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popress【Special】−特別編−
 

タブー もっと切り込んで これからのメディア考【後編】

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「新聞に物申す」 市民座談会

 前回に続き、ポプレスの3周年に合わせて「これからのメディア考」を掲載します。後編は、制作者や編集者、販売者などとして新聞以外も含めたさまざまなメディアに触れている人たちを招き、新聞に対して普段感じていることや、ポプレスの目指すべき方向性について話してもらいました。

あらし・あつこ 植物性の食材にこだわった料理やおやつなどを出張販売するユニット「niginigi(ニギニギ)」を友人と営む。国際的な人権擁護団体「アムネスティ」の金沢グループメンバーでもある。石川県白山市在住。

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読みたかった性の話題

 日下部:普段、新聞について思っていることは。

 嵐さん:東日本大震災を機に、テレビだけを信用していたら危ないと思って、ちゃんと読み始めた。その時にポプレスも。カラーで目を引くし、同世代が作っているので毎回テーマがツボ。石川は芸術家が多いとあらためて思ったし、人にスポットを当てていて、美術の雑誌を読むよう。

 あと踏み込んだ性の話題。同性愛の人は私の友だちにも何人かいる。新聞とかテレビであまり取り上げられないのは隠してる気がして、不自然に思っていた。ポプレスは性についていろいろ取り上げているので、ホッとして友だちにも見せたり。

 小坂さん:天気やお悔やみ欄をよく読む。小さいころから新聞紙のにおいも好き。

 嵐さん:私も好きです。

 小坂さん:だから新聞紙が出ている限りは、必要とするだろうなって。

おがわ・おさむ 小川デザイン事務所(金沢市)の代表兼アートディレクター。紙媒体のグラフィックデザインを中心に担う。趣味の俳句とデザインを組み合わせた「アート5・7・5」も制作、発表している。

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多様な情報 良さと悪さ

 押川:印象に残っている記事は。

 小坂さん:怪談。その少し前に読んだ同人誌に同じ怪談のコラムがあった。書き手が違うと表現が変わり、印象も変わってくる。あと、寺巡りも面白かった。金沢で生まれ育ってるけど、こんなものがあるって知らなかったから。

 小川さん:震災から原発事故に至って、新聞への信頼が一挙に崩れたんじゃないか。無条件に新聞は信用できる、記事にうそはないと思っていたことが、いや、ちょっと待てよと。広告の大スポンサーが電力会社だから、本当に言いたいことを控えてしまうのでは。

 一番読まれているのはお悔やみ欄とラジオ・テレビ欄。ラテ欄の見やすさは、他のどの媒体にも勝てる。皮肉な話だと思う。もうひとつ、夕刊は本当に必要か。労力と費用の無駄遣いでは。

 高井さん:スマホとかパソコンの方が、自分の欲しい情報を即座に手に入れられる。新聞の良さって、自分の得たい情報じゃないものも入ってくるところと思ってるんですけど、煩わしさも感じる。

 まだ高校生の時の方が新聞を読んでた。家にあったから。大学生になるとそれが切れちゃうからどんどん離れ、興味のない記事とも離れていく。学校の子たちが政治の話をしてるのを聞いたことがない。

こさか・やすゆき 金沢市出身。2006年に印刷会社を病気退職後、4年近く路上暮らしを経験した。10年、ホームレスの人たちの自立を支援する雑誌「ビッグイシュー」の販売員に。金沢市武蔵町で売っている。

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“勇み足”くらいでいい

 日下部:誰しも情報発信できる時代。新聞に求める役割は。

 小川さん:フェイスブックに原発や政治の問題を書くと、「いいね」の賛同が激減する。自分の意見を出さない国民性なのかな。それだと、国のリーダーが誤った時に監視も歯止めの能力もなくなる。新聞には税金の無駄遣いがないか、行政の事業費や効果を細かく報道してほしい。

 ポプレスはもっとタブーに切り込んで。若手記者が勇み足、くらいでもいい。

 嵐さん:それプラス、食とか面白い系も。懐かしい伝統料理も取り上げてほしい。由来や最近作られなくなった理由とか、若者も関心あるし、おばあちゃんたちも喜ぶと思う。ポプレスは60代の父も若者の感性が知りたいみたいで楽しみにしています。

 原稿に記者の意見をもっと出したら、他のメディアとの違いや個性が出て面白いかと。

 小坂さん:離婚欄は? 「別れました、私フリーです」とPRできるし。

 高井さん:それは(笑)。離婚したくなくなる。

 ポプレスだけで若者を取り入れるのは、すごくハードルが高い。新聞のシステムを変えないと。

たかい・あかね 金沢美術工芸大環境デザイン専攻4年。学生と里山を結ぶフリーマガジン「atetote(あてとて)」の制作に昨年4月の創刊号から携わる。10月に発行した4号では編集長を務めた。

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ポプレスは「商売がたき」

 押川:どんな仕組みなら若者は読む?

 高井さん:新聞紙が毎日たまっていくのがつらい。週1ぐらいなら。1面とか硬いビジュアルも読みにくい。政治の話題をポプレスみたいな面で。

 小川さん:中身を磨き、値段を高くしても買われるような紙面を。総花的な雑誌が売れない時代に若者も高齢者もなんて欲張り。今の読者を大切に。

 小坂さん:でも高齢者ばかりだと心配ですよね、読者予備軍をつくらないと。

 嵐さん:じゃ、20代は捨てましょう。30代だったら家族ができて一緒に読むかも。

 高井さん:物好きな20代はつかまえておきつつ、30、40代から読むものというコンセプトを打ち出したら。

 日下部:最後に言い残したことは。

 小坂さん:ポプレスは出しゃばり過ぎ。ビッグイシューとテーマが時々かぶっていて、読者としては面白いんだけど、商売ではライバル。いいかげんにしろよと。

 日下部:小坂さんが「チキショー」と思うテーマをどんどんやっていきます。

 出席者 ポプレスの愛読者で料理家の嵐敦子さん(35)、グラフィックデザイナーの小川修さん(72)、雑誌「ビッグイシュー」販売員の小坂保行さん(46)、学生が作るフリーマガジン編集人の高井茜さん(22)、ポプレス編集部の日下部弘太、押川恵理子

 ※次回は9日付Love&Sex。美術作品を「美男」の視点から鑑賞します。

 

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