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popress【Special】−特別編−
 

東日本大震災 悩む若者たち 今、何ができるのか。

 津波が海沿いの街を次々とのみ込み、いたるところで火の手が上がる。東日本大震災は、各地にかつてない規模の被害をもたらしている。悲しみ、恐怖心が日本中を覆うと同時に、「被災者の力になりたい」との善意も広がる。北陸でも、ボランティアに向かおうとする大学生、チャリティー企画への参加を申し出たミュージシャンがいる。彼らの思いを伝えるとともに、今、一人一人に何ができるのか、考える。

北野梨花さん(石川県輪島市出身・19歳)

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焦りを抑え情報収集

 壊れた家の壁、ぐちゃぐちゃになった街並みの光景が、脳裏に焼き付いて離れない。4年前、輪島の実家で能登半島地震を経験。直後は父と弟と連絡が取れず、不安が募った。

 そんな時、全国から駆けつけてくれたボランティアに「すごく勇気づけられた」。こんなにも自分たちのことを考えてくれる人たちがいる、と。

 人が乗っている車がリアルタイムで次々と津波に流される「見たことのない光景」に「今度は自分が」という気持ちになった。状況を考えぐっとこらえたが、普通に暮らせている現状に「このままでいいのか」と思うことも。焦りを抑えるように、募金箱を見つけるたび寄付しながら、情報収集を続けている。

真杉篤司さん(神戸市出身・20歳)

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阪神の恩返ししたい

 気仙沼、大船渡、釜石。大きな津波被害を受けた場所は、聞き覚えのある地名ばかり。1週間ほど前、この一帯を観光で訪れていたためだ。

 しかし、その街並みは、まったく見覚えのない姿に変わり果てていた。「自分でみて、写真に撮った光景が今はもうないのかと思うと…」と目を伏せる。

 幼いころ、出身地の神戸で阪神大震災に遭った。「家族はボランティアに力をもらった。恩返しのためにも動かないといけない」との思いは強い。

 「がれきの撤去とか、自衛隊でなくてはできない仕事が多い。行くのはまだ早い」。そう冷静さを保ちつつも、言葉に力はこもる。

鈴木方巳さん(静岡市出身・21歳)

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まずは募金活動から

 地震の発生直後。東北出身の友人に「大丈夫?」とメールすると「家族と連絡が取れない」。事態の大きさを実感し、何も手につかなくなった。なのに、おなかはすいた。

 「そんな自分がショックだった」。翌日の夜、友人とご飯を食べる約束をしていたが、取りやめた。

 すぐにでも現場に行きたい気持ちはあるが、災害ボランティアの経験はない。「邪魔になってしまうのでは」。原発の影響や余震も怖い。それに「あまりの地震の規模で『大変ですね』という言葉をかけていいかも分からない」と打ち明ける。

 もどかしさが募る中、学内で募金活動も始めた。「離れていても、何か助けになることをやりたい」

高瀬由佑子さん(金沢市出身・21歳)

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そばで話し相手でも

 「うそやろ」。津波で家がどんどん押し流される映像を食い入るように見つめた。

 「怖いけど、今まさに起きていること。目を離せなかった」

 過去の震災は、映像を見ても「遠く離れているし、何していいかわからん」と割り切れる部分があったという。が、今度は「感じたことのない悲しみがわいた。割り切れなかった」。何かしたいけど、何もできない自分に腹が立ち「つらかった」と声を詰まらせる。

 日ごろ、ボランティア活動に参加するのは、高齢者福祉に興味があるから。だが、今度の地震で「子どもから高齢者まで支えたい」と思うように。そばで話を聞くだけでも喜んでくれる被災者はいる。

 「学生の私たちでもできることをしたい」

 ※4人は、能登半島地震の被災者を支援する金沢大のサークル「能登見守り・寄り添い隊 灯(あかり)」のメンバー。

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音楽界にも支援の輪

 音楽を通じた支援の動きも出てきている。ネットで音楽を配信している「オトトイ」(東京)は、チャリティーアルバムを企画。全国の音楽家に参加を呼び掛けると、わずか3日間で細野晴臣さん(ハリー細野&THE CHOW CHOW CATS)、クラムボンら112組が曲を提供した。

 発生から1週間足らずの17日から配信と、ネットならではのスピード感で実現。タイトルは「Play for Japan」。日本の未来のために演奏する|との意味を込めた。Vol.1〜6まで、各1000円。詳細はオトトイのサイト(「ototoy」で検索)から。

 曲を提供した石川県白山市のアーティスト、asunaさん(31)=写真=は「今は、やれることをやるしかない。音を提供することで役立てるならと、二つ返事で応じた」と話した。来月17日に金沢市のアートスペース「Kapo」で主催する音楽フェスも、売上金の一部を寄付金にあてるイベントに切り替えるという。

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若者たちへアドバイス

災害ボランティアに詳しい

金沢大・田中純一研究員

 ■安全の確保が一番 「一日も早く被災地に入りたい」と急ぐ気持ちは理解できるが、待つことも重要だ。最低限のライフラインが復旧していなかったり、被災者の安否も確認できていない状況では、経験のないボランティアが「邪魔」になることも。

 ■寝袋、食料は持参を 現地では自治体などに設置されるボランティアセンターに登録し、被災者のニーズに合わせて活動に参加するのがよい。被災者の物資を使わないよう、寝袋や食料も持参する覚悟で。

 ■できることは多い 避難所には多様なニーズがある。炊き出し、子どもの遊び相手、家族の思い出の品を倒壊家屋から捜す、マッサージ…。若者たちでも支援できることはある。

ネットでも手軽に

 インターネットや、携帯電話からの手軽な募金も広がっている=表。買い物でたまったポイントをお金として寄付できたり、ネット上の仮想通貨が現実の募金となったりする仕組み。ただ、電話やメールで募金の振込口座を指定する「成りすまし」も出ており、利用者は必ず公式ホームページから手続きするなど注意が必要だ。

ネットや携帯を使った募金例

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