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popress【Work & Life】働き方や生き方を考える
 

若者の「うつ」は今(続編) 仕事と休み 偏ってない?

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 降り積もる雪のように、次から次へとたまる仕事。今日もまた残業だと、ため息交じり…。「もう、うつになりそう」とぼやきたくなる若手も少なくないのでは? 今回は昨年11月に連載した特集「若者のうつは今」の続編。心の病にならないために気を付けることは何か。抑うつ状態で休職し職場に復帰した男性の経験から、理想の働き方に近づくためのワークライフバランスを考える。(担当・奥野斐)

休職のち復帰 男性の経験 

 富山市の食品関係の団体に勤める男性(40)は30代のころ、抑うつ状態になり、1カ月半休んだ。

 きっかけは数値目標が達成できず、会議で度々「責任を取れるのか」と詰め寄られたこと。挽回しようと夜も休日もがむしゃらに働いた。次第に不安で眠れなくなったが、「まさか自分が」「うつになるなんて恥ずかしい」と思い込み、誰にも相談できなかった。

 ついに限界だと思ったのは、5カ月後のある朝。入り口で立ち尽くし、職場に入れなくなった。上司に相談し、職場が契約する社外のメンタルヘルス相談窓口でカウンセリングを受けた。精神科で医師から診断が下った時、男性は「正直、ほっとした」と振り返る。

「なぜ自分が」考えた

 「職場から離れると、徐々に仕事への意欲が戻ってきました」。休職中、男性は週1回病院とカウンセリングに通いながら、自宅でテレビを見たり本を読んだりして過ごしたという。「体があっての仕事」と身に染みた。

 なぜうつになったのかを考え、気付いたことがある。

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 仕事とそれ以外の時間をつくることが大切だと実感した。「以前はあれもこれもと仕事を引き受け、優先順位が付いてなかった。やるべきことを決める。同僚や上司とのコミュニケーションも大事だと分かった」と話す。

時短勤務で体慣らす

 休んで1カ月半後、医師から復職の許可がおり、社外カウンセラーと相談して職場側に希望の部署を伝えた。男性の場合は最初の1週間は午前中のみ、2〜3週間目は午前9時〜午後3時の勤務、4週目からフルタイムの午後6時までと、職場の復職プログラムに従って体を慣らした。「周りの理解もあり、温かく迎えてもらえたからまた働こうと思えた」

 現在は40人の部下がいる管理職。かつての経験を踏まえ、上司として指示を出す時も相手の立場に立って言ったり、部下の仕事を把握するよう心掛けている。「今は仕事が楽しいんですよ」。男性はそう語り、笑顔を見せた。

「頑張りすぎないで」

 男性の職場は3年前から、メンタルヘルス対策の専門企業「プログレス」(富山市)と契約している。「心の病になる人は年に数人はいる。コストはかかるが、専門家にお願いして予防、早期発見、復職支援ができれば」と担当者は説明する。

 北陸地方で約50社と契約し、多くの従業員のカウンセリング、復職支援に携わってきたプログレス代表の西昭洋さん(36)は「男性のように1カ月半の休みで復帰できるケースは珍しい」と話す。長引いたり、戻ってもすぐに再発して休む人も少なくないからだ。

 西さんによると、1回目の復職で定着させることが再発させないポイントという。「これまでの働き方を見つめ、頑張りすぎないこと。仕事との距離を適度に取り、ワークライフバランスを意識して働くことが大切」と強調した。

専門家に聞く 理想の働き方

企業→仕事の効率化を

個人→時間配分決めて

 復職した男性や専門家が重要だと説くワークライフバランス。メンタルヘルスとも密接に関わることが調査から裏付けられている。

 調査報告書をまとめた公益財団法人日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所(東京)の今井保次フェロー(63)は「仕事と家庭のバランスがとれている人は、抑うつや疲労を感じにくいだけでなく、生きること全般においても前向き」と説明。「シーソーのようにどちらか一方に傾くのではなく、仕事も家庭も肯定的にとらえている」と話した。全国の民間企業の従業員や公務員らを対象に実施した健康調査をもとに分析した。

 また、ワークライフバランスというと、一般的に労働時間を短くすべきだと考えられがちだが、今井フェローの別の研究では、単に残業時間を減らせばいいわけではないことも分かったという。

 「企業は強制的にノー残業デーを設けたり夜は照明を切ったりしているが、それよりも仕事の効率化、業務の無駄をなくすことが重要」と指摘。「個人としては、自分の置かれた状況をふまえて何を重視するか考えること。時間配分を決めて働くことです」と助言した。

 ※次回は30日付Attention! 北陸の若者が手掛けた「ヒットしそうなキャラ」を紹介します。

 

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