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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

七尾は「すし王国」

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 魚がうまい北陸で「すし王国」の名乗りを上げた街がある。能登半島の付け根にある石川県七尾市。2年後に迫る北陸新幹線開業を見据え、能登に人を呼び込もうとキャンペーンにも力を入れている。海が近く、朝とれた魚介が昼には店に並ぶ新鮮さ。豊かな漁場を控え、ネタも多彩という「王国」の恵みを堪能してきた。

新幹線開業へ売り出し中

 七尾市観光協会と七尾商工会議所、地元のすし店が一昨年からキャンペーン「すし王国能登七尾」をスタート。能登で水揚げされた魚介と能登産の米を使ったすしを「能登前寿司(ずし)」と名付け、市内のすし店約40店のうち、組合に加盟する11店が中心となって首都圏などでPRしている。

まるで「芸術作品」

 さっそく、「王国」の特徴ある4店を巡っていこう。まずは地元の人に「芸術品のようなすしが食べられる」と聞き、訪れた市中心部の「幸(こう)寿し」。高校時代から腕を磨いてきた兄弟が営む人気店だ。山田賢一さん(41)と幸大さん(36)の穏やかな笑顔が迎えてくれた。丁寧な仕事と人柄にファンも多く、常連や観光客、時には海外からも来店するという。

 基本は「おまかせ」。透き通るカワハギには肝、ヒラメにはユズ皮を少々。ブリにアジ、地元名物のアカニシガイも。一貫、一貫がつやつや光って食べるのがもったいないほどだ。さすが、芸術品というのも納得。能登塩を振りかけた一品もおいしい。こだわりを聞くと「正直に、自分が食べたいものを出すだけです」と口をそろえる。

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1貫から注文OK

 七尾のすしを気軽に「試食」できる店もあるという。鮮魚店が並ぶ海辺の道の駅「能登食祭市場」へ移って、場内の「まいもん処たぶ屋」へ入った。ここは1貫から注文できるのが売り。「仕入れ先は場内の店。新鮮な魚を見たら食べたくなるでしょう」と店長の田尻洋平さん(31)。「屋台で2、3貫さくっとつまんで帰るってのが、江戸前ずしのルーツ」と威勢がいい。

 地元の伝統の一品を味わうなら、明治元年創業の「松乃鮨」へ。江戸の名店で修業した初代から伝わる巻きずし「玉宝(ぎょくほう)」は、薄焼き卵で酢飯やかんぴょうを巻いたもの。卵の甘みが広がり優しい味だ。

 そんな代々続く品の一方で、父とともに店を守る6代目の南智文さん(30)は新メニューの開発にも余念がない。赤い塗りの器に、甘エビなどネタ10種を盛り、ピンクのでんぶを散らした華やかなちらしずしは、北陸で婚礼に用いる「花嫁のれん」をイメージ。「すしとともに七尾の文化や伝統を全国に広めたい」と力強く語った。

裏メニューも人気

 最後は、庶民にはなじみ深い回転ずし。駅近の「のと前回転寿司 夢市」では、105〜735円で好きなネタが食べられる。村田成司代表(47)は「ほとんどが地物で20〜30種類を取りそろえている」と話す。

 村田代表の趣味が高じて作った裏メニューのカキや能登豚のスモークも人気で、フェイスブックでは毎日、旬の魚などの情報も発信している。この時季のお薦めはタラの白子、生サバ、コハダ。「王国」では回るすしも侮れない。

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近くに良質な漁場

新鮮なネタ多彩

 七尾湾、富山湾に面した七尾市は古くから定置網漁業が盛んという。市によると、1579年には織田信長に出世魚のブリを献上した記録もあり、定置網漁業発祥の地の一つとされている。

 七尾湾は貝類やシャコ、エビ類が多くとれ、カキの養殖も行われている。富山湾周辺は暖流の対馬海流と寒流のリマン海流が交わり、餌となるプランクトンや小魚も豊富で良質な漁場となっている。漁港から漁場までの距離が1〜2キロと近いのも、七尾で新鮮な魚が食べられる理由だ。

 地元のすし店主によると、冬場はヤリイカや能登ブリ、コノシロ、ナマコがお薦め。春になるとサヨリやトリガイ、アカガイ、アジも楽しめるという。

ばくのつぶやき

足並みそろえ発信を

 「魚がこんなにおいしいなんて」。客の中にはそう言って、七尾のすし店で生魚を食べられるようになる人もいるという。新鮮だからこそ、シメも短時間ですんだり、塩で食べてもうまい。今「すし王国」の中心でPRに励むのは11店のみ。せっかくの魅力的な資源、足並みそろえて地域の強みになっていけばと思う。

 担当・小椋由紀子 ※次回は13日付Work&Life。「職場のホンネ」の総集編です。

 

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