トップ > 北陸中日新聞から > popress > Work & Life > 記事

ここから本文

popress【Work & Life】働き方や生き方を考える
 

経営 生活目線で北陸の起業女子 頑張る(後編)

明石さんが手がけた冊子やDM=富山市で

写真

 北陸の「起業女子」を訪ねる2回シリーズ。後編は、暮らしに根ざした仕事の視点や事業の広げ方、家庭生活との両立といった「女性ならでは」の面に焦点を当てる。子どものために始めた趣味が仕事になったり、母親のネットワークが役立ったり。男性中心のビジネスの世界で苦労ばかりかと思いきや、意外とプラス面もあるらしい。(担当・日下部弘太)

写真

ママ友から注文

雑貨店経営・玉山さん

 かわいらしいバッグや服、小物が棚に所狭しと並ぶ。石川県津幡町の玉山奈都さん(33)が雑貨店「Na2(ナナ)」を開くに至ったきっかけは、母親になったこと。長男(8)がおなかにいた9年前、生まれてくる赤ちゃんにと、趣味の縫い物を本格的に始めた。

 「毎日ヒマで」作るうち、ミシンに向かうのが大好きだと気付いた。作品が増え、ママ友に譲る機会も多くなった。店を持つ夢がふくらみ、5年前に自宅を建てた際、一角を店に。大々的な宣伝はしてこなかったが、口コミを中心とした母親のネットワークで伝わるらしく、次々に新たな注文が舞い込む。

写真

「娘のため」原点

アルバム装飾・南部さん

 金沢市の南部好(よしみ)さん(35)は、写真アルバムを美しく飾る「スクラップブッキング」を教える。3年前、自宅を教室に「プチ起業」。少しずつ場所と回数を増やし、4月には別のパートを辞めて専念するつもりだ。

 もともとは長女(4)が生まれ、「お嫁に行くときにかわいいアルバムを残したい」との親心で始め、魅力に引き込まれた。玉山さんと同じく、母親ならではの起業の芽だった。

写真

編集に家庭感覚

デザイン会社・明石さん

 富山市の明石あおいさん(36)は、仕事に女性らしい感覚が息づく。2011年6月、長く携わってきた地域おこしとデザインの経験を古里に役立てようとUターンし、「ワールドリー・デザイン」を設立した。自治体や民間の依頼で冊子やDMを制作している。

 富山県砺波市に委託された地域の紹介冊子「砺波ライフスタイルブック」の郷土料理編は、レシピ集のよう。家庭で実際に郷土料理を作ってもらう発想だ。「地域に根付いた知恵は、生活の知恵。主婦が使えるものがたくさんある」。地域おこしは、女性こそ活躍の場が多いと信じる。

 明石さんは、女性の「希少さ」も意識的に活用している。県内の女性たちが執筆する情報誌「itona(いとな)」を発行。「女性くくりで何かできるのは、女性のメリットかも」

 こうした視点が評価され、業績アップにもつながった。会社は2年目を迎えて依頼が殺到。「社員を雇わないと」と喜ぶ。

手作りの小物が並ぶ玉山さんの店内(右)とバッグ(左)=石川県津幡町で

写真

女性こそのメリットも

 女性であることについては、他の経営者たちも「細かい点まで気が付くとお客さんに言われる」(前編に登場したコミュノグラフの竹島さん)、「助け合う感じで仕事を進められる」(同じく、G−VOICEの小杉さん)など、利点が大きいと考えている人が多かった。

 逆に、女性ゆえの不利益は「あまり感じない」とか。明石さんが話す。「10年以上社会人をやって、女だからとバカにされたり、いじめられたりしてきて、割り切っている」。そんなつまらない人たちを相手にするヒマはないと言わんばかりだ。

 一方で家庭生活、特に子育てとの両立は、他の働く女性と同じく、何とか折り合いを付けているのが現実のよう。「商品を夜中に作り、日曜も店を休めない。家族には迷惑を掛けている」と玉山さん。仕事も子育ても、は決してわがままではないはず。だが、多忙から抜け出す良案はまだ見えてこない。

南部さんのスクラップブッキングの作品

写真

男性中心 変える力に

ジェンダー論 杉田金大准教授

 起業という形で活躍する女性が増えていくことには、どのような意義があるのだろうか。金沢大の杉田真衣准教授(ジェンダー論)は、「男性中心の企業のあり方を変えていく可能性に期待したい」と力を込める。

 特に、出産や育児をしながら起業した女性経営者は、自分も社員も働きやすい職場づくりに取り組むことが多いという。「そうした動きが風穴を開け、社会全体を変えていけば」と杉田さん。

 また、女性の視点が新たな産業の創出につながることや、より社会的な意味を重視した仕事の考え方への期待も。杉田さんは「もちろん『男性並み』に頑張るのも素晴らしい。同時に、子どもを育てながら、食べていけるだけの仕事をつくる女性の存在もとても大事です」と話す。

 ※次回は27日付Attention! 15世紀以来の印刷技術で、最近見直されている「活版印刷」を特集します。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索