものです」

 −今後のテーマは。

 「我々の(学園紛争)世代は体に入っているのか、弱っちい人々を主人公に社会の仕組みがかぶさってくるような作品を書いてみたいですね。社会派であって個人を掘り下げるような」


「崖」 第1回 へ

 

 おおしま・なおじ 1947年、北海道生まれ。弘前大学卒業。在学中に同人誌「蒼い馬」創刊に参加。綜合ユニコム(情報・出版)勤務。埼玉県新座市在住。

「崖」各回紹介

第1回 | 第2回 | 第3回 | 第4回 | 第5回 | 第6回 | 第7回 | 第8回 | 第9回 | 第10回 | 第11回 | 第12回 | 第13回 | 第14回 | 第15回 | 第16回 | 第17回 | 第18回 | 第19回

選考会結果

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索