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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

新生活を飾る “逸品”探し 金沢 骨董、インテリアの店

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 壁に古い額を1枚飾る。たったそれだけで空間に豊かな表情が生まれる。100年前にヨーロッパで使われていたものを見つめながら当時の風景や物語に思いを巡らし、温かな気持ちになる。新生活を始める人も多い春。暮らしや住まいを楽しくさせる“逸品”を金沢市内で探した。(担当・押川恵理子)

“ごみ”もかわいく

 金沢市中心部から車で15分ほどの住宅街に素っ気ない外観の倉庫が立つ。扉を開くと、広い空間に古道具や食器、家具がひしめいていた。

 おしゃれな雑貨店のようだが、あくまでリサイクルショップ。ここ「セレクトリサイクル MUGI」(ムギ)は兵庫県出身の石原実さん(34)が2011年12月末に開いた。商品は一般家庭や喫茶店などから引き取ったものが大半で、中古家電も扱う。

 小さな木製の台が目に留まった。ガラスの小瓶や植物が飾られ、趣がある。使えなくなった古い滑車といすの座面を組み合わせて石原さんが作った。糸巻きとかんなを再利用したペン立てやアルミのスピーカーを改造した花器も。「興味がない人にしたら、ごみでも、かわいく見える角度がある。服装やメークも同じでしょ」と、いたずらっぽく笑う。

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額装で新たな空間

 古美術や古道具を扱う店は若者には少々入りづらい。「こうした気軽な店をきっかけに、アンティークショップに通う層が育ってくれたら」と石原さん。

 背中を押され、次は金沢市香林坊の路地裏に立つ「SKLO」(スクロ)へ。チェコやドイツを中心に仕入れた骨董(こっとう)品が並ぶ。

 店主の塚本美樹(よしき)さん(37)は壁を楽しむ額装を提唱している。額は作品との相性のほか、余白の取り方、余白に使う台紙の色のバランスが大切。油絵など力強い作品には重厚な額、繊細なエッチング版画などは細めの額が合う。

 「正解がないから組み合わせは手探り。お気に入りの写真や雑誌の切り抜き、ポストカードでもいい。額に入れて飾れば、部屋に新たな空間が生まれます」と塚本さん。1900年代初頭にヨーロッパで使われていた額に目を凝らしていると、時の流れがゆっくり感じられた。

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古い器 食卓楽しく

 続いて、若い女性が営む金沢市千日町の「ENIGME」(エニグム)を訪れた。大学で栄養学を学んだ佐藤双葉さん(29)は料理を作るより食卓のスタイリングの方が楽しいと、アンティークと器の店を開いた。

 フランスの工場で使われていた古い作業机に、注ぎ口の付いた深めの器「片口」や横長の皿などが置かれている。

 いろんな形の器を並べると食卓に動きや立体感が生まれ、料理の盛り付けも楽しくなるという。テーブルのデザインが味気ない場合はインド更紗(さらさ)などビンテージの布を敷くと雰囲気が出る。

 「食べ物の味が器で変わったと言うお客さんもいますよ」と佐藤さん。古道具や器に囲まれ、「たかがモノ、されどモノ」と感じた。

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長く使えるモノを

ばくのつぶやき

 100年前の額が、当時より価値が高まって現代にある。「アンティークは物を使い捨てることへのアンチテーゼ」。SKLOの塚本さんの言葉が印象に残った。

 高価な商品はなかなか手が届かないけれども、安さだけを求める消費は寂しい。長く大切に使える器や調度品を少しずつ増やせたらと思う。そうしたモノを探す時間そのものが心を豊かにしてくれる気がする。

 ※次回は20日付Work&Life。「女性の起業」を取り上げます。

 

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