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popress【Work & Life】働き方や生き方を考える
 

社長業 私らしく 北陸の起業女子 頑張る(前編)

デザインを手掛ける「コミュノグラフ」のオフィス=富山市で

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 なかなか女性の社会進出が広がらない日本。中でも「保守的」とされる北陸だが、若くして会社をつくったり、店を開いたりする「起業女子」だってちゃんといる。そんなかっこいい彼女たちを、2回に分けて取り上げたい。前編は、大変そうな起業のイメージをくつがえす経営者たちを紹介する。

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仲間まとめ成長

デザイン事務所・竹島さん

 真新しい木の机に、薄い画面のパソコン。黒い壁にチョークで描かれた大小のギョーザの絵は遊び心にあふれ、いかにもデザイン事務所らしい。

 富山市内のビルの一室。竹島千代子さん(39)が1月に設立したばかりの「コミュノグラフ」は、竹島さんを含め社員6人。デザイナー、コピーライター、ウェブ技術者をそろえ、「コミュニケーションデザイン」を手掛ける。顧客の商品や事業の本質を見極め、販売促進の方法を提案することだという。

 ずっとデザイン業界で働き、うち5年間は個人事業主も経験。ただ、「社長」に興味はなかった。「義務や責任を負うのは嫌だった」。3年ほど前、ある経営者に話を聞いて見方が一変。「チームをまとめ、自分も学ぶ。組織として盛り上げていく楽しさを知った」

 昨年、市のセミナーで講師を務めて多くの人と会ったことも刺激になり、起業を決めた。社員は、仕事の知人らに声を掛けて集めた。「もうけたいのではなく、みんながしたいことをするための組織。プレッシャーは感じない」と話す。

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異業種経験 力に

イベント企画・小杉さん

 対照的に、金沢市の小杉裕香さん(31)は全く別の職種から転身した。米国の大学を卒業し、東京で料亭を運営する会社に就職。5年たった2010年、イベント企画会社を営む父親の誘いで金沢に戻り、里山が広がる石川県白山市木滑(きなめり)地区の活性化に取り組み始めた。翌年秋、その父が急死した。

 「父の事業を放置できない」と起業を決意。ただ引き継ぐのではなく、里山をはじめ新たな分野にも挑もうと1カ月後に新会社をつくり、社名も「G−VOICE」(ジーボイス)に。起業している親戚や司法書士に聞いて準備した。

 「先を見ないで起業して、今も毎日壁にぶつかっています」。苦笑しつつ、古里を離れて暮らした経験は必ず役立つと自負する。「どれだけ違った目で土地を見られるか。里山事業は異文化交流だと思うので」

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多忙でも楽しく

幼稚園、エステ・嘉門さん

 自分の好きなことを貫いて起業したパワフルな人も。金沢市の嘉門玲子さん(36)は、「10代のころから社長になりたかった」。亡き父親が市内で幼稚園を2つ経営。長女として園を継ぐという「義務」も意識しつつ、20代でハワイアンエステと鉄板焼きの店を持った。鉄板焼きは東京で2年修業し、エステはハワイに通って習得。相次いで開店を果たした。

 だが、父が突然亡くなり、園の理事長職も兼ねることに。あまりに多忙で体調を崩し、鉄板焼き店を知人に譲った。「今は5〜6時間寝られる。仕事は常に楽しい」。昨年休んだのは正月だけ。地域で一番の幼稚園づくりと、エステの店舗展開を目指す。

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目標へじっくり

料理教室講師・南さん

 「40歳から独立に向けて動き始めるつもりだった。実際にはもう動いていて、少し早いくらい」と話すのは、金沢市の管理栄養士、南友美さん(40)。「じっくり型」で起業の道を歩む。

 専門学校で教えるかたわら、地域の料理教室の講師を務める。和食なら着物、中華の回は中国風の衣装を着て、見た目でも魅了。これから教室を増やしていくことを構想中だ。

 福祉施設などで長く勤務。25歳ごろから、将来の起業も視野に入れて資金を貯めていた。40歳からと考えた理由は「どれだけ多くの人を見てきたか、という経験が財産になる」ときっぱり。目標に向け、地に足を着けて進んでいる。

同性同士で商機を

石川中心に交流会 情報交換など活発

 北陸の起業した仲間たちが互いに支え合おうと活動している団体が、「女性起業家交流会 in HOKURIKU」だ。石川を中心に北陸3県で起業したり、目指したりしている人たちでつくり、情報を交わし、勉強会を開いている。

 帝国データバンクによると、石川県の社長に占める女性の割合は5・9%。全国平均よりも1・29ポイント低く、47都道府県で42位。富山は31位、福井は32位と、いずれも下位にとどまる。

 夫婦の共働き率は3県とも全国トップレベルだが、交流会の萩原(はぎはら)扶未子代表は「職場のリーダー的な立場で働く女性は少なく、それが経営者の少なさに響いている」と分析。「志を同じくする女性が集まれば、さまざまな新しいビジネスを生み出せる」と、仲間が増えることを願う。

 担当・日下部弘太 ※次回は23日付Work&Life。「起業女子」の続編です。

 

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