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popress【Work & Life】働き方や生き方を考える
 

悩みに効く!? 自己啓発書

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 自分の性格や能力、お金、人間関係、将来…。ふと気が付けば人生って悩みばっかり。とりわけ現代は価値観が多様化し、仕事から私生活まで、「型」を見つけにくい。そんな中で助けになるものの一つが、本。悩みの分だけさまざまな「自己啓発書」が出版されている。ただ、数が多くてどれを選ぶかがまた悩ましいところ。図書館の司書や書店員、街の人たちにお薦めを聞いた。(担当・日下部弘太)

本の専門家に聞く

「歴史を学べ」「謝るが勝ち」

時代超える共感

 ぜひ読むべき自己啓発書はどれか。本の専門家に教えてもらおうと、まずは金沢市の金沢海みらい図書館を訪ねた。司書の岡田奈留美さん(42)が1番に推したのは、「わが息子よ、君はどう生きるか」。今から300年ほど前の英国の政治家が息子に宛てた書簡集だ。

 「知っていても知らないふりをして相手の話を聞く」「物腰は柔らかに、意志は強固に」などの処世術から「歴史を学べ」「自分の頭で考えよ。『一般論』が正しかったためしなどない」といった人生訓まで幅広い。「時代が変わっても、基本は変わりません」と岡田さんはきっぱり。

 カナダ人経営者の「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」も同じ形式。古人の言行を引きながら、仕事だけでなく、家庭や人生の意味にも触れる。「機会があるうちに子供たちを釣りに連れて行くことよりも大切なことはこの世にはいくつもない」。うーん、しびれる。

 根本的な生き方まで考えさせるのは、「孤独であるためのレッスン」。仲良しグループに入ってなきゃ、みたいな強迫観念から抜け出して、1人でいる勇気を身に付けるよう諭す。確かに、カッコイイ大人って「孤」でいられるよなあ、と納得。

 真面目な3冊に続き、「読みやすいのも」と挙げたのは「名言セラピー」。さまざまな本やビジネスの例から、幸せのヒントを提案する。発明王エジソンの逸話を引いて「経験には2種類しかない。成功か、学びか」とか。語り口も軽快で、元気が湧く本だ。

自分の目で選ぶ

 次に向かったのは金沢ビーンズ明文堂書店。自己啓発書は棚の両側を埋めるほどびっしり並ぶ。「出版数は毎年増えてますね」と話す担当、北川顕太さん(26)のイチオシは、何と漫画。こんなにたくさんある中から、漫画…。

 「よ〜し!やる三(ぞう)」というタイトルにも期待値は下がるが、開いて印象が一変。古着店でアルバイトする「やる三」の成長とともに、「笑顔」「あいさつと返事は元気良く」「謝るが勝ち」「人の言うことを素直に聞き、行動に移す」といったポイントを示す。本を閉じた瞬間から使える内容だ。

 そのほか、同じく基本を分かりやすく解説する「仕事のルール」や、女性向けには「働く女(ひと)のルール」。さまざまな職業の男性が働く理由を語る「オヤジの教科書」もシブい。

 北川さんは、選び方のアドバイスもくれた。「自分が面白いと感じた本が当たり。ベストセラーでも書評で五つ星でも関係ありません。世間に流されず、少し読んでみて選んで」

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社会人のイチ押し

「断捨離」スッキリ ■ 読むたび気付き

 自己啓発書を生活や仕事に役立てている若者も。金沢市の会社員、松尾高子さん(29)は1カ月前、「断捨離」を手に取った。バイクの鍵を紛失。3日間捜し回って発見できず、自宅の整頓に本腰を入れるためだった。

 本に従い、とにかく物を捨てた。未練を断ち切ろうと友人も応援に呼んだ。勢い余って必要な物も一部捨ててしまったが、ほぼ物置だった一室が、使える部屋に戻った。「スッキリした気分で暮らせる」と効果を実感する。

 以前、原因不明の不眠に困り、生活習慣を改善する啓発本を何冊か読んで試したが、効果なし。今回うまくいった理由を、「物を捨てることは読む前から決めていて、本が後押ししてくれた」と分析する。

 石川県七尾市でフィットネス教室を運営する須原絵里さん(27)は啓発本を意識改革に使ったといい、「仕事もプライベートも好調です」。

 米国の精神科医が書いた「パワーか、フォースか」。恐れや不満といった負の感情を数値化し、意識を浄化して解消するのだとか。感情を数値に…。眉唾にも思えるが、「簡単に言うと、何事にも『ありがとう』と思えるかどうかが大事」と解説してくれた。

 「社会人になってから30冊は読んだ」と話すのは、金沢市内で障害者の就労支援会社を営む奥山純一さん(29)。中でも、英国の作家が100年以上前に著した「『原因』と『結果』の法則」を薦める。「自分に今起きていることは、外部ではなく内的要因から来ている」と、自らを見つめるよう説く本だとか。

 一方で、「言い回しが違うだけで、どの本もほぼ同じことを書いている」と意外な発言も。ではなぜ何冊も? 「こちらが変わるので、読むたびに気付きが違う。もちろん、同じ内容でも表現の仕方で納得度が変わることもあります」

 ※次回は6月1日付Attention! 初めてでも楽しめる、クラシック音楽の世界に誘います。

 

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