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popress【Work & Life】働き方や生き方を考える
 

北陸の転職事情(中) 経験者に聞く 変化求め選んだ道

 若者の離職や転職の現状を探るべく、7月21日付本ページから始まったWork&Life特別編「会社辞めます」。2回目は、新たな仕事に就いたり、起業して経営者になった3人の過去と今を紹介する。彼らは何を思って仕事を替え、その後の生活はどう変化したのだろうか。(第3回は25日掲載予定)

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システムエンジニア→農業

美間伸彦さん(25)=石川県穴水町

会話ない職場 嫌だった

 最初は体が悲鳴を上げた。「毎日、足が棒のようになった。カボチャに囲まれる夢を見てうなされることもあった」と苦笑いする。

 デスクワークから太陽の下で体を動かす仕事がしたいと、2年半前、石川県穴水町で農業や宿泊施設の運営などを手掛ける「OkuruSky(オクルスカイ)」に転職した。毎朝7時半には出社し、畑仕事に精を出す。夏の間はミニトマトやカボチャ、スイカを収穫している。

 小さいころから田舎暮らしにあこがれていた。とはいえ、大阪府出身で親類に農家もおらず、農業で生活できるとは思えなかった。定年退職後に家庭農園ができればいい、ぐらいに考えていた。

 妻の出身地にある今の会社を紹介されたことが転機。前の職場では同じフロアに100人ほどが働いていたが、業務中の会話はほぼなく、息苦しく感じたことも会社を移る動機の一つになった。両親にも反対されたが、「新しいことに挑戦したい」という気持ちが勝った。

 給料は減り、生活は楽ではないが、「小さい会社の方が担当する仕事、責任が大きくやりがいがある」。

ビフォーアフター

■視力 パソコンばかり見ていて両目2.0あった視力が1.2まで下がったが、転職したら回復した。

■職場 以前の会社では、隣の席の人とメールで業務連絡することも。会話もなく、精神的にきつかった。

■勤務 よく終電近くまで残業していたが、今は午後6時すぎに退社できる。給料は下がった。

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営業社員→会社起業

高井佑讃史(しんじ)さん(37)=金沢市

「雇用主」の責任を痛感

 入社3年目の時、勤めていた大阪の住宅メーカーが破綻寸前に追い込まれた。地元の石川県に戻り、パソコン教室や人材派遣の仕事など紆余(うよ)曲折を経て、今の会社「エンパワー・サポート」(金沢市)の前身を起業。保育士に特化した人材派遣など保育支援事業を展開する。

 「人に使われるより、自分で何かしたい」と思った。実家が繊維業を営んでいたこともあり起業に抵抗はなかったが、家業を継ぐことは考えなかった。経営学を勉強していたわけでもない。「会社を興すのは簡単。本当は採算性や将来性を考えて始めないといけないけど、若気の至りだった」と振り返る。

 短時間でも働きたい女性は多い一方、受け入れる企業は少ない。そこを開拓し女性を支援したいという信念で始めたが、当初は売り上げが思うように伸びず、将来に不安を感じた社員が次々と辞めてしまった。「ニーズの把握や見通しが甘かった」

 その後は率先して営業に回り、取引実績も市内の保育所約50カ所に。景気や社会情勢に影響を受けるリスクは大きいが「やらない後悔より失敗を糧にする生き方を選びたい」と前向きだ。

ビフォーアフター

■健康 昔はなんでも三日坊主。風邪をひくことも多かったが、今は「何事も続けることが大事」だと日記を毎日書き、健康維持のため筋トレやウオーキングもしている。

■責任 人を雇用していく難しさと責任は常々感じている。

■魅力 お客さんの反応=会社の評価と思えるようになり、喜びも大きくなった。

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観光関係の仕事→団体職員

久保田瞳さん(28)=富山市

「地元のため」軸は不変

 「利益より、人のために働く。その意味では、やってることは変わらない」。富山の魅力を発信したいと観光関連の団体に就職したが、組織は自由度が低く、思ったような仕事ができなかった。もんもんとしていた時、東日本大震災が起きた。

 知人に「何か富山でできることはないか。観光面で助けて」と誘われ、富山で暮らす避難者を支援する団体「とやま311ネット」(富山市)を手伝うように。催しなどの運営に携わるうち、活動にのめり込んだ。

 転職に迷いはなかったが、親は反対した。「ボランティアに生きるのか」と友人に非難されたことも。故郷を離れざるを得なかった人たちと触れ合う中で「もっと地元を知り、伝えたい。富山のために働きたい」との思いを強め、辞職した。

 「観光の仕事をしたい」という軸は前職からぶれていない。昨年12月には自ら観光団体を立ち上げ、311ネットを引き継いだNPOで避難者向けイベントも続ける。「震災後、つながりの大切さを知った。忙しくて大変なことも多いが、周りの人の志の高さに学ぶことも多い」と語る。

ビフォーアフター

■勤務 「9時5時」の勤務だったが、土日も関係なく、何時に仕事が終わるか分からなくなった。夜も打ち合わせなどに出る。給料は若干増えた。

■運転 事務所内の仕事から、富山県内各地を奔走するように。日に100キロ、車で走ったことも。毎日会う人も桁違いに増えた。

■助言 一般企業への転職より人脈が大事だと思う。

異業種交流の場としても注目を集める「朝活」=金沢市内で

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異業種と交流 「朝活」で刺激

経済や趣味 幅広く勉強会

 転職するには、さまざまな業界の今を知ることも大切。異業種交流の場として、近ごろ注目される「朝活」の現場にお邪魔した。

 七月下旬、金沢市内のカフェでは、朝七時から十〜六十代の男女約二十人が地域コミュニティーをテーマに話し合っていた。「金沢も喫茶店が減ったよね」「コミュニティーといえば昔はお風呂屋さんだった」−。地域の現状や課題に参加者から次々と意見が飛ぶ。

 「会社では出会えないような業種の人とざっくばらんに話せるのも魅力」。一年半前にこの朝活を始めた同市の会社員永栄康子さん(33)は話す。これまでにお金の知識やスマートフォンの使い方、手芸体験など、経済からIT、趣味まで幅広い内容で約百七十回開いた。講師に経営者や大学教授を招くこともあるという。

 さらに、永栄さんは北陸三県で「女子会」も開催。飲み会ではなく、月一回、仕事後に金融や経済の基礎知識を学ぶ。「朝活も女子会も、自然と情報が集まってくるので、今の仕事を見直すきっかけになった人もいるかもしれません」と話す。

 朝活はフェイスブック(朝活@金沢)から申し込む。朝食付き五百円。水、金曜の午前七〜八時、金沢市内で開いている。

 担当・奥野斐、宮畑譲、小椋由紀子 ※次回は11日付Attention! 「SNSの光と影」を特集します。

 

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