トップ > 北陸中日新聞から > popress > Work & Life > 記事

ここから本文

popress【Work & Life】働き方や生き方を考える
 

便利さと 危うさと マイナンバー制って何?

写真

 「所得や納税額を確認したいので、あなたの番号を教えてください」「私は12345…です」−。近い将来、市役所の窓口などでそんなやりとりを交わすようになるかもしれない。全国民に番号を振って、国が個人の情報を把握する「共通番号(マイナンバー)制度」を導入するための法案が成立する可能性が出てきた。そもそも、マイナンバーって何?(担当・奥野斐、小椋由紀子)

教えて ばく先生

 今回は、難しい内容なので「新聞を隅から隅まで読んでいる」というポプレス公式キャラクターのばくに、解説してもらおう。

Q.マイナンバーって、どういう仕組み?

写真

 一人一人に番号が割り振られ、国が所得や過去に納めた保険料・税金の記録、健診情報、予防接種履歴などを管理するシステム。今ある住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)のほか、納税記録は税務署、年金関係は厚生労働省…と、複数の機関が持っている個人の情報が一つの番号で結び付けられるんだ。

Q なぜ今、導入するの?

写真

 一つは、先月成立した消費税の増税法が、ある意味マイナンバー制度を前提としているから。政府は、増税する代わりに低所得者には減税など負担を減らす対策を検討している。この時に、誰にどのくらい所得があるかをより正確に把握できるマイナンバー制度の導入が必要だという。

Q.メリットは?

写真

 例えば、行政の効率化。担当者は番号が分かれば、収入や納税額など必要な情報を得ることができるので、所得の過少申告や生活保護の不正受給などの“ズル”が防ぎやすくなる。同時に、お金が必要な低所得者に給付がより確実に行き渡るようにできる。

 私たちも便利になるという。給付金の申請や確定申告の際、いちいち納税証明書や住民票を各役所に取りに行って添付する手間がなくなり、手続きが簡単になる。番号が書かれた、ICチップと顔写真付きカードの配布は2014年秋にも始まる。さらに、パソコンから自分専用のページにアクセスし、保険料の納付状況を見たり申請手続きができるようになるそうだ。

Q.問題点や課題は?

写真

 プライバシーの侵害や、情報漏えいのおそれがあるという批判は根強い。情報が万が一流出すれば本人になりすまして年金などが不正に横取りされる危険性もある。実際、共通番号と同じような「社会保障番号」を導入している米国では、「なりすまし」が多発し、社会問題になっている。

 コストの問題もある。政府の説明ではシステムの導入経費だけで約5000億円。運用費も含め、実際どれだけの費用がかかるかは明らかになっていない。これだけの巨額を投資すべきなのか、議論されていないのが現状だ。

識者はどうみる 

問題に詳しい清水弁護士

情報管理、コスト 未解決

 マイナンバー制度の問題点を指摘してきた日弁連・情報問題対策委員長の清水勉弁護士に話を聞いた。

 政府は、社会保障や税の給付や負担を公平にするため、正確な所得の把握が必要と言う。だが番号制を導入しても、海外資産や事業所得、商取引などのすべてを把握することは不可能。それは政府も認めている。莫大(ばくだい)な費用をかける必要があるのか、費用対効果の検討もされていない。

 行政を効率化できるというが、そもそもいまある制度自体やその運用の仕方に問題があるということで、番号制を導入したからといって解決できる話ではないだろう。災害時に活用できるという主張もあるが、救援に個人識別は必要ない。

 国民に明確なメリットがない上、プライバシー侵害の危険は高まる。不正に番号を入手すれば、個人のいろいろな情報を集められるし、なりすましも容易になる。第三者機関でチェックしたり、罰則を設けても海外からの不正侵入には対処できないし、被害回復はできない。導入ありきで、十分な議論がされていないのが問題だ。

写真

金沢で街頭アンケート

「知ってる」 2人だけ

 どのくらいの人がマイナンバー制度を知ってるの? 制度をどう考えるのか。ポプレス編集部は8月下旬、JR金沢駅前で10〜30代の男女25人ずつ計50人を対象にアンケートをした。

 制度を「知っている」と答えたのは、30代女性2人だけ=グラフ(左)。「聞いたことはあるが、内容は知らない」という人が6人。残りの42人が「知らない」と答えた。10代は12人全員が聞いたことさえなかった。

写真

 編集部が資料を見せて説明し、制度をどう思うか複数回答で聞いたところ、「セキュリティーや個人情報の流出が心配」が最も多く、約半数の24人を占めた=同(右)。一方、次に多かったのは「便利になりそうだから、いいと思う」で13人。「国が個人情報を管理することに抵抗がある」が9人と続き、8人は「興味がない」と言い切った。

 そのほか「住基ネットもあるのに、また新たな制度をつくるのか」(10代男子学生)、「学籍番号みたいなものだと思う」(30代公務員男性)などの意見もあった。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索