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popress【Love & Sex】性、恋愛の問題をまじめに考える
 

デートDV 愛じゃない

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 恋人に対する暴力を指す「デートDV(ドメスティック・バイオレンス)」。殴る、蹴るといった体を傷つける行為だけでなく、相手をののしる暴言、行動を監視するなどの束縛もDVになるというから人ごとではない。深刻な事態になる前に見抜く方法はないのか。被害に遭った女性の体験を交え、身近に潜む“ゆがんだ愛”の実態と対処法を探った。(担当・奥野斐)

優しい物腰が一変

 「もう死ぬかもしれないっていう怖い思いもしました。でも、なかなか逃げ出せなかった」。会社員の女性(26)は高校生のころ、年上の大学生の彼氏から殴られ、束縛されるなどの暴力を受けた。

 最初は、原因も覚えていないほどの小さなけんかだった。付き合って2、3カ月。彼の部屋でちょっとした口論になり、優しかった物腰が一変した。「ふざけるな。おまえが全部悪いんだ」。いきなり大声を上げられ、怖くて何も言えなかった。しばらくして怒りが収まったのか、「ごめんね」と謝ってきた。

 その日を境に高圧的な態度を取るようになり、日々の暮らしにも口を出すようになった。「他の男と話すな」「脚や胸元が見える服は着るな」。次々と決まり事ができては、破ると容赦なく責められた。理由も分からず蹴られ、床にたたきつけられることもあった。

言えない「助けて」

 今思えば助けを求めるべき状況なのに、当時はされるがままだった。「彼を好きだし、殴られる自分が悪いと思った。恥ずかしくて誰にも言えなかった」

 友達付き合いも減り、デートのたびに体の見えないところにアザができた。逃げ出そうと思ったのは、自分も一人暮らしを始めて彼と遠距離になってから。会う機会が減り、徐々に冷静になった。

 暴力を受け始めて約1年後、意を決して別れを切り出した。最初は渋っていた彼も、自分への愛情がないことを知ると意外にあっさり引き下がった。「彼は、自分を犠牲にしてまで尽くしてくれる人を求めていたんだと思います」。以後、連絡は一切取っていない。

自分で気づけない

 あれだけの仕打ちを受けながら、どうしてすぐ別れることができなかったのか。女性は「私がいないと彼は駄目になると思っていた」と振り返る。

 出会ったころの彼は仲間内の盛り上げ役で、明るく思いやりのある印象だった。根は優しいから、いつか前の姿に戻ってくれる−。そんな幻想から覚めるまで、ずいぶんと時間がかかった。「なかなか自分ではDV被害に気づけない。できれば、周りの人が気づいてあげてほしい」

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身近にある被害 

束縛で女性も加害者/増える携帯絡み

 DVは近年、認知されるにつれて被害の実態も明らかになってきた。内閣府の最新調査(二〇一二年)では、交際相手から暴力を受けたことがある女性は七人に一人、男性は十七人に一人に上った。石川県では、高校・大学生の約三割がデートDVの被害に遭っているという民間団体の調査もあり、身近な問題として広がっている。

 体格差や経済力の違いなどから、被害者になりやすいのは女性だといわれる。だが、交際相手の行動を携帯電話でつぶさに確認するなどの束縛行為は、女性も加害者側になることも少なくない。「DVホットラインのと」事務局長の弘崎弘美さん(58)は「相手を怖いと思ったり、言いたいことを言えなくなったら、DVの可能性が高い」と指摘する。

 石川県内の高校でデートDV講座の講師も務める弘崎さんは、特に若い世代で携帯電話絡みの被害が多いと実感する。相手のメールや履歴をチェックし勝手に消す、メールの返信が遅れると怒る−。動画機能でセックスを撮影し、別れを切り出すと「人に見せる」と脅迫する例もあるという。

 問題は、加害者も被害者も暴力や支配に気づけないことだ。例えば「異性のいる飲み会に出てほしくない」という要求は、愛情の延長と思いがちだが、実はDVに当たる恐れもある。弘崎さんは「自覚がないまま、だんだんエスカレートする怖さがある」と話す。

 相手の暴力的な態度を見抜く手段として、弘崎さんはチェックリストを使うことを勧める。当てはまる項目がある場合は、二人の関係を冷静に考えた方がいいという。「自分は関係ないと思わず、一度恋人との関係を振り返ってみて。被害者だけでなく加害者向けの窓口もあるので専門機関に相談を」と呼び掛ける。

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