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popress【Love & Sex】性、恋愛の問題をまじめに考える
 

初恋ナイ、男ニモ女ニモ性欲ワカナイ、体触ラレタクナイ… 「無性愛者」誤解しないで

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 恋愛感情がない。異性、同性にかかわらず、男女どちらにも性的な欲求を抱かない−。そんな「無性愛者(アセクシュアル)」と呼ばれる人たちがいる。恋愛するのが当たり前と言わんばかりの世の中で、感じる生きづらさや生まれる誤解。性的マイノリティーのマイノリティーとも言われる人々の思いに耳を傾けてみた。

検索して納得

 「『恋する』ってのがよくわからない」

 そうブログにつづる北海道在住のメグミさん(29)=仮名=は、3年ほど前からアセクシュアルを自認している。20代後半になっても初恋がない。かっこいいなと思っても、恋人として好きにならない。他の人と違うのではないかと、ネットで「恋愛感情 ない」と検索して自分のような人がいることを知り、ふに落ちたという。

 高校生のとき、告白されて男性と交際したこともあった。だが、肉体関係を求められると「行為そのものがどうしようもなく気持ち悪くて、無理だった」。その後も告白してくれた男性2人と付き合ったものの、相手を好きにならずに別れた。

人口の1%?

 メグミさんのようなアセクシュアルの人は、人口の1%はいるとの海外研究もあるという。同性愛者が3〜5%、心と体の性が一致しない人(性同一性障害者)は数千人に1人と言われる中、意外にも多いようだが公にする人が少なく、あまり知られていない存在だ。

 男性に一向に恋心を抱かないメグミさん自身、同性愛者かもしれないとレズビアンバーに通った時期もある。「そもそも体の接触がダメで。例えば、多くの女性が男性を見て『好き』と思っても、女性に対してはそういう感情や『セックスしたい』と思わないのと同じで、私の場合は男女ともその対象にならなかった」

 同じアセクシュアルでも、体の接触にそれほど嫌悪感がない人もいるという。メグミさんの場合は小さいころから女の子同士で手をつなぐのも嫌だった。

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ブログに希望

 結婚願望はなく、子どもも産みたいとは思わない。そう言うと「誰も愛せない冷たい人」と誤解されがちだが、友人や家族を大事にする気持ちはある。親しい人たちと仲良くかかわりながら一人の空間、時間を大切にして暮らすのが理想だ。

 今の時代は、昔ほど一人でいることが白い目で見られることはない。だが、親から「結婚は?」と聞かれる年になり、友人の男性と2人でいると彼氏と思われたりして煩わしさも感じる。「私も、最初は恋愛は誰でもするものという思い込みがあった。こういう人もいることを知ってもらえれば」。期待を込めてブログの更新を続けている。

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好キダケドセックスナシ

「非性愛者」らがフリーペーパー

 アセクシュアルとしての悩みや日常をブログでつづるメグミさんのように、自身の性的指向や思いを発信する当事者が増えてきた。同じくなじみのない「非性愛者(ノンセクシュアル)」を自認するイリエさん=仮名=は、高知県に住む二十代女性。仲間とフリーペーパー「Gender」=写真=を年二回発行している。

 ノンセクシュアルは、恋愛感情はあり得たとしても、性的な欲求は抱かない人を指す。イリエさんはかつて恋人に「愛情表現が乏しい」と言われ悩んだ。キスやセックスが受け入れられない。周囲は「相手を好きならできるはず」「経験すれば変わる」と“助言”をくれたが、何か違った。「私の場合、『好き』の先にセックスという行為がない。『無』の感覚」。ノンセクシュアルという言葉を知りほっとしたという。

 「いろんなセクシュアリティーがあることを伝えたい」と、フリーペーパーを作った。異性愛者やレズビアン、ゲイ(同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)などさまざまなセクシュアリティーの人が登場し、対談したり性や恋愛に関するアンケートをして結果を紹介する特集を掲載してきた。

 イリエさんは「特に十代、二十代の学生が性や恋愛について考えるきっかけになれば」と話している。

 担当・奥野斐 ※次回は19日付HumanRecipe。作曲家兼ピアニストの天平さんが登場します。

 

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