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popress【Love & Sex】性、恋愛の問題をまじめに考える
 

若年性乳がん「一人じゃない」 患者らの会 Pink Ring

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闘病、悩み…支え合う輪

 6万人。日本で年間に「乳がん」と診断される人数だ。ここ30年で5倍と右肩上がり。全体の3%弱だが、20〜30代の患者も増えている。体の変化や恋愛、結婚、出産に関わる悩みは年代が異なれば共感しづらい面も。少数派ゆえに孤立しがちな若い女性たちが闘病の体験を共有して支え合う試みが、東京都内で進んでいる。切実な声に耳を傾けた。

切実な声 次々と

 「抗がん剤治療のため、ずっとロングだった髪を切りました」「妊娠してから、しこりに気づきました」。

 10月中旬の夜、20〜30代の女性11人が机を挟んで向き合っていた。乳がん発症の時期や治療の段階はさまざま。独身者も妊娠中の既婚者もいる。ここは、聖路加国際病院(東京都)が主催する若年性乳がんの体験者を支えるグループPink Ring(ピンクリング)の集まり。

 設立のきっかけは、40代以上が大半を占める既存の患者会で疎外感を覚えたという若い患者の声。乳がんは女性ホルモンのエストロゲンが発生や増殖に関わる。閉経の前後で治療法は異なり、出産経験によって病気の受け止め方も変わってくるためだ。病院は2010年に36歳以下対象のピンクリングを設立。患者だけで組織せず、専門医や看護師も加わるグループ療法が特徴だ。

 7〜10人のグループをつくって5週連続で集まり、抑うつなど心の問題、妊娠・出産、仕事と治療の両立などをテーマに毎週1時間半ほど話し合う。

 10月8日夜の集まりは11期目となるグループの顔合わせ。女性看護師が進行役を務め、闘病の支えを尋ねると「一番の支えは家族」でほぼ一致。「グチは友だちに聞いてもらい、家族に暗い感じを持ち込まないようにしている」と身近な存在への配慮も聞かれた。

 「戻れる職場があることも支え」との声が出た一方、職場で乳がんの発症を伝えた相手は「仕事で迷惑をかける直属の上司。あとは本当に親しい人だけ」との意見が多かった。理由は「無神経な言葉に耐えられない」「胸は女性らしさの重要な部分。体の変化を想像されたくない」と、他人の反応に傷ついてきた様子がうかがえた。

あふれる感情、涙

 参加者のうち3人は妊娠中。今年初めに乳がんの手術を受けた女性は、術後に妊娠が分かった。「新婚で発症し、夫の人生も変えてしまった。夫や妹夫婦は変わらない態度で接してくれ、精神的に支えられている」と声を震わせ、別の女性は「乳がんが発覚した病院では中絶を前提に話された。流産の経験があり、家族に話しにくかった」と打ち明けた。

 晩婚化や高齢出産の影響で、妊娠中に乳がんが見つかるケースは増えている。専門医によると、妊娠中はエストロゲンを抑えるホルモン治療と放射線治療は行えないが、抗がん剤治療は妊娠中期以降ならば胎児に影響はなく、流産や奇形のリスクが高まるとの報告もないという。

 抑えていた感情を出し、乳がんになってから人前で初めて涙ぐんだ人も。初対面の緊張がほぐれ、笑い声もあった集まり。「同じ境遇の人に会えてよかった。いろんな考え方を知れた」と参加者は話した。

 活動は4年目を迎え、延べ100人が参加。意識調査からは「QOL(生活の質)が非常に改善している」とグループ療法の効果が確認された。代表の北野敦子医師は「コミュニティーが自然と生まれ、つながりを求めている患者にとっては希望の場」と話し、活動の広まりを願っている。

 ピンクリングはホームページ(http://www.pinkring.info/)で、若年性乳がんの治療体験記や活動内容を紹介している。2014年2月15日には発足4周年記念のパーティーを企画。聖路加国際病院の日野原重明理事長の講演などを予定している。

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早期発見へ検診を

石川県立中央病院 吉野医師に聞く

 10月は乳がんの早期発見、治療を呼び掛けるピンクリボン月間。石川県立中央病院乳腺・内分泌外科診療部長の吉野裕司医師に治療や予防法を聞いた。

 エストロゲンにさらされる期間が長くなると、乳がんになりやすい。発症リスクを大幅に減らす方法はないが、がん細胞が1センチ以内なら、9割以上は治る可能性が高い。早期発見のため検診が大切。

 マンモグラフィー(乳房専用のエックス線撮影)など検診の充実、効果的な治療薬の公的保険認可が進んだ欧米では患者数、死亡率とも低下している。

 日本は検診の受診率が30%と低い。市町村によるマンモグラフィー検診は40代以上に行われているが、若い世代は乳腺組織が密なため、はっきり写らない場合があり、小さな乳がんを発見するには超音波検査が有効。20歳を過ぎたら触診、40歳を過ぎたら検診を1〜2年に1回、がん患者が血縁者にいる場合は年1回の割合で受けてほしい。

 遺伝性乳がんの検査は自分の母親や姉妹、子どもにも関わる問題。発症のリスクが判明した際の対応を熟慮した上で検討を。遺伝子変異があっても発症の可能性は50〜90%。遺伝子検査の費用は約25万円、乳房の予防切除と再建手術は200万〜300万円かかる。

 担当・押川恵理子 ※次回は26日付Work&Life。ニートの若者を「遅咲き」と肯定的に捉えて就職を支援する試みを取り上げます。

 

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