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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

波間に太古の輝き 朝日・ヒスイ海岸をゆく

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宝石の一種として、古代から貴ばれたヒスイ。その原石を拾える珍しい海岸が、新潟との県境、富山県朝日町にあるという。

エメラルドグリーンに輝く、その名も「ヒスイ海岸」には多くの人が訪れている。「日本の渚(なぎさ)100選」にも選ばれた美しい海辺に、きらめく石を探しに行ってみた。(担当・小椋由紀子)

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荒波に運ばれて

 午前7時半。海岸に下り立つと、広い水平線が目に飛び込んできた。空との境界がわからなくなるくらい青い海。澄んだ水の中で、いろんな色の小石がきらきら光っていた。足をつけると、冷たくて気持ちがいい。

 だが、今日は海水浴を楽しみにきたのではない。ヒスイを拾いに来たのだ。海岸にはすでに先客が10人ほど、袋を提げてうろうろしている。石を見せ合う若いカップルもいた。

 素人が見つけるのは難しいヒスイだが、事前に地元の名人から仕入れた情報によると、シーズンは波が荒くなる9月末から5月ぐらいまで。この辺りは、産地として有名な新潟県糸魚川市の姫川上流などから海に流れた石が波に乗り打ち上げられるらしい。荒天の翌日には、早朝から石を求めて地元の人も集まるという。

 この時季でも取れるか聞いてみると「まぁ、波と運次第だね。素人が探すなら白。白くて角張ったものだよ」と近くでヒスイの店を営む女性がアドバイスをくれた。透明感があり、表面は滑らか、ずっしり重いのが見分けるポイントだそうだ。ヒスイは緑色だけでなく、白や淡紫、青、黒、黄色などさまざまな色がある。硬いので、荒波にもまれても角が取れない。

 腰をかがめて浜辺を歩く姿はもはや若者ページらしくないが、気にしない。水中で光る白い石や、ピンクの三角石、滑らかな黒い石など目についたきれいなものを次々と拾った。宝石との期待感も高まり、意外と楽しい。

ヒスイを採取していた学生が見せてくれた石

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乾いたら がくっ

 周りを見渡すと、同じようにうつむいて歩く若者たちが。女子もいる。早稲田大化石鉱物研究会のメンバーが合宿で訪れていた。佐藤侑人幹事長(22)に5センチほどのヒスイらしき石を見せてもらうと、明らかに違う輝きと透明感が。一方、自分の石を広げると、「この中にはないですね」と一蹴されてしまった。水中ではあんなに輝いていた石が、乾いてなんの変哲もない石ころに。なぜ…。

 2時間以上も目を凝らしていると、あらゆる石がヒスイに見えてきた。だが海から取り出してしまうと、ただの石。結局、ヒスイは見つからなかった。

 疲れて浜辺に腰を下ろすと、波が穏やかに寄せ、サラサラと返す小石の音が聞こえてきた。きれいな海と石、音。これだけで十分じゃないか。「そこにあるからきれいなものもあるのだ」と納得し、海岸を後にした。

美しく光を透過するヒスイ

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静かなブーム到来

 石は今、静かなブームが来ているという。金沢市の鉱物販売店「石の華」店主の村井正人さんは「パワーストーンと呼ばれる石が人気を呼び、鉱物趣味も注目されている」と話す。「石ガール」なる石好きの女性を指す言葉やおしゃれな書籍も出てきて、期間限定の鉱物バーや鉱物カフェも東京に登場した。

石ガール、カフェも

 富山県滑川市の女子高生、笹野祥愛(さちあ)さん(18)は、小学校低学年のころ博物館で見たヒスイなどの展示にひかれ、石の収集を始めた。隣県の鉱山跡などに赴き、集めたオパールや水晶などの原石は200点以上。ヒスイ海岸にも10年通う“ベテラン”だ。

 「石によって色や光沢、結晶の形も全部違い、自然の力を感じる」と魅力を語る。「周囲にはまだ同じ趣味の子はいませんが、とことん突き詰めていきたい」

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ばくのつぶやき

奥深さはまりそう

 「自分で拾った石は宝物」という人に出会った。「ヒスイじゃなくても、気に入った石は、かわいい金魚鉢に水をはって飾っておくのよ」と。

 一度楽しさを知ると、何度も海岸に通ってしまうらしい。お隣、新潟県糸魚川市のフォッサマグナミュージアムで見識を深めるのもいい。奥深い石の世界。はまってしまいそうだ。

 ※次回は15日付Work&Life。マイナンバー(共通番号)制度について解説します。

 

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