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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

ブリだけじゃない 氷見は食の宝石箱

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 いよいよ今季の水揚げが始まった冬の味覚、寒ブリ。富山県氷見市といえば、昨年から商標登録した「ひみ寒ぶり」が有名だが、実はそれだけじゃない。海産物はもちろん、牛肉にカレー、日本有数の生産量を誇るハトムギを使ったパンやお菓子まで。市も「食都(しょくのみやこ)」と銘打ち、観光施設を造るなどPRに励んでいる。今、盛り上がりをみせる食の街を堪能してきた。(担当・西山輝一、小椋由紀子)

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甘みギュッ!「氷見牛」

 氷見の朝は早い。海岸近くでは夜明け前から漁船のエンジン音が聞こえ、魚市場は仲買人でにぎわう。この時季、鮮魚店には身の引き締まったブリが並び、いかにもおいしそう。が、今回はお預け。まずはブランド牛「氷見牛」を食べに朝日丘の焼き肉店「たなか」へ向かった。

 ここは肉牛農家で、ブランド化した第一人者の田中賢治さん(63)が営んでいる。ご飯やみそ汁、サラダがつくお得な焼き肉定食(150グラム、1200円)を注文。炭火で焼き、肉を口の中へ運ぶと…う、うまい! やわらかな食感とともにうまみが広がった。

 氷見牛は、寒暖の差が大きい山あいで育てられ、脂がのってほのかな甘みがあるのが特徴。もともと肉牛の生産が盛んな土地で、田中さんと仲間の生産者らが1995年に協議会を設立し、知名度を上げた。現在は生産農家12戸が標高300メートルにある牧場で約950頭を飼育。田中さんは「餌におからやカボチャを混ぜて与えるから、しつこくなく甘みがある」と胸を張る。

氷見のブリをイメージしたキャラクター「ブリンス」

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煮干し命の和カレー

 たらふく食べた後は、こちらもボリュームのある「氷見カレー」。良質のだしが取れる地元産煮干しを使うことが条件で、街おこしのため2008年にできた氷見カレー学会に加盟する18店が個性的なメニューを提供している。

 その中の一店、中央町の「よしだや本店」のカレーは粉末の煮干しを掛けて食べる。カレーに和風の煮干し? と最初は戸惑うが、これが絶妙。加納の「氷見創作うどん 和」のカレーうどんも、半生の手延べめんにとろとろのルーが絡み合っておいしい。

 少しマイナーだが、氷見は米の転作作物として80年代から生産が始まったハトムギの収穫も盛んだ。粘土質の土壌が適していたといい、年間収穫量は100トンに上る。今年日本一になる見込みの富山県全体で400トンだから、その4分の1を占めている。

 そんな中、上泉の菓子店「ニューちどり」では、ハトムギを練り込んだパン生地に赤飯を載せた「金時赤飯パン」が人気。意外にも、香ばしい生地に赤飯の甘さが合う。店では、クッキーやロールケーキも販売している。

年中大漁「ブリ最中」

 最後は、お土産に「氷見ブリ最中」を。「ブリのエキスや骨は入っていません。ブリが揚がらない日でも毎日大漁!」と、中央町の土産物店「勘右衛門」の店主川嶋裕美子さん(52)が威勢よく声をかけてくれた。中のあんは6種類あり、1個180円の手ごろな価格もうれしい。

 行政や地元の経済界も今、氷見の豊かな食をアピールし観光につなげようと力を入れている。10月には、市や企業、商工会議所などが出資した第三セクターが運営する食の施設「ひみ番屋街」がオープン。回転ずしや鮮魚店、氷見牛の飲食店など32店舗が入り、魅力を発信している。

光禅寺に並ぶ「笑ゥせぇるすまん」や「怪物くん」などの石像

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藤子(A)さんの出身地

キャラ あちこちに

 氷見市は「忍者ハットリくん」や「笑ゥせぇるすまん」などを生みだした漫画家、藤子不二雄(A)さんの出身地でもある。街には作品のキャラクターやゆかりの地など、ファンならずとも楽しめるスポットが多い。

 比美町商店街には、一風変わった、富山湾の魚を擬人化した「氷見のサカナ紳士録」のモニュメントが並ぶ。ブリの「ブリンス」を筆頭に、アンコウの「アンボス」、シマダイの「シマシマ博士」など珍魚キャラ8種16体が出迎えてくれる。

 近くには、原画などを展示する「潮風ギャラリー」や生家の光禅寺も。寺には怪物くんや笑ゥせぇるすまんの石像もあり、観光客も見学が可能だ。湊川にかかる「虹の橋」のカラクリ時計(冬季は休止)は、毎時ごとにテーマ曲とともにハットリくんたちが現れ、ケムマキと忍法対決を繰り広げる仕掛け。JR氷見線と城端線ではラッピング列車も走っていて、見どころも満載だ。

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レベル向上にブリが貢献

 地元のある食通の男性は「寒ブリに代表される新鮮な魚が、氷見全体の食のレベルを引き上げているんだよ」と話した。富山湾という地の利に恵まれ、毎年揚がる脂ののった寒ブリ。農家や飲食店もそのブランドに負けないようにと、生産やメニューに工夫を凝らしている。

 氷見市は高齢化率が約30%と高く、継ぎ手のない農家や店舗が多いのも事実。だが今回巡ってみて個性ある「食」で街を盛り上げる人たちの頼もしさを感じた。

 ※次回は12日付Attention!「年賀状 最新事情」を特集します。

 

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