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popress【Special】−特別編−
 

2nd Anniversary 新聞は進化できる

新聞の未来などを語る森本千絵さん=東京都港区で

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 新聞が若い世代に読まれていないという声に端を発し、ならば二十代を中心とした同世代の記者たちが作ってみようと、二〇一〇年十一月に始まった若者向けページ「ポプレス」。サブカルチャーや恋愛・性、インタビューなど五つのテーマで毎週水・土曜に掲載し、今日で二百九号になりました。若者に読まれる新聞とは。原点に立ち返り、全く違う角度から同世代に影響を与えるお二人に新聞への提案を聞きました。

「紙の方が未来だぜ」って

アートディレクター 森本千絵さん(36)

 私、新聞毎日読んでる人なんです。いいじゃん、いろんな記者が見つけてきたものが詰め込まれていて、焦って記事を突っ込んだ感じで。ライブじゃないですか。で、「その日」が紙に刻まれて残っていく。

 こんな事件もあれば良いこともあるって、俯瞰(ふかん)で見えてきて、世界全体が頭ん中に描きやすい。私、東日本大震災からずっと新聞で日記も付けてるんです。紙面一枚を選んでその日の出来事や絵を上から描きつける。時代の中に毎日を記録してる感じなんだよね。

 私はすごく好きなんだけど、若い人は読まないよね。二〇〇三年、広告会社にいる時に日本新聞協会の仕事で「ハッピーニュース」キャンペーンを企画した。今の学生は冷めてて、マスコミ不信でうそをすぐ見破る。けど、ひねくれてないし、真実には素直に感動する。そう考えて、希望の持てる記事を応募、表彰する仕組みを作った。今では授業で使われたり広がりも出てきている。

 ネットの方が便利じゃんって見向きもしないのもどうかと思うけど、新聞も良い形で進化しても。携帯電話があんなに小さいサイズになったんだから、もう少し小ぶりでもいいんじゃないかとか。新聞には可能性はいっぱいある。

 難しいけど、若い人が全体的にそっちの方がカッコイイってなれば読むだろうね。読みなさいとか、読むのが当たり前、じゃなくてさ。あまりにもデジタルが過ぎた時に、紙に触れる、感じるっていう、そっちの方が未来だぜって。

 もりもと・ちえ 1976年、青森県生まれ。武蔵野美術大卒業後、博報堂を経て2007年に独立。株式会社goen°を設立した。サントリー「BOSSシルキーブラック」CMやNHK大河ドラマ「江」ポスター、Mr.Childrenのプロモーションビデオなど広告、音楽、映画、舞台、本などの幅広い分野で総合企画、デザインを手掛ける。昨年、東日本大震災後の精力的な活動で日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2012」準大賞を受賞。今年、さまざまな文化活動で優秀な実績を挙げた人に贈られる「第4回伊丹十三賞」を受賞した。

ネコとルームシェアの友人と一軒家で暮らすphaさん=東京都中央区で

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若者切り捨てられてる

ニートの生き方を発信 pha(ファ)さん(33)

 僕のモットーは、できるだけ働かずに生きること。定職に就かず、教育や職業訓練も受けていない「ニート」です。毎日起きている時間の八割はネットをやってますね。情報収集や友達とのコミュニケーションで。ツイッターやフェイスブック、ブログを読んだり、人と話したりしているうちに時間が過ぎる。ネットはなんでもあって、僕にとってそれは人間から独立した新しい「自然」なんです。

 ネット中心なので、新聞はあまり読まないんですよ。最近何が起きたかを知るだけならヤフーニュースを眺めれば分かるし、深く知りたい時は本を読む。断片的だけど、そっちの方が便利だし。そういう若い人、少なくないと思いますね。

 新聞は総合的なメディアで、少数派の若者は切り捨てられている感じがするからかな。記事のほとんどは自分たちを対象にしていない。身近じゃないし、自分たちの側ではない気がするんです。

 でも、新聞はやっぱりメジャーなメディアだから、そこに自分が取り上げられたり知人が載ったりするとうれしい。僕みたいなマイナーな存在も知ってもらえる。例えば、僕は「働かないことは悪いことでも駄目なことでもない」「価値観が多様化している時代に、固定した生き方に縛られる必要はない」と思っているけど、そういう少数者の声をすくい上げて知らしめる役割は大きいですよね。

 要は中身。マイナーで、自分たちの世代、価値観に沿った内容があれば、若者ももっと食いつくのかな。

 聞き手・奥野斐

 ふぁ 1978年大阪府生まれ。京大総合人間学部卒。団体職員として3年ほど働いた後、28歳で辞めてニートに。主な生計はブログの広告収入や原稿料。ネット上に「ほしい物リスト」を公開し、賛同者に寄付もしてもらっている。今年9月に著書「ニートの歩き方−お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法」(技術評論社)を出版。パソコンやネットが好きな人が暮らすシェアハウス「ギークハウスプロジェクト」発起人で、現在ギークハウスは国内外に20カ所を数える。

「新聞の枠超え」挑み続けます

 今回、新聞への思いも、生活スタイルも、対極にある二人に話を聞きました。

 取材中、「読み手としての若者はもう捨てても…」とつぶやいたphaさん。ネット世代にとって、新聞は遠い存在になりつつあるのかもしれません。

 でも、新聞を読まない同世代の若者にこそ、役立つ、面白い記事を発信したい。数々のヒットCMなどを手掛ける森本千絵さんは、読まれるために「新聞という枠組みを超えて」と強調します。「いろんな人、物、記憶が混ざって、反応してアイデアが生まれる」と。

 ポプレスは記者とカメラマン、レイアウト・デザイン担当の若手が一緒に、一から作るページ。結構斬新な試みとして始まりましたが、これからも新聞という枠にとらわれず、より読まれる紙面を目指していきます。

ご意見、ご感想

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 「新聞よりネット」という若い世代に向け、ポプレス編集部は開始当初からツイッターでの情報発信をしてきました。2周年に合わせ、10月上旬にツイッターのフォロワー(読者)を対象に紙面の人気投票とアンケートを実施。過去の掲載記事の中から反響が大きかった各テーマ10本を選び、フォロワーにランダムにアンケートをお願いしたところ、41人から回答をもらいました。結果を紹介します。

 紙面のデザインが好き。表題も固くなくて興味を持ちやすい。(20代・男性)

 Love&Sexは最も興味がある。知りたくても友人には聞きづらい内容。ただ、子どもも読むであろう新聞にここまで載せていいものか。(30代・女性)

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 私のような「実年齢は30〜40代だけど精神年齢は若い」人にも参加しやすい企画を。今後取り上げて欲しいのは「競馬」。(40代以上・女性)

 ダイエットより「健康的なスタイルの良さ」を意識した面白い記事を。(20代・女性)

 Spot&Placeが楽しみ。地元が金沢ではないので、次はここに行きたいな〜と思いながら読んでいます。(30代・女性)

 もう少し掘り下げたり、関連した事柄を紹介してほしい。(40代以上・男性)

 性的少数者のテーマを継続的に取り上げて欲しいです。(30代・女性)

 ドキッとするテーマとポップなタイトルは新聞という枠を超えている。ますますの発展と挑戦を。(30代・男性)

 ※次回は7日付Attention! 編集部が石川県輪島市の白米千枚田で育てたお米を味わった「収穫祭」の様子を紹介します。

 

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