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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

山門の先 広がる異空間 謎の美女が案内 金沢寺巡り<前編>

ゆったりとコーヒーを味わえる「寺カフェ」=金沢市寺町で

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 加賀百万石の伝統がそこかしこに息づく金沢には、面白い寺が数多く残る。なんか小難しそう? いえいえ、一歩足を踏み入れれば、歴史や仏教のことをよく知らなくても楽しめるワンダーランドが広がっている。天高く、町歩きにも心地よい秋の一日、見て触れて味わう寺巡りへ。2回に分けて、謎の女性とともに案内する。

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 前編は金沢城や兼六園から南に下り、犀川を渡った寺町、野町かいわいを訪ねる。一帯には何と70近い寺が林立。「忍者寺」とも呼ばれる妙立(みょうりゅう)寺は観光名所としてよく知られているが、他にも特徴ある寺がめじろ押しだ。

 同行してくれたのは、キツネ面の美女、小鳥遊(たかなし)お伝(でん)さん。「タカがいないと小鳥が遊べるでしょ」。キツネだけに人を食った名前だが、寺への探求心は確かだから許してほしい。

(上)ギロリとにらむ獅子の絵。円は、他のふすまに描かれたかわいいウサギの絵(下)「つかずの鐘」=いずれも金沢市寺町で

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(1)高岸寺

 まずは妙立寺から少し離れた高岸(こうがん)寺へ。本堂の一角に、木のふすまが何げなく立て掛けてあった。表面に描かれた獅子がにらみつけ、横でお伝さんが縮こまる。「昔はもっと目がギラギラしていたそうです」と中山昭雄(しょうゆう)住職(75)。裏側の絵は、打って変わって優雅なオシドリ。このギャップがポイントだ。

 実はこのふすま、加賀藩の筆頭家老、本多家の屋敷にあったという。五万石だから、大名並みのお偉いさん。その客間の入り口に、獅子のふすま。部屋に入る客を威圧し、中では一転、オシドリが安心させる。さすが五万石! 心憎いしつらえじゃないですか。

 次に、本堂の右手の部屋。まだ新しい木のハシゴを上れば、狭い空間に大きな鐘。敵が攻め寄せたとき、金沢城に音で知らせようと造られた「つかずの鐘」だ。寺からはかつて辰巳櫓(やぐら)が立っていた石垣が見える。城から最短距離の場所を選んで鐘を置いたのだ。

 幸い、藩が敵に攻められることはなく、鐘はいまだにつかれていない。戦時中に供出され、昨年復元が完了。鐘つき棒はしっかり固定され、お伝さんが力を込めても鐘には届かない。「私もついてみたいけど、歴史があるから、やっぱりつけないね」と中山住職。

鶴の置物や花に彩られた中庭=金沢市寺町で

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(2)宝勝寺

 妙立寺の近くも面白スポットばかり。最初は今月、「寺カフェ」を始めた宝勝(ほうしょう)寺をのぞいた。外観は普通の家っぽいけど、中はおしゃれな和の装い。抹茶にコーヒー、洋菓子も味わえる。奥には庭があり、「来るたびにきれいになってるの」とお伝さんもお気に入りだ。

 高橋友峰(ゆうほう)住職(65)がいるときは法話を聞ける。堂内の書画も住職の作品。いかめしい禅僧を想像していたら、「私、宇宙人なんです。名前がUFOでしょ」。軽い。軽すぎる。たぶん頼まなくても勝手に話し掛けてくれるので、適当に聞いてあげて。「これから外も改装してきれいにする」とやる気満々だ。

鮮やかな色彩のフレスコ画。落書きはもちろん禁止=金沢市野町で

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(3)本長寺

 宝勝寺から歩いて1分の本長(ほんちょう)寺も、寺らしからぬ物が見られる。本堂の壁に鮮やかな絵がずらり。西洋に古くからあるフレスコ技法で釈迦(しゃか)の一生を描く異色の試みを進めている。生まれてすぐの釈迦や動物たち、悪魔も登場し、大小28枚。市内のフレスコ画家北谷至啓(よしひろ)さん(54)が手掛け、17枚ができた。「完成まであと3〜4年」と三坂岳応(がくおう)住職(65)。

(左)清水誠の墓。手前の明かりの台がおしゃれ(右)麒麟らしき謎の生き物の木彫り=いずれも金沢市野町で

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(4)玉泉寺(5)全昌寺

 妙立寺を過ぎて、六斗の広見に面した玉泉(ぎょくせん)寺では墓に注目。金沢出身で国産マッチの祖、清水誠(1846〜99年)の墓が立つ。両脇に明かり台があり、よく見るとマッチ形。「明治の人は粋なのよ」とお伝さんが手を合わせる。

 さらに進み、路地に入って全昌(ぜんしょう)寺へ。ここはひさしの下にある奇妙な木の彫刻が必見。顔がサルっぽく、体がシカっぽく、背中には甲羅を背負った謎の生き物が、後ろを振り返ってなぜかにやけている。中国の想像上の動物「麒麟(きりん)」らしい。

 江戸時代の伝説的な名人、左甚五郎(ひだりじんごろう)作とされるが、そもそも実在したか分からない人物。そしてにやける麒麟。お伝さんは首をひねり、「ちょっと怪しいな、これは」。いや、甚五郎もキツネ面の人には言われたくないと思うよ…。

むむライバル出現?

ばくのつぶやき

 お寺は楽しかったけど、ちょっと今焦ってる。だってあのキツネ面の人、弁は立つし、色っぽいし、まずいよ。ポプレスはもうすぐ3周年。「せっかくだしマスコット交代!」とかなったらどうしよう。

 宝勝寺のUFO住職もぞっこんで、「もっと他のお寺にもキツネが出現すれば、寺町全体をPRできる」と期待してた。お伝さん、ポプレスは次回までにして後はばくに任せて、そっち方面で活躍お願いします。

 担当・日下部弘太 ※次回は28日付Work&Life。行政情報の公開により便利なサービスを創出する「オープンデータ」の動きに迫ります。寺巡りの続編は、10月12日に掲載予定です。

 

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