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popress【Spot & Place】北陸を中心に面白いスポットを発掘
 

ラテン気分 プチ体験 小松で発見 ブラジル文化

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 製造業の街・石川県小松市には、工場で働く日系ブラジル人が数多く暮らしている。リーマン・ショックの影響で激減したものの、その数は県内最多の約800人。市内にはブラジルの文化や食を堪能できる場所も少なくない。小松在住6年の日系3世、岩垣エリック・ジュンジさん(34)の案内で、ラテン情緒を味わえるスポットを巡った。(担当・奥野斐)

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がっつり肉料理

 「オイ(やあ!)」「コモ バーイ(元気?)」

 工場で働く夜勤明けのブラジル人が、続々と店に入ってきた。JR小松駅から歩いて約10分のレストラン「ホットアイスブラジル」。午前9時半、仕事帰りに故郷の味を求める客でにぎわっていた。

 バイキング形式の同店。迫力ある牛肉のオーブン焼き「カルネ・アサダ」(週末限定)が目に入った。ブラジル料理といえば、串刺し肉の「シュラスコ」が有名だが、こちらは家族や友人が集まる時に作る家庭料理。店主のポンシアノ・ラウリさん(44)が切り分けてくれた肉は塩味が効いていて、がっつり食べる若者にはお薦めだ。

 肉と並んで、ブラジルの食卓に欠かせないのが豆。塩味で軟らかく煮た「フェイジョン」は、カレー感覚でご飯にかける。黒い豆を豚の耳や尻尾などと煮込んだ「フェイジョアーダ」はエリックさん一押し。「見た目は少しグロテスクだけど、おいしいよ」。確かに、濃厚な味わいはくせになるかもしれない。

 店は、小松の工場で働いていたラウリさんと妻のマルシアさん(41)が2年前に始めた。小松のブラジル人にとって仲間が集う憩いの場。2人は「いろんな人が来るから楽しい」と笑みを浮かべた。

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欠かせない品々

 次に、駅前商店街に軒を連ねる食料品・雑貨店「ユニオン」に向かった。来日21年の日系3世、マリア・チエコ・タキイさん(55)が営んでいる。

 店内には肉や缶詰、菓子のほか、シャンプーなどの日用品も並ぶ。珍しいのは、ヤシの芽の水煮「パルミット」の瓶詰。マリアさんいわく、タケノコのような食感でサラダやキッシュに使うとか。「フェイジョン用の豆やブロック肉がよく売れるわね」とほほ笑む。

 エリックさんによると、ブラジル人向けの食料や雑貨を積んだ移動販売車も、滋賀県や富山県から小松にやってくるそうだ。食べ慣れたもの、愛用する日用品を提供する。そんな店が異国での生活を支えている。

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日本人と交流も

 最後に、エリックさんも顔を出すという日本人と外国人の交流拠点を紹介してくれた。こまつまちづくり交流センターでは、同国発祥の「カポエイラ」の教室も開かれている。

 また、市国際交流協会はポルトガル語講座(次回未定)を開講。講師はホットアイスブラジルのマルシアさんだ。教室をのぞくと、生徒の女性3人が熱心に学ぶ楽しそうな声が響いていた。協会は、4月にもボサノバなどの生演奏に合わせてダンスを楽しむ「ラテンナイト」(入場料1000円)をJR小松駅前のライブハウスで開く。

 日本語を勉強中のエリックさん。「言葉を覚えるのがとても楽しい」と話し、「夏場、ブラジル人は公園などでサッカーをするから、一緒にやろうよ」と笑顔を振りまいた。

小松市のブラジル人

現在800人、定住も

 建設機械メーカーのコマツをはじめ、重工業の工場が多い小松市は、1990年の出入国管理法改正を機に出稼ぎに来る日系ブラジル人が増加した。2008年、リーマン・ショックの影響が出る直前には1200人を超えるまでに。不況で現在は約800人に減少したが、市内在住の外国人の中では最も多い。

 市は、コマツの現地法人もあるブラジル・スザノ市と姉妹都市提携を結んでいて、今年は40周年の節目を迎える。ブラジル人の増加に伴い、ポルトガル語の広報誌も発行。国際交流員を配置し、生活相談も受け付けている。

 近ごろは帰国せずに定住する人が多い一方、言葉や文化の違いから生じる日本人とのトラブルも。市は「互いに顔の見える関係」を目指し、町内会の文化祭や防災訓練に企画段階から加わるよう、ブラジル人コミュニティーに呼び掛けている。

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良き隣人 応援したい

ばくのつぶやき

 「昔は小松にももっとブラジル人がいたけど、最近は少なくなったね」「仕事が減って、シフトが2交代制から3交代制になった。帰国する人もいるよ」

 取材では、そんなふうに話すブラジル人の寂しそうな表情も印象に残った。レストランでは食事をしながら、求人情報が載るポルトガル語のフリーペーパーを見る人も。厳しい雇用環境を垣間見た気がした。

 身近にある“異国”を巡ると、地域の現状も見えてくる。良き隣人の彼らが元気を取り戻すためにも、景気回復を願う気持ちが一層強くなった。

  ※次回は21日付Work&Life。「パワハラ」を特集します。

 

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