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popress【Love & Sex】性、恋愛の問題をまじめに考える
 

エイズ 人ごとなの?

国内の新規HIV感染者数の推移=厚生労働省エイズ動向委員会報告より

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 「一部の人の病気」−。エイズ(後天性免疫不全症候群)と聞いて、そんなイメージを抱く人も少なくない。実際、昨年新たに感染した人の約7割は男性同性間の性的接触が理由で、ゲイが多く実態が見えづらいこともある。だが、最近は気付いた時にはすでに発症している「いきなりエイズ」が同性愛者でない人にも目立ち、人ごとではないのだ。世界エイズデーのきょう、まずは国内外の現状に目を向けてみよう。

日本の状況

「いきなり」判明増加中

 エイズは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することでなる病気。感染してもすぐに発症するわけではなく、初期にインフルエンザに似た高熱やせきが出ることもあるが、自覚症状のない時期が数年間続く。この十数年で治療薬の開発が進み、薬を飲み続ければ発症を抑えられるようになってきた。

 1981年に米国で初の症例が報告され、世界中に拡大。厚生労働省の調査によると、日本では90年代から性的接触による感染が増え、ここ数年は毎年1000人以上が新たにHIV感染者となっている。今年6月時点の累計感染者・患者数は2万667人。20〜30代男性が多く、昨年感染した人では男性同性間の性的接触によるケースが68%を占めた。

 深刻なのは昨今、健康な人ではかからない肺炎などの感染症になってからエイズと分かる「いきなりエイズ」が増えていること。昨年は過去最高の473人に上り、異性間でのセックスによる感染も少なくない。また、妊婦健診で陽性と判明する人も毎年25〜40人いるという。もはや、ゲイでないからといって「関係ない」では済まされない。

世界の状況

アフリカが高率「親類に1人は」

 世界の状況はどうだろうか。国連合同エイズ計画によると、全世界のHIV感染者・患者数は推定3420万人(2011年)で、1年間に250万人が新たに感染、170万人が亡くなっている。特にアフリカのサハラ砂漠以南は感染率が高く、成人人口の5%に上る。

「エイズは自分の問題として考えて」と語る正藤さん

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 アフリカ中西部に位置するガーナで、今夏までエイズ対策に取り組んだ看護師の正藤(まさとう)愛子さん(26)=福井県坂井市=は「コレラや結核などと並ぶ身近な感染症で、親類に1人はいる感覚だった」と振り返る。国際協力機構の青年海外協力隊員として派遣され、活動した地域は感染率が8.8%。母子感染した子どもも多かったという。

 現地では山奥の村落で検査や啓発をしたり、学校で感染経路を教えたりと予防に力を入れた。「薬の効能や医療体制は十分ではないが、現地でも以前ほど恐ろしい病気ではなくなっている。むしろ、小学校での性教育など日本より意識は高い」

 だが、男女差別も根深く、「関係ない」「怖い」と検査を受けない男性も。自分が感染源かもしれないのに、妻の感染を知ると逃げるように家を出る夫もいた。

 「エイズを貧しい外国の話とか、うつるわけがない病気と思った時点で予防しなくなる。自分の問題として考えて」と実感を込めた。

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北陸のエイズ治療拠点 石川県立中央病院・上田幹夫医師に聞く

あす感染が分かったら…

Q.どこで感染が分かる?

A.HIV感染の有無は血液検査でしか分からない。受けやすいのは保健所。匿名でよく無料で、約1週間で結果が分かる。発症前であれば早く治療に入れるので、ぜひ受けてほしい。

Q.陽性だったら?

A.紹介されたエイズ治療病院で病気の説明を受け、診察や採血などで状態を確認する。ウイルス量や免疫状態をみて治療方針が決まる。通常、免疫力が健康な人の半分以下に落ちたら、薬による治療を始めることが多い。石川県立中央病院では現在、約80人が1〜3カ月に1回通院し、診察、治療を受けている。仕事や生活は普通にできる。

Q.薬の量は。

A.1日1回2〜4錠の人が多い。食事時間や仕事など、その人の生活パターンによって毎日確実に飲める薬を選ぶ。だるさや下痢などの副作用が出ることも。薬代は高額で、保険診療でも本人負担は月数万円になる。ただ、感染患者は免疫機能の障害の程度で身体障害者手帳(1〜4級)の申請ができ、医療費の助成が受けられる。患者の負担は平均月1万円ほどになる。

Q.生活に不自由は。

A.性生活はコンドームを着け、血液や体液が相手に触れないよう注意してもらっている。日常生活でもひげそりや歯ブラシなどは共有しない。妊娠・出産は可能で、適切な治療と予防対策をすれば母子感染は国内で0.5%以下だ。だが、なにより一度感染すると薬を飲み続けなければならないしんどさ、人に病気を言えないストレスが大きい。

 担当・奥野斐、小椋由紀子 ※次回は5日。衆院解散総選挙に合わせ、「若者と選挙」について考える特別編です。

 

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