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popress【Love & Sex】性、恋愛の問題をまじめに考える
 

イケメンをめでる 女性記者 デッサン体験

浴衣姿のイケメンを前に真剣に筆を走らせる参加者たち

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 美術の授業などでヌードデッサンといえば、女性のモデルが一般的。だけど、男性の筋肉質で骨太な体を描く魅力だってあるはず。「イケメン」がモデルのデッサン会が金沢市で開かれると聞き、大学で美術史を学んでいた記者(23)もいそいそと参加した。

 それまで着ていた浴衣をはらりと脱ぎ捨て、男性モデルが下着1枚になってポーズを取る。引き締まった腹筋と厚い胸板を描ける正面、セクシーなうなじを捉える背後−。デッサン会の参加者はベストポジションを探しながらイーゼルを持って一斉に移動した。

 会場は金沢市青草町の「金沢アートグミ」。アイドル風のイケメンを日本画で描き続ける画家木村了子さん(41)=東京都町田市=の個展に合わせて開かれた。

 この日のモデルは2人。金沢市のダンサーLAVIT(ラビ)さん(31)は筋肉がバランスよく付いたソフトマッチョ系。金沢学院大生の出木章太郎さん(20)は細身で涼やかな目元が印象的だ。

モデルをしげしげと見ながら描く記者=いずれも金沢市青草町で

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 「イケメンの体をしげしげと見つめて描いてみて」。木村さんの掛け声で、会場は一気に静まり返った。参加者の視線は画用紙とモデルの間をせわしなく動き、部屋には鉛筆を走らせる音だけが響いた。参加者24人のうち男性は1人。最初に浴衣姿を描いて腕をならした後、ヌードデッサンに挑んだ。

 記者は生身の人間を描くのは初めて。鉛筆を寝かしてラフな輪郭を取り、肋骨(ろっこつ)や筋肉のなめらかな陰影は指でこすってぼかしてみた。下着を描くのに若干ためらいつつ、どうにか完成させた。

 男性のヌードが描ける貴重な機会とあって、美大生や漫画家のアシスタント、建築家といった幅広い分野の人たちが来ていた。腹部をクローズアップしたものや、下着の線をあえて消した作品もあり個性たっぷり。

 金沢学院大で日本画を学ぶ冨田麻美さん(22)はラビさんのひきしまった体を無駄のない線で表現。女性の中で黙々と描いていた金沢市の男性(77)は「血が通った彫刻のようで女性と違う美しさがある」と興奮気味だった。

 自分はというと筋肉の重量感が足りず、やや不満な仕上がりに。でも「紙に全身がバランスよく収まっている」とねぎらってくれた木村さんの言葉が胸に染みた。

講評する木村さん

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 一方、たくさんの女性に凝視され続けたイケメンたちは−。普段からヌードデッサンのモデルをしているというラビさんは「パンツ姿のほうが違和感があるかな」と余裕。モデルは初体験という出木さんは「背後から描かれるのが恥ずかしかった」と苦笑いしていた。

 直線的な男性の体は筋肉や骨の線を1本描き足すだけで、ぐっと男らしくなるのが面白い。世のイケメンたち、いつでもモデル志願をお待ちしてます!

画家 木村さんに聞く

現代の春画 官能的に

 さわやかな美男子が人魚や王子様にふんして笑みを浮かべ「俺を見て」と訴えかける作品。「世の中はイケメンであふれている」と言い切る木村さんのように、アートとして彼らを描く作家は少ない。

 もともとは東京芸術大でステンドグラスを専攻。新聞社の出版部門で5年ほど働いた後、専門外のふすま絵を頼まれ、日本画の魅力に目覚めた。古文書などで技法を学び、裸で縛られた女性像や官能小説の挿絵などを描くようになった。

作品「はやぶさそうまでして君は」

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 そんな時、ふと男性をモデルにしてみようと思い立った。知人に頼み、裸体に食材を盛り付ける「男体盛り」に挑戦。「これが楽しくて。私にしかできない表現」と確信し、のめり込んだ。男性像は「江戸時代の春画の延長線上」といい、いかに美しく芸術に昇華できるかにこだわっている。

 浮世絵風の波を背景に、全裸の男性が自慰行為をしている作品を発表すると、日本では「どん引きされた」。一方、スイスでは「おばちゃんたちの食い付きがすごかった(笑)」。国内でキワモノ扱いされる春画などが芸術として受け入れられている欧米の風土を実感した。

 イケメンを描かないのは美術史の穴だと感じる。「強く意識するつもりはないけれど、描き続けることでその穴を埋めていけたら」

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デスクも うっとり

 いつもは黒子に徹しているデスクです。でも、今回ばかりはおとなしくしてられませんでした。だって、イケメンのデッサンですよ。しかも裸って聞いたら、若者に遠慮なんかしてられません。

 半ば強引に同行させてもらった結果は…。絵の出来栄えはさて置き、集中して描くのは想像以上の楽しさでした。男性の肉体の美しさも、あらためて知った気がします。「また企画したいですね」と話していた木村さん。実現したら、一番乗りで申し込みます。 (ゆ)

 担当・兼村優希 ※次回は31日付Human Recipe。ドイツの名門サッカーチームでスタッフを務める石川県出身の河岸貴さんに迫ります。

 

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