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第17回 日本海文学大賞 小説部門北陸賞

小説部門北陸賞

能美龍一郎さん

「地方の強みを生かして書き続けたい」と語る能美龍一郎さん=金沢市の会社事務所で

無名の人掘り起こす
『群青の人』 能美龍一郎さん




 本名・早瀬徹で応募した現代小説「影踏み」で佳作に選ばれたのは、七年前の第十回。その後、歴史時代小説に的を絞って書いている。最近ようやく手応えらしいものを感じるようになった。

「金沢には裏小路にも歴史が流れている。前田さんにばかり光が当たるけど、それを支える大勢の裏方たちがいたはず。そういう人たちを掘り起こすのが、後世の人間の役割だと思うんです」

 受賞作は江戸時代、伊能忠敬の測量隊で、穏やかな能登半島の内浦を行った忠敬に代わり、厳しい外浦を任された郡蔵という男を取り上げた。

 図書館に通い、加賀藩関係の資料や多くの文献に当たって書き上げた作品は、最終選考で「よく調べてある」「測量の旅の苦悩が伝わった」などと評価された。

 父の実家が石川県門前町で、小さいころ夏休みになると外浦の海でよく遊んだ。いつか能州を舞台にした作品を書きたいと思っていた。自分の知っている空気、知っている水の色なら現実味が増すとも考えた。

 とはいえ、小説は人間を描くもの。二〇〇四年ごろ書いて、作品が熟成するのを待ったが「登場人物の性格付け、事件との関連をどうするか。その辺りの整理は最後の最後まで悩んだ」という。

 本賞に続いて二十五日、江戸の細工人を描いた「かざりや清次」で、第三十四回泉鏡花記念金沢市民文学賞を受賞した。今後も城下町に残る多くのエピソードを手掛かりに、「読んで楽しい、心にしみるような小説を書き続けたい」。


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 きじま・じろう 1951(昭和26)年、広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大手広告代理店勤務、雑誌記者を経て地域新聞記者。「北方文学」同人。第17回コスモス文学賞短編小説部門で文学賞受賞。第15回日本海文学大賞で「湯ノ川」が佳作に選ばれた。新潟県柏崎市在住。

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