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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

石の里 二輪で開拓 小松市滝ケ原町で ツアー始まる

石切り場跡には天井が落ちた場所も

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 緑に覆われた石組みの橋は、まるで童話の世界。石切り場の高い天井と岩肌を伝う冷気に身震いし、集落のあちこちで石碑や石像と出合う。石川県小松市の中心部から南に12キロ。滝ケ原町は「石の里」だ。若者を呼び込もうと今月、おしゃれな自転車で巡るガイドツアーが始まった。同行させてもらい、魅力に触れた。(担当・日下部弘太)

石橋たたかれ1世紀

 桜のトンネルを抜け、石造りの橋を渡る。滝ケ原町の真ん中にある「西山橋」。1903(明治36)年に架けられたといい、100年以上たつ今も車が頻繁に通る。石の里へ、よくぞ来た。そよぐ風に交じって、橋のいかつい歓迎の声も聞こえる気がする。

 滝ケ原にある石橋は5基。地元の「滝ケ原石」で造られた。金沢工業大の本田秀行教授によると、北陸甲信越地方全体で13基しか残っていないうちの5つだ。さらに、うち4つは路面下の支え石が規則的に突き出した珍しい構造。全国に15基のみという。

 次に訪れた我山(がやま)橋も築110年。こけむした石に、路面を覆う芝生。周りの畑とも相まって、まさに「ふるさと〜」という感じ。集落の一番奥にひっそりとたたずむ東口橋も、風情は甲乙付けがたい。

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放置自転車リメーク

 ツアーは、町内の廃校を拠点に里山ツアーや料理体験を手掛ける「里山自然学校こまつ滝ケ原」のスタッフ舟津秀一郎さん(48)=白山市=が企画した。内灘町の自転車製造・卸販売会社「コラソン」などが協力し、放置自転車を改装。ハート模様や花柄の派手なサドルを取り付け、ハンドルも手前に大きく曲がっていたり、U字形で立っていたり。ちょっと乗りにくいところが逆に、非日常感を醸し出す。

石切り場は“異空間”

 緩い坂が多く、自転車はいい運動。ちょうどこぎ疲れてきたころ、もう一つのハイライト、石切り場に着く。御年81歳、荒谷薫さんが営む石切り場の内部は薄暗く、ひんやり。汗がたちまち引いていく。石は手作業で切り出し、4代目の荒谷さんは今もバリバリの現役。隣で孫の雄己さん(24)は「日々勉強です」と弟子の顔をした。

 すぐ近くにはかつての石切り場跡も。今見てきたきれいな長方形と違って、いろんな方向に掘ってある。岩肌は粗く、天井には木のつっかえ棒も。そんなんで大丈夫なのか…。「戦時中はここに弾薬など軍の備品を置いたらしいです」と舟津さんが解説。「あの天井、色が違うでしょ。かつて石柱を撤去して、一部が崩れたんです」

 慎重に上を見ながら外に出て、再びサドルにまたがった。石を訪ねる、癒やしとちょっとした冒険の小旅行。「太ももに効いた」と白山市から参加した崎川夏耶さん(27)。友人の坂下留美さん(28)も「石切り場は幻想的で日本じゃないみたい」と満喫したようだった。

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 ツアーは毎週土曜の午前9時半からと午後1時から。参加費は2500円で定員15人。自然学校の校舎前(滝ケ原町ウ20)に集合する。オプションで地元食材を使った昼食や石彫り体験(いずれも有料、予約制)も。5月以降の実施予定を含め、問い合わせは、舟津さん=電090(1310)9259=へ。

石像や灯籠がお出迎え 

 滝ケ原石は火山灰などが固まってできた「凝灰岩(ぎょうかいがん)」の一種。灯籠や浴室材に広く使われているとか。地区内には石材店がいくつかあり、石像や灯籠もあちこちで見られる。

 石川県の「ふるさとの匠(たくみ)」に認定されている石工、中谷篁(たかむら)さん(81)の自宅ギャラリーには200体もの像が。仏像から動物、地球儀まで、所狭しと並ぶ。

 滝ケ原町の入り口では、滝ケ原石でできた高さ3メートルの碑が訪れた人を迎える。荒谷さん、中谷さんらが手掛け、昨年完成。町のシンボル、石橋と鞍掛山をかたどった最上部の彫刻がシブい。

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人も魅力の里山

 西山橋の写真を撮っていたら、車で通りがかったおじさんが話し掛けてきて、そのまま立ち話20分。絶品のイノシシチャーシュー、野草や昆虫をとっていく人がいて困っていること…。川口正尊さん(72)は町のことを熱く語ってくれた。こんな人に会えるのも、里山の魅力。石はもちろん、ぜひおじさんおばさんと話してみて!

 ※次回は24日付Work&Life。新社会人必読の「コミュニケーション術」を特集します。

 

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