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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

金沢アートトリップ 未来の巨匠を探しに行こう

金工の工房を見学するばく=金沢卯辰山工芸工房で

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 金沢といえば伝統的な手仕事が息づく工芸の街。近年は金沢21世紀美術館の影響で現代アートも盛んになり、美術の層は厚みを増している。多彩なアーティストが集う金沢には、これから活躍が期待される若手作家も多い。今回から始まる新ページ「Spot&Place」。初回は「金の卵」を探しに、popressのイメージキャラクター・ばくが街の美術スポットを回ってみた。 (担当・奥野斐、佐藤航)

工芸家の卵 真剣に

 「トントン、カンカン…」。ガラスを隔てた向こうの部屋で、若者が何やら作業にいそしんでいる。金づちで銅板を一心に打つ姿は真剣そのもの。張り詰めた空気に、見ているこちら側も思わず息をひそめてしまう。

 ここは、金沢の街並みを一望できる卯辰山の中腹。工芸家を育成する金沢卯辰山工芸工房だ。加賀藩の職人工房として栄えた「御細工所(おさいくしょ)」の精神を受け継いで1989年に開設。陶芸、漆芸、染、金工、ガラスの5分野で研修生約30人が腕を磨いている。

 来場者入り口がある本館を経て、隣の工房棟へ。2階建ての棟に各分野の部屋が並び、見学者はガラス越しに制作風景を見られるようになっている。染の部屋では1人の研修生が机に向かい、友禅技法ののり置きに励んでいた。

 これまでの修了生224人のうち、約半数は金沢近郊で作家として活動しているとか。館長補佐の相川繁隆さん(59)は「国際的な展覧会で入賞する人も多いので、ぜひ注目してみて」と呼び掛けた。

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近江町に発信の場

 続いて訪れたのは金沢の観光名所、近江町市場のすぐそば。レトロな外観が目を引く北国銀行武蔵ケ辻支店の3階にあるNPO法人「金沢アートグミ」のギャラリーだ。

 カウンターの前を通り過ぎ、遮光カーテンで仕切られた奥の展示スペースへ。暗闇のフロアには6台の光源が据えられ、絶え間なく回転しながら赤いレーザー光線を発している。光線は周りに配置された鏡で反射を繰り返し、空間に幾筋もの赤い線を描いていた。

 この展示は、アートグミと金沢美術工芸大、北国銀行が地元の美術家を紹介するために一昨年から始めた「コーポレートアート展」。2回目の今回(29日まで)は、金沢美術工芸大の助手を務める若手作家、井上大輔さん(31)が出展した。警戒色を思わせる赤い光線は、大震災や原発事故に想を得たという。

 NPO理事の小森みゆきさん(26)は「こういう作家がいるんだよ、ということを市民はもちろん、アート関係者や企業などにも知ってもらいたい」と狙いを話す。ほかにもスタッフが地元の卒業制作展を回り、目に留まった作品を一堂に展示する「卒展セレクション」を毎年開くなど、若い才能の発掘に余念がない。

暗闇の中、赤い光線が乱れ飛ぶ井上さんの作品=金沢アートグミで

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美大作品を画廊で

 若手を積極的に紹介する街のギャラリーも気になる。その一つ、「ギャラリー点」(入江)に足を運んでみた。ここでは年に数回、金沢美術工芸大の学生やOBの作品展が開かれているという。

 「金沢から世界に通用するアーティストを育てたい」とディレクターの金田みやびさん(42)。大学に出向いて有望株を探すこともあり、「発表の場を提供することで多くの人に知ってもらう機会になれば」と意欲的だ。

無名時代に先物買い

ばくのつぶやき

 美大を出たばかりの若い作家にとって、自らの作品を世に送り出す機会は決して多くない。うまく売り込めなかったために、人知れず埋もれていった才能もきっとあったはず。

 金沢には今回訪れた工房やギャラリーだけでなく、そんな才能に光を当てるスポットがたくさんある。巡ってみれば、まだ名前は売れていなくても、魅力的なアートに出会えるかもしれない。

 有名作家ともなれば作品は高く、なかなか手が出にくいもの。ならば、若いうちに「先物買い」するのもありだ。成功した後で「この作家さん、昔から知ってた」と自慢することだってできる。

Kapoギャラリー(展覧会「第3の途」2008の様子、Kapo提供)

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ばくのあしあと

Kapo(金沢アートポート)

 さまざまな分野の若手作家が集うスタジオ兼ギャラリー。4階建ての建物に8組の作家が使う工房や展示スペースが入る。1階のカフェでは作品も展示。

 金沢市小将町1の11 山越サンアートビル内/ギャラリーは展示期間のみ開館。カフェは午前11時〜午後5時営業、毎週月、火曜休み。年始は1月18日〜/(電)カフェ080(3745)6540

若手美術・建築家が集まるCAAK寺町の町家(CAAK提供)

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CAAK(カーク)寺町の町家

 金沢の若手美術・建築家によるグループ「CAAK」が活動する町家。毎月、県内外の建築家や美術家を招き、勉強会や交流パーティーを開いている。参加者にはさまざまな分野の作家も多い。不定期で展覧会も開催。

 金沢市寺町2の3の4/イベントの開催日程はHP(「CAAK」と検索)で告知。

問屋業を営む会社が集まった長屋の一角にある問屋まちスタジオ

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問屋まちスタジオ

 金沢美術工芸大と協同組合金沢問屋センター(問屋町)が、アートを活用した街づくりの拠点として昨年3月に設立。普段は美大生、OBが制作する場だが、イベント時は開放する。通りに面した入り口ではスタジオを使う作家の作品を紹介。

 金沢市問屋町1の90/今後の開放予定はHP(「問屋まちスタジオ」と検索)で告知。

 

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