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popress【Special】−特別編−
 

若者の力で日本動かせ 衆院選 たかが1票? されど1票?

 4日公示された衆院選。若者の投票率の低さは、選挙のたびに話題になってきた。2009年の前回選では20代でも50%近くまで上昇したものの、60代の84%には遠く及ばず、「面倒くさい」「忙しい」「投票することで何か変わるのか」といった懐疑的な声さえ聞こえてくる。そこで、若い世代と政治を結び付けようと活動する2人のリーダーに聞いてみた。私たちが投票して、何か意味があるんですか?

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高齢者に有利 損するで!

議員インターンシップを運営

佐藤大吾さん(39)

NPO法人ドットジェイピー理事長

 「ハタチになると投票権が手に入るから行くべきだ」とか言っても、1票が何か影響を与えるのかなって思いますよね。でも、僕が真剣に考えた方がいいと思うのは「損するで!」ということ。自分たちだって税金を払っているのに、若者は投票に行かないから、議員も高齢者の声ばかり聞く。それって嫌じゃないの?

 医療、年金、介護など社会保障費に、国家予算の約4分の1を使っているわけですよ。その主な受益者はおじいちゃんおばあちゃんたち。それだけじゃなくて、借金までしてその返済もある。さらに貯蓄率も年配層が高い。若い人たちはお金も持ってないし、借金のツケはくるし、予算の割り当ても少ないし…。それなのに「イマドキの若者は元気がない」とか言われて、そりゃあ、気持ちもなえるよなって(笑)。

 若い人が選挙に行かない理由ははっきりしていて、知り合いが出てないから。投票を頼まれないからです。政治にリアリティーを持ってほしいと、1998年から始めた議員インターンシップ(就業体験)の経験者に聞いても、活動前に「投票に行く」という人が41%なのに対し、後だと83%に上がる。

 20代、30代が投票に行くようになれば、どの党も彼らを無視できなくなる。どうせ選挙に行かないやんけと思われたら、議員にとっては怖くない。ただでさえ少子高齢化で、年配層と同じ票数を目指すのは非現実的。でも、過去の選挙結果をみても若者の投票率が15%ぐらい上がれば、状況は変わりますよ。 (聞き手・奥野斐)

 さとう・だいご 1973年、大阪府生まれ。大阪大在学中に起業、その後中退。98年にNPO法人ドットジェイピーを設立。運営する議員インターンシップには年間1600人の学生が参加する。若者の集まるところに政治を届けようと「Yahoo!みんなの政治」「楽天政治LOVE JAPAN」など、議員の活動記録などが閲覧できるウェブサイトの運営もしている。

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未来のためネット解禁を

若者と議員の交流会を企画

原田謙介さん(26)

「YouthCreate」代表

 若い人にも思いや問題意識はあって、いろいろ活動してる人もいるけど、解決の手段として政治につながらない。あまりにも遠すぎるし、どうせ何も変わらないよねって。でも実際、世の中を動かしているのは政治で、意思表示の手段が投票。選挙は日本最大のイベントなのに高齢者ばかり参加してる。だから「日本の流れから取り残されるな」って、いつも言ってる(笑)。

 もともと政治に興味があって、大学に入ってすぐ議員の元で働いてみた。けど現場では全然同世代に会わない。米大統領選とか、米国ではあんなに若者が動いて変わろうとしてるのに「なぜ日本は」とすごく悔しかった。

 少しでも多くの人を巻き込み、まずは投票に行ってもらおうと大学時代に団体をつくった。議員と飲むイベントや、投票日を忘れないようにメールを送るプロジェクトを始めて、前回の衆院選ではメール企画に2000人が参加してくれた。

 政治のハードルを下げて、接点をつくれば若い人の意識も変わるはず。選挙でのネット解禁もその一つ。選挙期間は一番政治が盛り上がり有権者の関心も高まるのに、なぜ俺たちから情報を遠ざけるのか。特にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は若者にとってリアルな情報源。なりすましや技術的な問題はあるけど、まず議論するべきだ。

 ネットを活用すれば、投票に誘導する仕掛けはたくさんできる。日本の将来のために仕組みを変える原動力になれるのは若者だと思う。 聞き手・小椋由紀子

 はらだ・けんすけ 1986年、岡山県生まれ。東大法学部卒。在学中の2008年に学生団体「ivote」を、卒業後の12年に「YouthCreate」を設立。議員とバーで政治を語るイベントの開催や小中高生に政治を教えるプログラムの作成、授業などの活動を続ける。ネット選挙運動解禁に向けた「One Voice Campaign」発起人。

16日の投票率どうなる?

佐藤さん

 「自分の1票で変わるかも」と思える状況で若者は動く。前回の衆院選で20代が50%近くまで上がり、政権交代した。昨年の大阪市長選でも20代が16%伸びたことで、有力候補をひっくり返した。「何か変わりそう」と思えるかどうかが鍵。

原田さん

 今回は政党だけで10以上あって、どこも過半数を取れないような状況だと、若者の投票で順位がガラッと変わる可能性もある。若い人の動向を気にせざるを得なくなるから、単純に選挙に行ってほしい。投票率自体は、09年の衆院選よりも下がると思う。

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低すぎる投票率

北陸でも草の根活動

 衆院選の投票率は、1969年の第32回選挙以降、20代が全年代の最下位で、特にここ20年ほどは全体と比べて大幅に低い30〜40%台で推移している=グラフ。2005年の「郵政民営化」、09年の「政権選択」選挙は争点が分かりやすく、現状打破への期待感もあり、20代の投票率も上昇。しかし09年も過半数に届かない49.45%で、最も高い60代の84.15%とは圧倒的な開きがあった。

 そんな中、若者が中心となり、同世代に投票を呼び掛ける団体が北陸でもできている。

 福井県の「明るい選挙推進青年活動隊CEPT(セプト)」は05年に設立。学生ら約10人が毎月企画会議をし、大学祭やテレビ局でのPRなど地道な活動を続けている。「選挙は若くても社会の一員として参加できる貴重な機会」と代表の福井県立大4年亀田実里さん(22)。今回も街頭キャンペーンなどに力を入れるという。

 金沢では、金沢大大学院OBでつくる団体「KAKUMA NO HIROBA(カクマノヒロバ)」が、政治と若者をつなぐ活動もしている。副代表の村本宗一郎さん(26)らは2010年の参院選の際、ツイッター政治討論会を開催。今回は間に合わなかったが「政治は自分たちでつくるもので任せるものじゃない」と話している。

 ※次回は8日付Spot&Place。食の都、富山県氷見市を訪ねます。

 

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