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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

どっぷり 味食街(みしょくがい)

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 北陸随一の繁華街、金沢市片町。この街の片隅に、今なお昭和の雰囲気を色濃く残す一角がある。バラックの長屋に飲み屋が軒を連ねる「金沢中央味食街」。軒の高さはせいぜい二メートル程度で、どの店も六、七人ほど入ればいっぱい。近ごろは若い世代の人気も集めているという味食街を訪ね、昔懐かしの風情を味わってきた。(担当・佐藤航、松本浩司)

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楽しくうまく安い

 「空いてる?」。カウンターに座っていると、すぐ背後からこんな声が聞こえてきた。見ると常連客が店内の様子をうかがっているが、6席しかない店はすでに満員。昨年8月に開店したすし店「きく家」は、じわじわとファンを増やして今や立派な人気店だ。

 ここの売りは、うまいすしを手ごろな値段で味わえること。15貫前後で3000〜3500円が目安。中年サラリーマンだけでなく、若い客も多い。たまり場のように、20〜30代の若者が集まることもある。

 店主の佐々野経史さん(37)は16歳ですしの道へ入ったが、「最初は貯金のために始めたバイトで、気付いたらすし職人になってました」と笑う。「こだわりなんてないすよ。うんちくを語るんじゃなく、楽しくて、うまくて、安けりゃいい」。イメージは、すし屋というより浜茶屋(海の家)。肩の力を抜き、つまんで飲める雰囲気がオツだ。

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ロックとアニメ愛

 「プログレ割烹(かっぽう)」と呼ばれる店があると聞いて、ずっと気になっていた。味食街の一番奥にある「うまいぞいや 哲」。プログレッシブ・ロックとアニメをこよなく愛する店主が営んでいるらしい。

 店に足を踏み入れると、壁沿いにずらっと並んだDVDが目に飛び込んできた。カウンターの上にはアニメのフィギュア。DVDプレーヤーにテレビ、スピーカーもあり、客のリクエストに応じてDVDを流してくれる。

 「最初はこんなになかった。だんだん増えていったんよ」。店主の山崎哲哉さん(53)は言う。同じ趣味を持った常連客も多く、ライブ映像を見ながら盛り上がることも。大音響でピンク・フロイドを聞きつつ、うまい刺し身や天ぷらを味わうひとときは、他では味わえない「プログレ割烹」だけの魅力だ。

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若い人にも気楽に

 20、30年の歴史を持つ古株に交ざって、開店から間もない若い店もある。「一休庵 恵子」もその一つ。2年前まで片町で日本料理店を営んでいた小財恵子さん(65)が切り盛りしている。

 旬を迎えた地物の野菜や魚介を使い、酒に合う一品料理を出してくれる。若いサラリーマンでも来られるよう、「ビール2本に3、4品出して2500円くらい」に抑えるよう心掛けている。

 片町で店を開いていたころと環境はまるで違うが、「この場所もいろいろなお客さんが来てくれて楽しい」という。味食街にある店らしく、「手ごろな値段で、おいしく気楽に飲んでもらいたい」と話している。

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昔も今も居心地良く

ばくのつぶやき

 「もう45年くらいになるのかな。昔はどの店も繁盛していて、にぎわっとったよ」。店を開いて30年以上のおかみさんに中央味食街の歴史を尋ねると、こんな答えが返ってきた。

 20軒の小さな店が、文字通り身を寄せ合い営業を続けてきた味食街。長引く不況で飲みに出る客は減っているが、昔ながらの居心地の良さは今も健在だ。近ごろはレトロな雰囲気に引かれる若い客も多いという。

 ここに通って30年以上になる団体職員の男性(56)は「どの店も狭いから客同士の距離が近い。知らない人でもすぐ仲良くなれる」と魅力を語る。前出のおかみさんは「若い人にとって、ここは別世界みたいでしょ。つい入りたくなるのかもしれないね」と笑みを浮かべていた。

 

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