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popress【Work & Life】働き方や生き方を考える
 

北陸の転職事情(上) 会社辞めます ”天職”探し 35歳の壁

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 理想の仕事、職場ってなんだろう…。就職してからミスマッチに悩み、新たな活躍の場を求めて仕事を替え、会社を移る20代、30代は意外と多い。大卒者の3割が3年以内に辞めるともいわれる今、転職は“天職”に結び付くのか。Work&Lifeのページでは、今後3回にわたって若者の離職、転職、さらには移住の現実に迫る。(第2回は8月8日掲載予定)(担当・奥野斐)

 「5カ所目の職場。もともと退職まで同じ会社で働く気はなかったし、自分の目標を考えると今はここで働くべきだと思っている」

 先月から石川県内の地域振興団体で働き始めた女性(31)は、キャリアアップのための積極的な転職を繰り返してきた。街を楽しくするような、地域づくりに携わるのが目標。東京で建築設計のアトリエに就職し、広告制作会社3社を経て今の仕事に。1社で働く期間は長くて5年、短くて3カ月だった。

「目標に近づいてる」

 思い描く仕事がどうしたらできるのか、分からず悩んだこともあった。理想の仕事を紙芝居にし、面接で「私のやりたいことは、この会社でできますか」と尋ねたことも。思いがけず引き合いがあった広告業界で、企画の仕方や顧客の捕まえ方などを学び、30歳で地元に戻った。

 「会社が合わなかったり、体力的にきつかったりと想定外のこともあったけど、目標には確実に近づいてる。目の前の仕事を一生懸命にやったら、周りも手を貸してくれた」

辞めるべきなのか…最後まで悩む

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「お給料新卒者程度」

 この女性のように、必ずしもキャリアを意識した転職ばかりとは限らない。今年1月末で事務職を辞めた金沢市の女性(37)は、仕事内容が合わなかったりしてこれまでに数回仕事を替えた。今はハローワークで仕事を探しながら、興味がある資格の勉強をしている。

 「仕事を探しても、給料でいえば新卒者程度。大手企業に入った同級生が収入も増え、責任ある役職に就いているのをみると、一つのところで働き続ける意味はあると思う」とつぶやく。

意を決して上司に辞表を差し出す

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首都圏とは天地の差

 北陸の転職市場の現状はどうなのだろうか。「首都圏と違い、求人数や年齢制限などが圧倒的に厳しい」と話すのは、北陸に特化した民間の人材紹介会社「北陸人材ネット」(金沢市)社長の山本均さん(49)だ。この地域の特徴を挙げてもらった。

 まず、求人票に載らないようなアバウトな求人が多いという。「こういう人がいたら欲しい」という、人しだいの求人が結構あるそうだ。製造業が多いため、業種は開発系のエンジニアが目立つ。特殊技能や経験を求める求人は、ハローワークより民間の人材紹介会社に集まりやすい。

 年齢の壁も高い。「30歳を過ぎると求人が減り、35歳以上は極めて難しい」と山本さん。「年齢的には25〜30歳で、大手企業の勤務経験があるUターン者が有利。企業は大手で2〜3年戦力として働いたことのある人を評価する」と話す。

 社風に合うかを重視したり、女性の求人が少ないといった古風な傾向もある。女性の転職市場は「首都圏より相当遅れている」という。

 なんだかマイナスのことばかりだが、転職はしない方がいいのだろうか。自身も2回会社を替わり、5年前に起業した山本さんは「会社が違うと見方も違う。視野が広がり、物事を相対的に見ることができる」と実感を込める。「辞めることは目的でなく、目標を成し遂げるための手段。転職は刺激に満ちているので、個人的には人生で一度はしてみてもいいのでは」と勧める。

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「前職より高給」ばかりじゃない

 全国の十五〜三十四歳の労働者約一万五千人が答えた調査=グラフ(上)=では、男女で離職理由に差が見られた。仕事の向き不向きや労働条件、人間関係は性別によらず理由の上位に挙がったが、男性は会社の将来性や賃金もシビアに見ているようだ。一方の女性は結婚や子育て、健康上の理由も目立つ。

 転職の際、気になる給料の増減=同(下)=は、前職より増加、変わらなかった人が七割超を占めた。ただ、この調査は全国の二十〜三十四歳の労働者約百五十万人の割合。北陸は地方ということもあり、前職より給料が減る傾向が強いという。

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専門家に聞く転職成功のコツ

冷静かつしたたかに/次決めてから辞めて

 転職してみたい気持ちはあるけれど、後悔はしたくない。成功のポイント、円満な会社の辞め方とは−。二十代、三十代によくある質問を、転職者の相談や人材紹介に携わる山本均さんに聞いた。

Q 今の仕事が嫌。そんな僕は転職した方がいいですか?

A 現在の仕事が合わない、嫌だと言って仕事探しを始める人は多い。でも、次に何をしたいか分からないまま会社を辞めると必ず失敗します。自分の能力や経験をふまえ、冷静かつしたたかに臨むことが大切。せめて次の職種ははっきりさせておきましょう。

Q 営業の仕事が合いません。私は事務の方が向いてると思うので、総務系の職場に転職したいのですが。

A 目指す方向ややりたいことは分かりましたが、あなたという人材を企業が欲しがるかどうか。二十代後半にもなると、企業は短期間でも実務経験があるかを見ます。仮になくても「なるほど、この経験は生きるよね」と思われないと駄目。まずは社内で異動希望を出してみては。

Q 開発エンジニアです。求人も結構あるし、とりあえず会社を辞めようかと。

A 私は、次の会社から内定をもらうまで辞めるなと言っています。退職して次が決まるまでの間は、精神的にもきつい。転職活動をした結果、会社を辞めないという選択もありえますから。

Q 後腐れなく辞めるにはどうしたら?

A 次に働く会社が決まったら、まず上司に退職する旨を伝えます。退職届は一カ月前までの提出が目安。就業規則で書式や期限が決まっている場合もあるので要注意です。退職理由を話す時は決して会社を批判せず、感謝することを忘れないでください。業務の引き継ぎもきちんとしましょう。

 

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