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popress【Work & Life】働き方や生き方を考える
 

暮らし見直す 電気の家庭菜園 ミニ太陽光発電が人気

ミニ太陽光発電システムにつないでLEDライトを点灯させる白石さん(右)=いずれも岐阜県飛騨市古川町中野で

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 原発事故以降に再生可能エネルギーが注目を集める中、安くて簡単な機器を使って太陽光発電を体験する取り組みが、若い世代を中心に広がっている。少量ながら電気を自分たちで“手作り”してみることで、普段の暮らしと電気の使い方を見つめ直す。電気の「家庭菜園」に例えられる試みを岐阜県内で取材した。

 自然豊かな山里の岐阜県飛騨市古川町中野地区の古民家で11月中旬、太陽光発電のミニシステムを作る講座が開かれた。

 「わたしたち電力」と名付けられた講座は、社会問題を前向きに解決するアイデアを提案するウェブマガジン「グリーンズ・ドット・ジェイピー」を運営するNPOグリーンズ(東京都)と、相模原市の市民グループ「藤野電力」が全国各地で開いている。

 講師は藤野電力の吉岡直樹さん(48)。本業はグラフィックデザイナーで電気の専門家ではないが、「基本を学べば初心者でも製作できます」という。今回集まった25人も初心者ばかり。

ケーブルに接続端子を取り付ける方法を解説する吉岡さん(右)

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 家主の白石達史さん(30)が藤野電力から購入した製作キット=表参照=を使い、作り方を学ぶ。キットは最大出力50ワットの太陽光パネル、300ワットまでの電化製品が接続できる市販のバッテリーなどを含み、ほぼ実費の4万2800円。住宅の屋根に取り付ける太陽光発電システムは出力4キロワット、費用200万円前後が一般的だから、今回は費用も発電量も「ミニ」だ。「小さなシステムだからこそ、いろいろと使い道を考えるのがおもしろいですよ」と吉岡さん。

まずは仕組みの勉強

 この日は初冬ながら日差しに恵まれた“発電日和”。講座は電気について知ることから始まった。電気をホースから出る水に例え、電圧(V)は「ホースから出る水の勢い」、電流(A)は「流れ出る水の量」、電力(W)は「洗車など実際に使われる水の仕事量」といった具合に進む。発電する電気は「直流」だが、家庭のコンセントから供給される電気は「交流」。この違いは後で重要になる。

組み立て途中の太陽光発電パネルを外の日差しに当てる参加者たち

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 キットの中身を確認し、太陽光パネルやバッテリー、チャージコントローラーなど機器と機器をケーブルでつないでいく。特殊なペンチを使い、▽ケーブルの皮膜をはがして芯線をむき出しにする▽接続端子を固定▽端子を機器につなぐ−作業を繰り返す。ペンチで端子をカチッととめる作業に「意外に快感」との声が上がり、笑い声に包まれた。

 機器をつなぐ際にそれぞれの役割を確認。吉岡さんは「電気はプラスからマイナスに流れる。安全のためにバッテリーとつなぐ時は必ずプラスから、外す時はマイナスから」などと教える。

 発光ダイオード(LED)ライトを取り付けて完成。白石さんが緊張しながらスイッチを入れると、光った! 手分けして作った参加者から拍手と歓声が上がった。

 このライトは一般の家庭用製品と異なる直流の仕様。交流に変換すると、電気の2割ほどが失われてしまうため、「せっかく発電した電気は無駄にせず、直流のまま使いたい」と吉岡さん。携帯電話やノートパソコンなどバッテリーやACアダプターを使う電子機器はDCソケットという装置を介せば直流のままで大丈夫。

インターネット電話「スカイプ」で海外とのテレビ電話を試す参加者

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毎日使って劣化防止

 一日を通じて日照が十分な場合、発電量は小型のノートパソコンなら4時間、6ワットのLEDライトなら30時間使える程度。キットは使わないとバッテリーが劣化するため、「布団を干す感覚」でパネルを毎日屋外に出すのがポイントという。

 最後に発電システムに無線LAN機器をつなぎ、白石さんは米国やカンボジアに暮らす友人に向け、インターネット電話「スカイプ」に挑戦。映像や音声は途切れることなく、会話を楽しめた。

 吉岡さんら主宰者は講座を「電気の家庭菜園」と例える。家庭菜園を通じ、食材の安全性や味、価格に対する意識を深めるように、「暮らしで使う電気について考えるきっかけ」を目指している。例えば、このシステムにつないでも使えない電化製品は電気をたくさん消費すると分かる。参加した岐阜県高山市の家具製造業、西村健児さん(37)は「自分にとって現実的な価格と規模の発電システム。やってみる価値はある」と関心を示していた。

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 藤野電力はこうした講座を110回以上開催。作ったシステムの出力を合計すると、一般住宅10軒を賄える3万2000ワットに上るという。小さな「ソーラーパワー」の大きな可能性を実感した。

 担当・角雄記

 ※次回は11日付Attention! 自宅などプライベートな空間を一般に開放する「住み開き」を特集します。

 

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