トップ > 北陸中日新聞から > 北陸中日懇話会 > 過去の講演要旨 > 記事

ここから本文

北陸中日懇話会

テロで感じた仏の「自由」 作家 荻野アンナさん

パリ同時多発テロ以後のフランスについて講演する荻野アンナさん=25日、金沢市のKKRホテル金沢で

写真

 北陸中日懇話会の八月例会が二十五日、金沢市内のホテルであり、芥川賞作家で慶応大文学部教授(フランス文学)の荻野アンナさん(60)が講演した。二〇一五年十一月に起きたパリ同時多発テロ直後に訪れた街の様子や、危機的な状況にあるときこそ団結し「自由」であろうとしていたフランス国民の意識を紹介した。 (小坂亮太)

講演要旨

 テロ発生の二週間後にパリに行き、現場を見た。日本の歌手が使ったこともあるコンサート会場「バタクラン」は、一番犠牲者が多かった場所。その中や周辺にはたくさんの花やろうそく、メッセージが飾ってあった。中でも「怖がるのはよそう」という言葉や「自由」の文字が目立った。恐怖を持ってはいけない、自由であろうというのがテロ後の住民の感情だったということが分かる。

 街灯にはキリストのシールも貼ってあった。カトリック国だったフランスは大革命後、宗教を持たず自由、平等、博愛を尊重するという建前になっているが、大きなことが起こると根深い信仰が出てくるのだろう。

 必ずしもテロを怖がらなかったわけではない。それでもあえて外に出て、銃撃されたカフェのテラスでコーヒーを飲む。平常心を失わないことがなすべきことだという感覚をフランス中の人が分かち持ち、過激派に対峙(たいじ)していた。

 「自由」の定義は難しいが、それは何なのかを一度考えてみたいと思わせてくれたのが、この現場巡りだった。日本は世の中がひっくり返るような政治の革命は経験していないが、平和を未来につなげるためには、市民としての自覚を持ち、自由であろうとする心が必要なのだと思う。

     ◇

 次回は九月十四日午前十一時から金沢市本町のホテル日航金沢で、北陸大経済経営学部の李鋼哲准教授が「朝鮮半島情勢の歴史的検証〜戦争か平和か〜」と題して講演する。問い合わせは北陸中日懇話会=電076(233)4643=へ。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索