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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

加賀温泉郷の4名湯 アツい魅力 総湯巡り

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 寒い日は、湯けむりが恋しくなる。石川県が全国に誇る湯どころの一つ「加賀温泉郷」。粟津、片山津、山代、山中の各温泉には、それぞれに古くから地元に愛されてきた共同浴場「総湯」がある。ここ数年改築されたところも多く、魅力も高まっている。さあ、疲れを癒やしに4名湯に行ってみようか。

●見た目は美術館

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 まずは昨春オープンしたばかりの加賀片山津温泉「街湯」(加賀市)へ。ガラスを全面に使った近代的な建物は、スタイリッシュでまるで美術館のようだ。浴室からは、男女日替わりで柴山潟と緑の庭が楽しめる。鏡や床の黒タイルもかっこよく、共同浴場らしからぬ雰囲気だが、お年寄りにも愛されていた。

 湯は他の3湯と違って塩泉で、熱め。地元の人に交じって入ってみるが、やっぱり熱い…。身が引き締まる。湯上がりには2階の「まちカフェ」で片山津バーガーを食べる。こちらは若い女性や観光客も多く、にぎわっていた。

●明治時代を再現

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 最新施設の後は、昔の総湯にも入ってみたい。山代温泉(同市)には明治時代の建物を復元した古総湯があり、人気だ。外観、内装、入浴法まで往時の雰囲気を味わえる。

 こけらぶきの2階建ての建物に入り、戸を開けると高天井の浴室が。中央に四角い湯船があり、床には白い花紋の九谷焼タイルが敷かれている。拭きうるしの茶壁には、当時は最先端だったステンドグラスがきらめく。

 まさにレトロモダン。カランはなく、小さい水槽から手おけですくってかけ湯をする。源泉掛け流しだ。男女の浴室は壁一枚だが、訪れた平日は他に客もなく貸し切り状態。湯の音を聞きながら、水面に落ちた鮮やかな光をぼんやり眺める。しばし現実を忘れ、心も体もとろけるようだった。

 建物の向かいには手描きの九谷焼タイルで飾った総湯もある。時間があれば入り比べてみるのもいいだろう。

●松尾芭蕉が絶賛

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 総湯は、もともと自治組織を意味する『惣』湯だったという。山中温泉総湯「菊の湯」(同市)の職員の男性が教えてくれた。「地域みんなで使う大事な社交場。全国共通の言葉だと思ってきたけど、石川だけなんですよね」と笑う。観光地といえど利用者の9割が住民で、総湯に毎日通うから風呂がない家も多いそうだ。

 肝心の湯は、程よい熱さでゆっくりつかることができ、湯冷めもしにくいという。俳聖・松尾芭蕉が「草津、有馬と並ぶ日本三名湯」とたたえるのも納得だ。

●サラッ美人に?

 最後に訪れた粟津温泉総湯(小松市)も、近所の人が多く、地域に根差した印象だ。こぢんまりとした平屋の和風造り。紅白のかわいいげた箱の上には、1300年前に温泉を見つけたという泰澄大師の像があり、受付ではファンシーな「泰澄くん」ストラップも売られていた。

 こちらは美肌の湯とされ、サラッとした感触。心なしか地元の人たちの肌もきれいなような…。日ごろの疲労を解消し、きれいにもなって得した気分で総湯を後にした。

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ふれあい 温かく

ばくのつぶやき

 「来たね」と声を掛け、健康を気遣いながら背中を流しあう。そんな地域住民のふれあいは、今回巡ったどこの温泉でも見られた。改築が相次ぐ総湯だが、観光の拠点として設備が新しくなっても、湯の街を形作ってきた中心としての役割は健在。連綿と続いた地域の文化には「共同浴場」より、やっぱり「総湯」が似合っている。

 担当・小椋由紀子 ※次回は26日付Work&Life。「若者のうつは今 続編」です。

 

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