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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

かめばかむほど いい味 武蔵 「まいどさん」と へえ〜探訪

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 金沢市民の台所・近江町市場などがある武蔵地区。市民にとってなじみが深く、県外からも大勢の買い物客らが足を運ぶ観光の定番スポットだが、一般に知られていないエピソードが実はたくさんあるという。金沢観光ボランティアガイド「まいどさん」の手引きで、武蔵の「不思議」を探し求めて歩いた。(担当・角雄記)

ツバメを模した「P」マークが目印の近江町市場駐車場=金沢市上近江町で

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<1>Pマークにツバメ宿す

 武蔵の交差点から百万石通りを尾張町方面に進むと、右手側に近江町市場駐車場がある。駐車場を表す「P」のマークをよく見ると、矢印のような形に見える。

 駐車場を管理する近江町市場商店街振興組合を訪ねると、事務長の倉田保秀さん(61)が「ツバメを表現している」と、教えてくれた。

 現在の駐車場に建て替える前の1974(昭和49)年6月、ここにコシアカツバメの巣が八つあった。取り壊しの際に地元の小学生がツバメを助けてと求めたが、着工を遅らせることもできず、やむなく9羽のヒナと五つの卵は犀川に流されて水葬された。

 ツバメの記憶をどこかにとどめようと、Pのマークはツバメの尾のように長く割れた形のデザインとなった。

通りから少し奥まってある「近江町食堂」。市場の「穴」と呼ばれ親しまれてきた=金沢市青草町で

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<2>近江町に「穴の姉さん」

 続いて、市場のエムザ口に近く、通りから少し奥まった所に店を構える「近江町食堂」へと向かった。1930(昭和5)年に開業し、市場の人に古くから愛されてきた。ここには、「近江町市場穴」と宛先に書いただけの郵便物が届くのだとか。

 「最近ではめったにありませんが、確かに届いたこともありました」と社長の小室富子さん(54)。「25年ほど前、お嫁に来たころは『穴の姉さん』と市場の皆さんから呼ばれていました」と笑う。

 「穴」と呼ばれる由来には諸説ある。市場の関係者からは「氷室があったから」という説も聞かれるが、小室さんによると「通りから引っ込んでいるのを指して『穴』と呼ばれたよう。店の建つ前は雪捨て場だったので、それを指しているのかも」と話す。

金沢近江町郵便局に植えられたタラヨウの木。左奥に近江町市場の入り口が見える=金沢市尾張町で

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<3>「はがき」の先祖 青々と

 さて次は市場から少し離れた金沢近江町郵便局へ。通用門の入り口に、細長く厚みのある葉をつけた「タラヨウ」の木が植えられている。

 この葉の裏にペンなど先のとがった物で傷をつけると、黒っぽい線が残る。枯れても残るため、昔は紙の代わりに用いられた。日本郵便北陸支社によると、近代郵便の父、前島密(1835〜1919年)がタラヨウに関する漢詩にちなんで「はがき」の名称をつけたそうだ。

(右)めいてつ・エムザ9階屋上にある武蔵稲荷大明神(左)4階屋上にある武蔵住吉神社=いずれも金沢市武蔵町で

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<4>繁栄見守る二つの神社

 市場の向かい、めいてつ・エムザの屋上には「武蔵住吉神社」と「武蔵稲荷(いなり)大明神」がある。屋上が二つあり、それぞれに神社が立つ建物は珍しいのではないだろうか。

 4階屋上にあるのが武蔵住吉神社。3階売り場から出て、らせん階段を上っていくと、植え込みの中に鳥居が見えた。かつてエムザの場所にあった住吉市場に建立されていた神社は武蔵地区の再開発に伴い、ご神体はいったん安江住吉神社へ。ビルの完成から2年後、再び武蔵に戻ってきた。

 一方、朱色の鳥居にキツネの像を備える武蔵稲荷大明神は9階屋上に。こちらはめいてつ・エムザの前身「丸越百貨店」の企業内神社が由来という。

 そっと手を合わせる。眼下に広がる武蔵地区の町並みを見渡すと、もっと「不思議」を探してみたくなった。

 取材に協力してくれたのは、金沢観光ボランティアガイド「まいどさん」で研修部長を務める桜井保明さん(68)。まいどさんでは、近江町市場の楽しみ方や武蔵地区の不思議を紹介してくれるツアーを開催しており、希望すれば団体客でも個人客でも応じてくれる。今回は紹介しきれなかったエピソードもまだまだあるとのこと。

 問い合わせは事務局の金沢市観光協会=電076(232)5555=へ。

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視点変えれば気づき

ばくのつぶやき

 何度も歩いたことがある通りでも、視点をちょっと変えただけで気づくことがたくさんある。「ツバメ」を模した駐車場のマークだって、教えてもらうまでは分からなかった。

 それぞれのエピソードに物語や歴史があって、思わず「へえー」って言葉が出ちゃったよ。今度、友達に教えてあげよう。

 ※次回は12月4日付Human Recipe。金沢市在住の織物作家、樋口佳苗さんを紹介します。

 

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