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popress【Work & Life】働き方や生き方を考える
 

休学の葛藤 共有し前へ 若者の「うつ」 学生編

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 学内になんとなく漂う同調圧力の息苦しさや将来への閉塞(へいそく)感、就活に対する不安…。「生きづらい。でも誰にも相談できない」。悩みを胸に抱えたまま、孤立して休学に追い込まれる学生たちがいる。そうした中、学生同士が互いにつながり、支え合う場をつくろうとする動きが始まっている。東京都内で活動する「YouthLINK(ユースリンク)」の取り組みを取材した。

社会と関われず悩む

 「私だけじゃなかった」。休学経験のある大学3年のナツミさん(仮名)は、ユースリンクが昨秋開いた催しに参加してほっとした気分になった。

 小学時代に不登校を経験。大学入学後はボランティアサークルに入ってみたものの、「情熱の炎をメラメラ燃やす人ばかりで合わなかった」。

 休学中は社会と関われないもどかしさを感じ、もんもんとしながら過ごした時期もあった。だが似たような気持ちを持つ学生の悩みに接し、今はユースリンクのメンバーとして支える側に回っている。「今はじっと耳を傾ける、静かな水のような活動。自分にもできる」と話す。

生きづらさ語り合う

 ユースリンクは、NPO法人自殺対策支援センター「ライフリンク」(東京)の学生プロジェクトとして2011年10月に活動を開始。ライフリンクが開いた学生向けの意見交換会で、参加者が「休学していた時、生きるのがものすごくしんどかった」と告白したことがきっかけだった。

 関心のある学生や行政などとの意見交換会のほか、生きづらさを感じる学生同士が気持ちを語り合い、分かち合う「ボイス・シェアリング(VS)」が活動の柱だ。VSは毎月1回、東京都千代田区の区民館の和室を借りて開いている。▽聞いたことは口外しない▽他の人の話に途中で割り込まない▽互いの悩みや思いを評価したり比較したりしない−などのルールを決め、話しやすい環境をつくっている。

 畳の上に車座になり、お茶やお菓子を囲んでそれぞれの悩みを話し合い、耳を傾ける。参加人数は2、3人の時もあれば、10人を超すことも。みんな真剣で、考える時間が何分も続くこともあるそうだ。

相談で自分を客観視

 「自分がその場にフィットする感覚を初めて持てた」。心の病気で休学や中退を繰り返し、現在は3回目の大学生活を送る広瀬君(仮名)はVSについてこう話す。

 引きこもった経験もある広瀬君は「休学生は『だめだ、だめだ』と自縄自縛に陥りがち」と説明する。家族の理解と支えはあったが、相談できる場所や相手がなかった。でもVSに出合い、3回目の学生生活は軌道に乗ってきた。「自分を俯瞰(ふかん)して見られるようになったし、体調も良くなってきた」と効果を感じている。

 北陸地方の各大学でも、心理カウンセラーによる相談窓口を設けるなどしてメンタル面の支援を行っているが、休学や引きこもりの経験者同士で語り合える場はほとんどないのが現状。VSには時折、京都府など遠方からの参加者もいるという。全国に活動を広げたいとメンバーは願っている。

就活の重圧も追い込む一因

 学生が生きづらさを感じる背景には、今どきの「就活」の大変さも影響しているようだ。ライフリンクが今季に就職活動中の学生121人を対象に行った意識調査では、「いま現在、本気で『死にたい』『消えたい』と考えている」と答えた学生が12人に上った。

 就活に対して不満を持つ学生は86人、不安を抱く学生は99人に。主な不満では、「新卒一括採用でほぼ将来が決まってしまう」ことや、「不透明な選考過程」などが挙げられた。不安の理由(複数回答)は「希望の就職先から内定をもらえないのでは」(62人)、「正社員になれないのでは」(51人)などだった。

 友人・知人を「就活の相談相手」と104人が答えた一方で、62人が「最もプレッシャーとなる情報源」と答え、複雑な心境をうかがわせた。友人が内定をもらうようになる5月以降には追い詰められるリスクもある。

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 ライフリンクが3月に開いた調査結果の報告会では、出席した学生から、選考に落ちた理由が明確に示されないこと、採用基準が「コミュニケーション能力」といった抽象的な指標であることなどへの不信感が出された。落ちた理由が分からない分、学生は人格まで否定されたような気持ちになり、「たかが就活失敗」と割り切れない現状があるという。

 こうした背景もあってか、日本社会に対するマイナスイメージも強かった。「日本社会は正直者が報われる」は37人に対し、「バカを見る」が82人。「日本社会はやり直しがきく」は51人に対し、「きかない社会」が69人だった。

 担当・角雄記

 ※次回は15日付Attention! 若者向けにゴルフの楽しみ方を紹介します。

 

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