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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

水と暮らす風景 “日本のベニス”内川散歩

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 緩やかな川の両岸に数多くの漁船が係留され、ほとりには昔ながらの風情ある民家が軒を連ねる。日本海に面した富山県射水市の内川周辺は、北前船の中継地として海運や漁業で栄えてきた。近ごろは、水に近くて統一感のある景観が「日本のベニス」と呼ばれているらしい。イタリアの水の都にも例えられる街並みを歩いてみた。(担当・奥野斐)

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NPOが盛り上げ

 潮の香りが漂い、心地良い海風が肌をなでる。かつての放生津(ほうじょうづ)潟(富山新港)から奈呉の浦辺りまでの東西約2.6キロを結ぶ水路として、人々の生活を支えてきた内川。世界中から観光客が訪れる本家のベニスとは違い、のんびりとした風景が広がっていた。

 「10年ほど前、地域問題に詳しい日本政策投資銀行(当時)の藻谷浩介さんが、『日本のベニス』と呼んだのが始まりだと聞いています。地元出身の落語家、立川志の輔さんもこの風景を絶賛していますよ」。内川周辺の活性化に取り組むNPO法人「水辺のまち新湊」の二口紀代人専務理事(62)が話す。

 川の周りに同じ高さの古い木造家屋が並び、無数の小さな漁船がたゆたう景観が、水の都たるゆえんという。射水市が観光拠点として道の駅ならぬ「川の駅」を整備。NPOは7年前に設立され、「日本のベニス」と銘打った散策マップまで作った。

格子戸の家並み

 今回の旅の水先案内人をお願いしたのは、元富山大教授の雨宮洋司さん(71)。内川の景観にほれ込み、マップ作りの中心となった人だ。湊橋と東橋の間の東内川の一部を散策した。

 NPOの事務局が入る新湊勤労青少年ホームを出て、まずは川沿いから一本入った通りを歩く。格子戸の古い家々や神社仏閣に加え、海や街道の安全を願う地蔵堂もあちこちに建てられている。「銅板の壁や軒下に漆を使った豪華な家、内蔵の存在は、ここが繁栄していた証し」。雨宮さんが教えてくれた。

 海に近い湊橋の手前から川沿いの歩道へ。川との間に柵はなく、水と近い。漁船は毎晩、ここから漁へ出航していくという。川には数百メートルごとに個性豊かな橋が架かり、富山湾と内川を周遊する遊覧船も運航されている。

土蔵がカフェに

 雨宮さんが「一番内川らしい風景」と、川に面したひときわ古い建物を紹介してくれた。外観はこの地で見られる「大板(おおいた)壁」で覆われているが、古びた感じからは海に近い一帯が風雨や高波と向き合ってきた歴史を感じさせた。

 この建物の奥には、土蔵を改造したカフェ「茶処DO・U・ZO」がある。「内川散策の休憩場所に」と、オーナーの渡辺八重子さんが昨年4月に開いた。隣にはギャラリーもあり、レトロな雰囲気で心地良い。「ベニスのような派手さはないけれど、ここには日本海の港町の原風景が残っている。蔵を包む板壁群の情景は他にはないでしょう」。雨宮さんが話すと、渡辺さんも笑顔でうなずいた。

福岡・柳川の川下りの様子(柳川市観光協会提供)

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水と近い舟屋の風景(伊根町観光協会提供)

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まだある「ベニス」

柳川(福岡) 伊根(京都)

 福岡県の柳川に、京都府伊根町の舟屋−。実は「日本のベニス」と呼ばれるスポットは全国各地にある。

 「観光客の方がイタリアに似てるって言ってくれますね。川下りの様子がそう思えるんでしょうか」。柳川市観光協会の平川しずか事務局長が話す。市内約930キロにわたり、堀が張り巡らされている柳川。約4キロの区間を70分かけて回る川下りは「川が蛇行しているので角を曲がるたびに景色がガラッと変わるのがいいんです」。

 若狭湾に面した丹後半島の先端近く、京都府伊根町の海岸線に舟屋が並ぶ風景も、テレビ番組でベニスと取り上げられたことがある。約230軒が今も暮らし、そこに息づく生活も含めた良さがあるという。伊根町観光協会の吉田晃彦さんは「欧米からの観光客が特に気に入ってくれますよ」と話した。

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“本家”とは違う良さ

ばくのつぶやき

 イタリアのベニスを訪れたことがある。きらびやかな宮殿や教会、美術館は観光客でいっぱいだった。今回巡った内川は、本家のにぎやかさはないものの、静かで穏やかな情景にはまた別の良さがあった。ゆったりとした気分で散策を楽しめる。

 

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