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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

能登島 海藻の森 ダイビング 美しき水中の世界へ

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 ダイビングといえば南国で行うマリンレジャーを想像する人も多いが、実は能登半島の七尾湾(石川県七尾市)がダイバーから注目を集めているのをご存じだろうか。多くの海藻が繁茂する豊かな環境には、かの有名な世界的ダイビングスポットとの共通点も数多いとか。湾に浮かぶ同市能登島のダイビングショップ「能登島ダイビングリゾート」の代表・須原水紀さん(35)に魅力たっぷりの能登の海を案内してもらった。

(担当・倉形友理 蒲敏哉(水中撮影))

 「松島」と名付けられたスポットでは、太陽光を浴びた海草のアマモがゆらゆらと揺れていた。その光景はまるでそよ風が草原をなでるよう。かたわらでは鮮やかなオレンジ色のウミウシ、ピンク色の体に花柄模様を描くウニの仲間「ヨツアナカシパン」が彩りを添えている。

 能登半島東岸の七尾湾に浮かぶ能登島。周辺は日本海の荒々しいイメージとは違う穏やかな海が広がり、さまざまな種類の海藻が森のように生い茂っている。好天に恵まれた今月14日、須原さんに海の中の様子をリポートしてもらった。

 この日は少し波がうねり、視界は10メートル先が見通せる程度。好条件の日と比べると透明度はやや落ちるが、それでも海の中は十分明るい。午前中はビーチから潜り、沿岸の海を泳ぐことにする。

絶滅危惧種のホソエガサ(能登島ダイビングリゾート提供)

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青空の下、海岸から入れば緑のアマモが草原のように広がっていた=能登島沖水深約2メートルで

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白い砂地の「パラダイス」

 松島の次はホンダワラが群生する「なのりその森」に向かい、さらに白い砂地が美しい「パラダイス」へ。海藻をかきわけるようにして泳ぎ、正午前に最初の松島に戻る。この時間帯は、光合成をするアマモが一斉に気泡を出す幻想的な光景が見られたという。

 午後は野崎漁港から10分ほど船に乗って沖に出る。最初のポイントは「アカマツ」だ。アンカーロープをたどって潜ると、眼下にホンダワラが密集する景色が広がる。海藻の根があるのは水深5〜15メートル。根元辺りでは、北方の海に生息する黄色い「ムツサンゴ」を見つけることができた。

 海藻に集まる小柄なスズメダイの群れやチャガラの稚魚も間近で観察。夏にかけてはブリやフクラギ、アジ、イワシ、アオリイカ、カマスなど北陸の食卓で身近な魚たちが見られるという。

海藻の下には白砂が広がる。夏には透明度は40メートルにもなるという=能登島沖水深約7メートルで

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アンカーロープを握り濃紺の海に潜ると別世界が待ち受けている=能登島沖水深約10メートルで

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水温激変夏30度に冬5度

 海中で揺らめく海藻の“森”と、そこに集まるさまざまな生き物たち。こうした七尾湾の海の様子は、世界有数のダイビングスポットとして知られる米国カリフォルニア州・モントレー市の海に似ているといわれる。ちなみに、七尾市は1995年にモントレー市と姉妹都市提携している。

 モントレーの海の魅力は、長さ数十メートルにも達する世界最大の昆布「ジャイアントケルプ」が生い茂る独特の環境。南国の海とは違う幻想的な趣が、世界中のダイバーを引きつけている。

 同じように「ケルプの海」が広がる七尾湾だが、須原さんによると大きな特徴がもう一つあるという。

 能登の海は夏に水温が30度を超える一方、冬は5度くらいまで冷え込む。この寒暖差が、はっきりとした季節の変化をもたらしている。「海中にも四季があって、移り変わりを観察できます。生き物の成長を楽しむリピーターも多いですよ」

 その言葉通り、海藻は時期に応じてさまざまな姿を見せる。陸の植物と異なり、一般的に冬の間に急成長し、夏になると枯れてしまう。ホンダワラの仲間のアカモクやノコギリモクも、秋からゆっくりと成長し、年越しごろにはうっそうとした茂みになっている。

ウニの仲間の「ヨツアナカシパン」=いずれも能登島沖水深約2メートルで

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楽園のように見える海には、毒クラゲもすんでいる

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絶滅危惧種も生息の水質

 春はホンダワラにダンゴウオ科の魚、ワカメの根っこ「メカブ」にはウバウオなどの姿も。海藻は生き物のえさになり、すみかにもなる。光合成をして酸素を放出することで、水質の浄化にも一役買っているという。

 さらに能登島の海の美しさを物語るのが、絶滅危惧種の「ホソエガサ」だ。カイワレ大根のような姿で、二枚貝の表面に根を張る。生息の条件は「太陽光が届くことと、きれいな水」だという。6月終わりから9月まで浅い砂地で確認できる。

須原水紀さん

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能登島ダイビングリゾート

石川県七尾市能登島野崎町89の17

(電)0767(84)0081

体験ダイビングや認定証(Cカード)の取得、ファンダイブなどができる。世界農業遺産に認定された「里海」の四季を楽しむ撮影会も開いている。

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「海にごみ」やめよう

ばくのつぶやき

 海に潜って、やるせない気持ちになることがある。海底に空き缶やペットボトル、一升びんなどが落ちているのを見た時だ。日常生活でもごみが落ちているといい気分はしない。

 ダイバーでない限り、海の中をのぞくことはできない。目に見えない世界だからこそ、海の中で魚や海藻が息づいていることを想像してみてほしい。

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